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第三章

初めてのデート

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昨夜から、どこにデートに行ったらいいのかって悩んだんだけどいい案が浮かばなかった。
普通に休日だったらスポーツしに行くのもありかなとは思うけど、部活でさんざん体を動かした後だから今日はその選択は無しだ。

「御影さん、どっか行きたいとことか見たいものとかありますか?」
「……特には。強いて言えば、Tシャツが欲しいくらいかな」
「いいですね! 付き合います」
「……いいのか? そんな俺の買い物の付き合いなんかで」
「もちろんですよ。好きな人の服を選べるって、想像しただけでワクワクしますけど。……御影さんは違います?」

くるんと顔を横に向けて御影さんの顔を見た。
パチッと目が合うと、御影さんは視線を下に持っていき俺の全身をさっと眺める。

「……そうだな。意外と楽しいかもしれない」
「ですよね! じゃ、行きましょうか。いつもどこで買ってます?」
「Tシャツくらいだと、大体駅前のファストファッションの店だよな」

という事で、俺らは駅前に向かった。
店内は土曜日だけあって結構な賑わいだ。

ここは店舗が広いだけあって品ぞろえは結構豊富だから、俺もよくここを使っている。

「御影さん、これ。この色なんてどうですか?」

俺が手に取ったのは、Vネックのピンク系統のTシャツ。ピンクと言ってもくすんだ感じの色で、派手な色ではないから御影さんの愛らしさにぴったりな気がする。

「……可愛すぎないか? もうちょっと地味なものの方が……」
「そうですか? 似合うと思うけどなー」

Tシャツを、御影さんに当ててみて確認してみる。
うわっ。これはヤバい。

「…………」
どうしよう。可愛すぎて似合いすぎて、逆に心配になるレベルだ。

ただでさえ御影さんがくつろいでいる時の見た目は、愛らしさが半端ないんだ。そんでもって無駄に男を引き寄せてしまうのに、これ以上愛らしくしてしまうのは絶対にダメだ。


……でも!
でも似合ってるんだよ!
俺と2人っきりの時には是非着て欲しい!


「蒼空?」
「あ、えーっと、はい。別の色にしましょうか。……このオリーブ色とかどうです? あ、それよりこっち! このボーダーが良いかも!」

燥ぐ俺に、ほぼキョトン状態の御影さん。そんな彼に素早くネイビーのボーダーを当ててみる。

おお!
これはいいかも。

これも御影さんに似合ってて可愛いけど、ちゃんと自己主張できるレベルの可愛さを放っているからさっきのピンクよりは無難だ。

御影さんも鏡を確認して、『悪くないな』と呟いた。

そして他にもいろいろ物色した後、御影さんはネイビーのボーダーの他、黒のロンTと白のタンクトップのセットを買っていった。
俺も色々見て遊びはしたけど、今は買いたいものは無いので自分のを買うのはやめにした。
その代わり……。

さっきのVネックのピンクを、いつか俺んちに泊ってくれた時のお泊り着に使ってもらおうと目論んで、こそっと購入しておいた。
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