最強美人が可愛い過ぎて困る

くるむ

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第四章

キスの余韻 

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唇を離してそっと御影さんの顔を見ると、伏せている睫毛が微かに震えていた。
頬もほんの少し赤くなっている。

……敵わないよなー、ホント。

たぶんきっと御影さんは気が付いていないんだろうな。
自分がどんなに可愛いわがままを言ってのけているのかなんて。

しかもしっかり顔には、『満足しました』って書かれてるし……。
はうっ。


そしてその後の御影さんは、本当にきっちり勉強に取り組んでいた。
だけど俺はおねだりキスの余韻からなかなか解放されなくて、恰好だけは勉強しているスタイルを取ってはいても、心の中はあらゆる煩悩に支配されて大変なことになっていた。

……ホントにもう。
可愛いって罪だよな……。

だけどまあ、御影さんが満足してくれて、それで勉強が捗っているんならそれはそれでいいか。



……よしっ!
俺も気持ちを切り替えよう。

シャーペンを握り締めて、教科書を捲った。




「蒼空……? そろそろ帰ろうか」

御影さんの呼びかけに、ハッと我に返った。
閉館時間が迫っていて、みんな帰り支度を始めている。

「結構没頭していたな」
「はい。御影さんが集中してましたからね。おかげで俺も頑張れました」
「……そうか」


ぞろぞろ出ていくみんなの後から、俺らはゆっくりと図書館を出た。

「…………」
「…………」

なんだかこそばゆいな。

もちろん御影さんとちゃんと気持ちを通わせることが出来たからなんだろうけど、御影さんの表情が穏やかで緩んだ感じに見える。

…………。

さっきのおねだりキスに応えたからじゃあ……、無いよな。



ジッと御影さんを見ていると、パチッと目が合った。
目が合って、御影さんはまるで猫が鼻筋を撫でられて満足した時にするように目を細めた。


……っ、うわわわわ。
悶絶!!

可愛い、可愛い、可愛い、可愛い!!!!

ウザいかもしれないけど大声でそう言いながら御影さんを抱きしめたくてしょうがなくなった。
慌ててスーハ―スーハーと深呼吸を繰り返す。顔も熱くなっているから、傍から見たらきっと真っ赤な顔の不審者だ。

「どうした? 蒼空、お前ちょっと……」

俺の急な不可解な行動に、御影さんが驚いたのか熱を測ろうと額に手を持ってきた。

ギュッ!!

はい!
反射的に手を握りましたよ、もちろん!

「蒼空……」

呆れているのか驚いているのか、ちょっぴり困惑した御影さんの声。だけど、それでも御影さんは俺の手を振り払う事は無かった。

「……すみません、御影さん。さっきの……、さっきの御影さんの可愛いおねだりが俺の中にまだしっかり残ってて。御影さんの穏やかな表情や、安心した表情まで可愛いなって思っちゃって。俺、御影さんのこと本当に好きなんだなあって……」

「蒼空……」

一方的に握られるままになっていたその手を、御影さんの方からもキュッと握り返してくれた。

「甘えてもいいんだよな? 俺から」
「はい、もちろんです!」

俺の嬉々とした返事に、御影さんは楽しそうに笑ってくれた。
ああ……、本当にこの人は……!


「大好きですよ、御影さん」

もう一度しつこく気持ちを伝えたら、御影さんはまた嬉しそうに目を細めた。

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