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第五章
田上先輩の気持ち
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「……なにか?」
「御影は随分お前に心を許しているようだけど、松田は御影を守っていくことが出来るのか?」
「守る?」
それってどういう意味でだ?
御影さんは多分過度に誰かに守られることは望んでいない。実際強いし、芯だってきっと強い。
ただ見た目がおとなしそうで愛らしいから、ついつい甘やかしたいなんて思っちゃうけど。
でも、俺はやっぱり――、
「先輩がどういう意味で守れるのかって言っているのか分かりませんけど、俺はどちらかが守るとかそんなんじゃなくて、御影さんとはお互いに得意なことを認め合って補い合っていけたらいいなって思いますけど」
「屁理屈ばっかり言いやがって……。それだからいい加減な奴には任せておけないんだ」
「どういう意味ですか?」
カチンときた。
だってそうだろ?
それってまるで御影さんの意思は尊重しなくてもいいって言ってるようにも聞こえるし、それに傍にいる資格があるのは自分だけだとでも思っていそうな物言いなんだから。
「あいつは確かに強いよ、剣道だって喧嘩においても半端ない。だけどあいつは大人しくて優しくて……、可愛くて守ってやらなきゃいけない奴なんだ。腕力も精神力も乏しいようなお前には、御影を守ってなんてやれないだろうけどな」
「……あのですね、田上先輩――、」
「俺はそんなに柔ではないつもりなんですけど」
背後からの突然の声にびっくりして振り向くと、少し不機嫌そうな表情をした御影さんが立っていた。
「御影……」
「御影さん」
「……びっくりしました。まさか田上先輩にまで、そんな風に思われていたなんて」
……不機嫌じゃなかった。
そうじゃなくて傷ついた表情だったんだ。
「いや、御影……。そうじゃなくてだな……」
言い淀む田上先輩に御影さんが言葉を続けた。
「そうじゃないなら、なんなんですか? 俺は腕っぷしは強くてもそれだけで、危なっかしいから誰かに守ってもらわなければならない存在だと思われてるってことなんでしょう?」
「御影、俺はっ……! ……」
「――俺は、なんです?」
「…………」
何か言いたいことがあるのだろうけど、それを言うことを躊躇しているようだった。
御影さんはそんな田上先輩の態度に、ますます傷ついた表情になる。
そりゃそうだよな。
一番信頼して尊敬していた人が、自分の本質を見てくれていなくて外見の方ばかりに囚われているのだとしたら、そりゃショックだ。
だけど、多分……。
「あの、御影さん」
「……なんだ」
本当は伝えたくなんて無い。
こんなこと教えない方が俺にとっては安心だし。
だけど――、
「多分田上先輩は御影さんのことがそう言う意味で好きだから、ただ守りたいって気持ちになってしまっているんだと思います」
俺がそう言うと、御影さんはびっくりしたように目を見開いた。
「御影は随分お前に心を許しているようだけど、松田は御影を守っていくことが出来るのか?」
「守る?」
それってどういう意味でだ?
御影さんは多分過度に誰かに守られることは望んでいない。実際強いし、芯だってきっと強い。
ただ見た目がおとなしそうで愛らしいから、ついつい甘やかしたいなんて思っちゃうけど。
でも、俺はやっぱり――、
「先輩がどういう意味で守れるのかって言っているのか分かりませんけど、俺はどちらかが守るとかそんなんじゃなくて、御影さんとはお互いに得意なことを認め合って補い合っていけたらいいなって思いますけど」
「屁理屈ばっかり言いやがって……。それだからいい加減な奴には任せておけないんだ」
「どういう意味ですか?」
カチンときた。
だってそうだろ?
それってまるで御影さんの意思は尊重しなくてもいいって言ってるようにも聞こえるし、それに傍にいる資格があるのは自分だけだとでも思っていそうな物言いなんだから。
「あいつは確かに強いよ、剣道だって喧嘩においても半端ない。だけどあいつは大人しくて優しくて……、可愛くて守ってやらなきゃいけない奴なんだ。腕力も精神力も乏しいようなお前には、御影を守ってなんてやれないだろうけどな」
「……あのですね、田上先輩――、」
「俺はそんなに柔ではないつもりなんですけど」
背後からの突然の声にびっくりして振り向くと、少し不機嫌そうな表情をした御影さんが立っていた。
「御影……」
「御影さん」
「……びっくりしました。まさか田上先輩にまで、そんな風に思われていたなんて」
……不機嫌じゃなかった。
そうじゃなくて傷ついた表情だったんだ。
「いや、御影……。そうじゃなくてだな……」
言い淀む田上先輩に御影さんが言葉を続けた。
「そうじゃないなら、なんなんですか? 俺は腕っぷしは強くてもそれだけで、危なっかしいから誰かに守ってもらわなければならない存在だと思われてるってことなんでしょう?」
「御影、俺はっ……! ……」
「――俺は、なんです?」
「…………」
何か言いたいことがあるのだろうけど、それを言うことを躊躇しているようだった。
御影さんはそんな田上先輩の態度に、ますます傷ついた表情になる。
そりゃそうだよな。
一番信頼して尊敬していた人が、自分の本質を見てくれていなくて外見の方ばかりに囚われているのだとしたら、そりゃショックだ。
だけど、多分……。
「あの、御影さん」
「……なんだ」
本当は伝えたくなんて無い。
こんなこと教えない方が俺にとっては安心だし。
だけど――、
「多分田上先輩は御影さんのことがそう言う意味で好きだから、ただ守りたいって気持ちになってしまっているんだと思います」
俺がそう言うと、御影さんはびっくりしたように目を見開いた。
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