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第三章

一緒に下校 

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 「はーい、練習終了! みんな集まれー」
パンパンと手を叩いて、大杉先輩がみんなを呼んだ。

「再来週には中間考査が始まるので、来週は部活動は休みになる。勉強も大切だから普段さぼっている奴はしっかりこの期間に試験に備えるように。あ、土曜日はしっかり練習はあるから明日も忘れずにちゃんと来るように。では解散!」

「お疲れ様でした!」

俺ら1年は片付けに入る。
腹減ってるし、もたもたしていると帰りが遅くなるのでみんな手際がいい。
俺もてきぱきと片付けながら、心の中では変な焦燥感が渦を巻いていた。

今日から2人で一緒に帰れるのはすごくうれしい。だけどお昼休みに会った時の御影さんの態度が気になっていて、早く会いたい、早く余計な不安を取り除きたい、だけどまた退屈そうな顔をされたらどうしようとか、そんな様々な感情に陥っていて俺の胸中の複雑さは半端ない状態になっていた。


全員が着替えを済ませ、いつものようにみんなでぞろぞろと帰る。
こないだみたいに剣道部と鉢合わせするのかなと思ったけど、今日はどうやらそれは無さそうだった。

……もしも御影さんがいなかったらどうしよう。
俺との約束なんて忘れちゃって帰っていたら?
いやいや、まさかそんなことはいくらなんでも……。

俺はそんな妙に逸る気持ちを抑えながら、みんなとゆっくりと校門へと向かった。

校門が見えるところまで来たとき、複数の人影に気が付いた。遠くて顔が見にくいけど……。


……あ、やっぱり御影さんだ!

あ~、良かった!
ちゃんと待っててくれている。

安堵のため息と同時に、よしっ!と気合を入れなおした。

「あの、俺。待ち合わせしてるので先行きます。お疲れ様でした!」

「え? ああ、お待ちかねのようだな。お疲れ」

大杉先輩の言葉に、俺はぺこりとお辞儀をして踵を返して御影さんの元へと走った。
案の定、後ろからは「ええ~っ!?」だの「嘘だろー!!」だのと絶叫が聞こえて来た。


「御影さん、お待たせしました!」
「いや、俺も今来たところだ。お疲れ」
「お疲れ様です!」

あ、良かった。
テンションそんなに低くない。

ホッとして、ぺこりと挨拶をして顔を上げる。
……上げて、隣にいる田上先輩と目が合った。

「…………」

「……じゃあな、御影。明日」
「はい、お疲れ様でした」

田上先輩はチラッと俺を見て、そのまま先に歩き出した。

……良かった。
俺も一緒に帰るぞと言われたらどうしようかと思った。

「帰りましょうか」
「ああ」

後ろからバスケ部の奴らが騒いでるのが聞こえるが、あえて無視して御影さんと帰路に就いた。

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