最強美人が可愛い過ぎて困る

くるむ

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第五章

強がりと本音

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御影さんは弁当を食べ終わった後、約束があるからと言って教室を出て行った。
その時は誰も何も聞かずに送り出したくせに、御影さんがいなくなった途端「なんの用だか知ってるか?」と俺に尋ねた。

「……さあ、なんでしょうね」
「知らないのか、本当に」
「はい」

俺が肯定するとみんなが「本当かよー、知ってんだろ教えろ」とか「付き合ってるのに気にならないのかお前」とかさんざん責められる。

……自分たちだって御影さん本人に聞く勇気ないくせに。と思いつつ、「本当に聞いて無いんです」で押し通した。

だって嫌だろう?
御影さん本人の知らないうちに、俺が2人のことを愚痴るように皆に喋っちゃったりしたら。
一応俺は御影さんの恋人だからまったく無関係とは言わないけど、やっぱり当事者かと言うと少し違うんだから。


「じゃ、もうそろそろ午後の授業が始まりますから戻ります」
「おう、じゃあな」
「じゃあなー」

なんだかんだ言いつつ、最近では俺が教室に戻る時はみんな手を振ってくれるようになっていた。それにぺこりと挨拶をして席を立ったところで、鈴木さんが労うように俺の腕をポンポンと叩く。

……もしかしたら鈴木さんたちは、御影さんが何をしに行っているのか聞いてるんだろうか。

御影さんたちが今何を話していて、何を思っているのかとか気になることはたくさんあるし、まったく後悔していないって言ったら嘘になるけど。
それでもやっぱり俺は、御影さんが一番大切だから。

ちょっぴり強がりな言い訳を心の中でしながら、鈴木さんに笑って手を振って教室を出た。

廊下を歩きながら、御影さんと会えないかなーとちょっと期待。
キョロキョロして辺りを見回してみたけど、まだ戻ってくる気配は無かった。

ふう。
残念。


そして、何気なく手すりに凭れかかって下を見たら、戻ってくる御影さんの姿が目に飛び込んできた。
あっ!と思うと同時に、その隣を笑いながら歩く田上先輩の姿まで見えてしまった。


今朝のギクシャクとした感じとは程遠い2人の雰囲気に、御影さんのが解けたことが窺える。



これで練習に集中することが出来るよな。



ホッとすると同時に、ザワザワと騒ぎ出す複雑な気持ちを……俺は抑えることが出来なかった。
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