ポッキーゲーム!

くるむ

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陸と水

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紫藤からふざけたメッセージが届いた。
『さっき歩とポッキーゲームした。すげえ可愛かったぞ。お前もシロとやったらどうだ? かわいいシロが見れると思うぞ』
眉をしかめて画面をにらんだ。

何言ってんだ、あいつは。そんなふざけたまね、俺ができるわけないだろうが。

11月11日はポッキーの日。きっと紫藤たちみたいなバカップルが、嬉々としてやってるんだろうな。
ばかばかしいと思いながらも、つい頬を染めて上目遣いに俺を見る水を想像してしまった。

「ヤベー」
見たいかも。

無垢で綺麗で清楚な水は、つやっぽさとは無縁かと思われそうだけど実際は違う。震えながら涙目で息を整える表情とか、真っ赤な顔で睨む表情とか俺を煽ってやまない。本人は全く気付いてないようだけど。

けど!
ポッキーの端と端をくわえ合って、食べながら近づいていくなんて。
……そんなふざけた真似、できるかっ!!


ピンポーン
「陸ー、水くんが来てるわよー」
「えっ?」
今日会う約束なんてしてなかったよな?

慌てて玄関に向かうと、水が「やあ」と手を小さく上げてほほ笑んだ。

「急にきてごめん。大丈夫だった?」
「ああ、あがれよ」
「おじゃまします」

部屋に招くと、「これ」と言って水が持っていた袋を差し出した。中にはポッキー。

えっ? と思って水を見ると、「今日はポッキーの日だから陸と一緒に食べれば?って礼人が」

えっ、えっ?
なに、水。俺とポッキーゲームしに来たわけ?

ポッキーと水を交互に見ると、俺の意を察したのか水の顔が赤くなった。

「ゲームしに来たんじゃないよ。それ口実に、陸に会いに行きたいなって思ったから……。普通に食べてもうまいだろ?」
真っ赤な顔で上目遣いに俺を見る水が本気でヤバイ。

「そうだよな、普通に食べてもうまいよな」
「うん」

俺の言葉にあからさまにホッとした水。本当にかわいくてしようがない。

ポッキーの箱を開けかけた水の手を取り、やんわりと引き寄せた。
顔を傾けて、チュッと水の唇に口づける。

「り、陸?」
「余計なものがない方がめちゃくちゃ美味しい」

水の耳元で囁いてやれば、一気に顔が真っ赤になった。
いい気になって何度も啄めば、水の腕が俺の背中に回る。

グッジョブ紫藤、グッジョブポッキー。

テーブルの上にはポッキーの箱が、開かずのままで置かれている。
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