最強美人が可愛い過ぎて困る

くるむ

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第四章

田上先輩の来襲 2

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廊下に出ると田上先輩が近づいてきた。

「なにか?」

相変わらず睨みつけるような視線は怖いけど、俺は意地で、なるべく緊張しているのを見せないように取り繕った。

「ちょっとこっち来い」

そう言ったかと思うと、田上先輩は俺の返事を待たずにさっさと歩きだした。仕方が無いので俺もその後に続いた。

先輩は、階段を下りて人気がいないところで立ち止まった。
そしてくるりと振り向いて俺を見る。

……相変わらず睨んでるな、なんなんだこの人……。

「……他人の恋愛に口を挟みたくはないが、……おまえ御影に迷惑かけてんじゃないぞ」
「……? 迷惑?」

田上先輩の様子からして、いちゃもんを付けに来たわけではなさそうな事は分かる。本気で怒りを抑えているような怖い雰囲気があるから。

だけど御影さんへの迷惑って何?
俺にはまったく分からない。

首を捻って御影さんとのいろんなことを思い出すも、御影さんが迷惑だと思ったかもしれないと思うようなことは何一つ思い浮かばなかった。

「……思い当たらないのか」
「はい」

ドスの利いた声で言われて正直ビビったけど、無いものは無いんだから仕方ない。

迫力に負けないためにと、俺もほぼ睨みながらの返答になる。おかげでこの場の雰囲気は非常によろしくない。


「……お前、図書館で御影になにしたよ?」
「……へ?」
「……だから! お前は図書館で……!」

あ。
え!?

「見……」
「見ちまったよ」
「…………(冷や汗)」

「どういうつもりなんだ」
「……え?」

「『え?』じゃないだろ! 御影はこれが多分初めての恋愛だ。だからなんでもお前の言う事を聞いてやりたくなるんだろうけど、少しは自重しろよ!」

「…………」

これはどうやら勘違いしてるよな……。
俺が御影さんにキスしたくなって(ここは当たってるけど)我慢できずに行動に移したって……。

「あの……」
「なんだ?」
「田上先輩は、御影さんのことをどう思っているんですか?」
「……な、に?」

突然の俺の反撃に(いや、俺には反撃のつもりはないですよ?)田上先輩がバツの悪そうな表情になった。

「御影さんはかっこいいだけじゃなく可愛い人です」
「そんなことくらい知っている」

「……でも、俺には……、俺にはそれ以上の顔を見せてくれるようになりました。俺はそれが……っ!?」

「……お前……っ!! 御影にあれ以上何しやがった!? だからか!? だかららしくもなく、あんな所でキスなんかを許したのかっ!!」

どうやら今まで必死で怒りを抑えようとしていた気持ちが爆発してしまったようだ。
田上先輩は俺の胸倉をグッと掴んで引き寄せて、もう片方の拳をぶるぶると震わせた。
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