最強美人が可愛い過ぎて困る

くるむ

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第二章

調子に乗ってますか?

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そしてお昼休み。
いつものように弁当を広げようとしたところを陽翔に止められた。

「ん? なに?」
「何って、蒼空。お前せっかく両想いになれたんだろ? 御影さんのとこ行かなくていいのか?」

「……ああ。ん~、でもなあ。一応上級生の教室だし、一緒に弁当食うのっていいのかなあって……。食べ終えたらいつものように顔見に行こうとは思ってたけど」

「ばあか。なに遠慮してんだよ! 行って来いよ。御影さん、ぜってーその方がうれしいに決まってるし」
「なあ、由羽人?」
「うん。俺が御影さんなら来てくれたらうれしいって思うよ」

……そうなんだろうか。
ついつい年下だし、御影さんの迷惑にならないようにってそればっかり考えちゃったけど……。

「分かった。じゃあちょっと行ってみる。行ってみて、迷惑そうだったらその時にまた考え直すことにしてみるよ」
「おう、そうしろ」
「大丈夫、きっと喜んでくれると思うよ」

2人に背中を押してもらったので、俺も『よっしゃ!」と気合を入れた。入れてそのままの勢いで、御影さんの教室へと向かった。


2年生の教室のある廊下を歩く。

気のせいだろうか? 
普段より飛んでくる視線が多い気がするが……。

だけど今日はいつもと違って、突き刺さる視線は多い気はするのに俺に直接突っかかってくる人はいなかった。

「松田?」

聞きなれすぎた声に振り向くと、大杉先輩が立っていた。

「あ、大杉先輩こんにちは」
「どうしたんだ……って、ああ、そういやお前。あの噂って本当だったんだ」
「……噂?」

何だろうとキョトンと首を傾げる。視線の先の大杉先輩の顔が、ニヤニヤしていることに気が付いた。

「えと、あの。……噂、広がってるんですか? 御影さん、迷惑してないでしょうか?」

「なんだなんだー、お前そんなこと気にしてたのか? あいつがそんな小さな器なわけないだろー。それにしてもおっどろいたよなー。まさか御影と松田がそう言う関係になるとはなー」

そう言って大きな掌で、俺の頭をわしゃわしゃと撫でまわした。

「ちょ、ちょっと先輩勘弁して!」

先輩にそんなつもりは無いんだろうけど、ゴツイ体だ。そのゴツイ手の力は半端なかった。
先輩が撫でまわすそのせいで、俺の体はグラグラと大きく揺れ動く。しかも髪の毛もぐしゃぐしゃだ。

笑う大杉先輩を横目に、俺は手櫛で髪の毛を整えた。

「もう、先輩……。あっ」

先輩に文句を言いながらふと視線を感じて顔を向けると、御影さんがこちらを見て佇んでいる。
ほぼ反射的に御影さんに手を振ったんだけど、御影さんはただ見ているだけで何の反応も示してはくれなかった。

あれ?
ええっと、どういうこと?
俺、やっぱり来ちゃダメだったのかな……。

「おう、いるじゃないか。行って来いよ」
「え、あっ、は、はい……」

ちょっと先輩!
御影さんなんだか機嫌悪そうじゃないですか!
見えてないんですか!?

俺が恥ずかしがってると勘違いしてるのか、『行ってこい』と先輩は背中を押してくれるんだけど……。

あ~、やっぱ調子に乗り過ぎちゃったよな。
今朝会った時にちゃんとお昼休みのことも聞いておくべきだった……。

後悔先に立たずだーと嘆いていると、御影さんの後ろから救世主の鈴木さんが顔を出した。

「何やってんだ、松田くん。早くおいでよ。待ってるぞ」

……え? みんな?
みんなって御影さんも……?

チラッと御影さんに視線を向けると、御影さんの瞳が揺らいだ。
……?

「……来いよ」

ボソッと一言呟いて、御影さんは教室の中へと入って行った。
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