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第五章
情けない俺 2
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「御影さん……」
「だったら! だったら何でそんな情けない顔をしてるんだ! 俺はお前に聞かれて困ることなんて何もないし、そんな風に変に勘繰られる方がずっと嫌だ。それともお前は、俺が聞いても本心なんて話さないとでも思っているのか?」
傷ついた顔がさらに酷くなって、泣きそうにさえ見える。
「違う、違います!」
そんな顔をさせたいんじゃない。
御影さんのためなら、俺の気持ちなんて無視すれば良いって思っただけだ。
だけど、それなのに……、結局自信なんてこれっぼっちもなかった俺は、不安で不安でたまらなくて仕方が無くて、一番大事な御影さんを傷つけてしまっている。
「……俺、いろいろあったけど、御影さんとちゃんと話し合ったりお互いの気持ちを確認しあえることが出来ていたから、なにがあっても俺が御影さんの恋人なんだって……自信を持てたって思ってたんです」
ぽつりぽつりと話し始めた俺に、御影さんは掴んでいた俺の腕をそっと離した。
他意なんて無いんだろうけど、温かみの離れて行ったソコが、何となく冷えて淋しいと思った。
……甘えてるな、ホント。
ちょっぴり自嘲しつつ、俺の言葉を待ってくれている御影さんの為に俺は先を続けた。
「それに、御影さんには悔いのない試合をしてもらいたいから、そのためなら俺の出来ることは何でもしなきゃって思ったんです。だからあんなことまで言えたのに……」
「蒼空……」
御影さんの目に映る俺は、どんな顔をしているんだろう?
御影さんはさっきまでの傷ついた表情を一変させ、逆に俺を気遣うものに変わってきていた。
そして俺に近寄り、手をキュッと握りしめる。
……どうしよう。
泣きたくなってきた。
下を向いて唇をキュッと噛み、溢れそうになっている涙をぐっと堪える。
「……それなのに俺……、……いざ、御影さんと田上先輩が仲良さそうに歩いているところを見たら……、あったはずの御影さんの恋人だっていう自信も何もかもがガラガラと壊れてしまって……。俺、御影さんに対してはホント小さな人間で……。こんな情けない自分、知られたくなかったんです。……それに、やっぱり田上先輩の方が好きだったって思ってたらと思うと怖くて……。……情けなくてホント……、すみません」
話すとよけいに溢れだしそうになる恥ずかしい水分を、堪えながら言葉を零す。
おかげでつっかえながらのたどたどしい話っぷりが恥ずかしい。
そっと御影さんの顔を窺う。
目が合った御影さんの表情は、俺の予想に反した甘い甘い表情だった。
「だったら! だったら何でそんな情けない顔をしてるんだ! 俺はお前に聞かれて困ることなんて何もないし、そんな風に変に勘繰られる方がずっと嫌だ。それともお前は、俺が聞いても本心なんて話さないとでも思っているのか?」
傷ついた顔がさらに酷くなって、泣きそうにさえ見える。
「違う、違います!」
そんな顔をさせたいんじゃない。
御影さんのためなら、俺の気持ちなんて無視すれば良いって思っただけだ。
だけど、それなのに……、結局自信なんてこれっぼっちもなかった俺は、不安で不安でたまらなくて仕方が無くて、一番大事な御影さんを傷つけてしまっている。
「……俺、いろいろあったけど、御影さんとちゃんと話し合ったりお互いの気持ちを確認しあえることが出来ていたから、なにがあっても俺が御影さんの恋人なんだって……自信を持てたって思ってたんです」
ぽつりぽつりと話し始めた俺に、御影さんは掴んでいた俺の腕をそっと離した。
他意なんて無いんだろうけど、温かみの離れて行ったソコが、何となく冷えて淋しいと思った。
……甘えてるな、ホント。
ちょっぴり自嘲しつつ、俺の言葉を待ってくれている御影さんの為に俺は先を続けた。
「それに、御影さんには悔いのない試合をしてもらいたいから、そのためなら俺の出来ることは何でもしなきゃって思ったんです。だからあんなことまで言えたのに……」
「蒼空……」
御影さんの目に映る俺は、どんな顔をしているんだろう?
御影さんはさっきまでの傷ついた表情を一変させ、逆に俺を気遣うものに変わってきていた。
そして俺に近寄り、手をキュッと握りしめる。
……どうしよう。
泣きたくなってきた。
下を向いて唇をキュッと噛み、溢れそうになっている涙をぐっと堪える。
「……それなのに俺……、……いざ、御影さんと田上先輩が仲良さそうに歩いているところを見たら……、あったはずの御影さんの恋人だっていう自信も何もかもがガラガラと壊れてしまって……。俺、御影さんに対してはホント小さな人間で……。こんな情けない自分、知られたくなかったんです。……それに、やっぱり田上先輩の方が好きだったって思ってたらと思うと怖くて……。……情けなくてホント……、すみません」
話すとよけいに溢れだしそうになる恥ずかしい水分を、堪えながら言葉を零す。
おかげでつっかえながらのたどたどしい話っぷりが恥ずかしい。
そっと御影さんの顔を窺う。
目が合った御影さんの表情は、俺の予想に反した甘い甘い表情だった。
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