2 / 3
陸と水
しおりを挟む
紫藤からふざけたメッセージが届いた。
『さっき歩とポッキーゲームした。すげえ可愛かったぞ。お前もシロとやったらどうだ? かわいいシロが見れると思うぞ』
眉をしかめて画面をにらんだ。
何言ってんだ、あいつは。そんなふざけたまね、俺ができるわけないだろうが。
11月11日はポッキーの日。きっと紫藤たちみたいなバカップルが、嬉々としてやってるんだろうな。
ばかばかしいと思いながらも、つい頬を染めて上目遣いに俺を見る水を想像してしまった。
「ヤベー」
見たいかも。
無垢で綺麗で清楚な水は、つやっぽさとは無縁かと思われそうだけど実際は違う。震えながら涙目で息を整える表情とか、真っ赤な顔で睨む表情とか俺を煽ってやまない。本人は全く気付いてないようだけど。
けど!
ポッキーの端と端をくわえ合って、食べながら近づいていくなんて。
……そんなふざけた真似、できるかっ!!
ピンポーン
「陸ー、水くんが来てるわよー」
「えっ?」
今日会う約束なんてしてなかったよな?
慌てて玄関に向かうと、水が「やあ」と手を小さく上げてほほ笑んだ。
「急にきてごめん。大丈夫だった?」
「ああ、あがれよ」
「おじゃまします」
部屋に招くと、「これ」と言って水が持っていた袋を差し出した。中にはポッキー。
えっ? と思って水を見ると、「今日はポッキーの日だから陸と一緒に食べれば?って礼人が」
えっ、えっ?
なに、水。俺とポッキーゲームしに来たわけ?
ポッキーと水を交互に見ると、俺の意を察したのか水の顔が赤くなった。
「ゲームしに来たんじゃないよ。それ口実に、陸に会いに行きたいなって思ったから……。普通に食べてもうまいだろ?」
真っ赤な顔で上目遣いに俺を見る水が本気でヤバイ。
「そうだよな、普通に食べてもうまいよな」
「うん」
俺の言葉にあからさまにホッとした水。本当にかわいくてしようがない。
ポッキーの箱を開けかけた水の手を取り、やんわりと引き寄せた。
顔を傾けて、チュッと水の唇に口づける。
「り、陸?」
「余計なものがない方がめちゃくちゃ美味しい」
水の耳元で囁いてやれば、一気に顔が真っ赤になった。
いい気になって何度も啄めば、水の腕が俺の背中に回る。
グッジョブ紫藤、グッジョブポッキー。
テーブルの上にはポッキーの箱が、開かずのままで置かれている。
『さっき歩とポッキーゲームした。すげえ可愛かったぞ。お前もシロとやったらどうだ? かわいいシロが見れると思うぞ』
眉をしかめて画面をにらんだ。
何言ってんだ、あいつは。そんなふざけたまね、俺ができるわけないだろうが。
11月11日はポッキーの日。きっと紫藤たちみたいなバカップルが、嬉々としてやってるんだろうな。
ばかばかしいと思いながらも、つい頬を染めて上目遣いに俺を見る水を想像してしまった。
「ヤベー」
見たいかも。
無垢で綺麗で清楚な水は、つやっぽさとは無縁かと思われそうだけど実際は違う。震えながら涙目で息を整える表情とか、真っ赤な顔で睨む表情とか俺を煽ってやまない。本人は全く気付いてないようだけど。
けど!
ポッキーの端と端をくわえ合って、食べながら近づいていくなんて。
……そんなふざけた真似、できるかっ!!
ピンポーン
「陸ー、水くんが来てるわよー」
「えっ?」
今日会う約束なんてしてなかったよな?
慌てて玄関に向かうと、水が「やあ」と手を小さく上げてほほ笑んだ。
「急にきてごめん。大丈夫だった?」
「ああ、あがれよ」
「おじゃまします」
部屋に招くと、「これ」と言って水が持っていた袋を差し出した。中にはポッキー。
えっ? と思って水を見ると、「今日はポッキーの日だから陸と一緒に食べれば?って礼人が」
えっ、えっ?
なに、水。俺とポッキーゲームしに来たわけ?
ポッキーと水を交互に見ると、俺の意を察したのか水の顔が赤くなった。
「ゲームしに来たんじゃないよ。それ口実に、陸に会いに行きたいなって思ったから……。普通に食べてもうまいだろ?」
真っ赤な顔で上目遣いに俺を見る水が本気でヤバイ。
「そうだよな、普通に食べてもうまいよな」
「うん」
俺の言葉にあからさまにホッとした水。本当にかわいくてしようがない。
ポッキーの箱を開けかけた水の手を取り、やんわりと引き寄せた。
顔を傾けて、チュッと水の唇に口づける。
「り、陸?」
「余計なものがない方がめちゃくちゃ美味しい」
水の耳元で囁いてやれば、一気に顔が真っ赤になった。
いい気になって何度も啄めば、水の腕が俺の背中に回る。
グッジョブ紫藤、グッジョブポッキー。
テーブルの上にはポッキーの箱が、開かずのままで置かれている。
17
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
絶対にお嫁さんにするから覚悟してろよ!!!
toki
BL
「ていうかちゃんと寝てなさい」
「すいません……」
ゆるふわ距離感バグ幼馴染の読み切りBLです♪
一応、有馬くんが攻めのつもりで書きましたが、お好きなように解釈していただいて大丈夫です。
作中の表現ではわかりづらいですが、有馬くんはけっこう見目が良いです。でもガチで桜田くんしか眼中にないので自分が目立っている自覚はまったくありません。
もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿
感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_
Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109
素敵な表紙お借りしました!(https://www.pixiv.net/artworks/110931919)

思い込み激しめな友人の恋愛相談を、仕方なく聞いていただけのはずだった
たけむら
BL
「思い込み激しめな友人の恋愛相談を、仕方なく聞いていただけのはずだった」
大学の同期・仁島くんのことが好きになってしまった、と友人・佐倉から世紀の大暴露を押し付けられた名和 正人(なわ まさと)は、その後も幾度となく呼び出されては、恋愛相談をされている。あまりのしつこさに、八つ当たりだと分かっていながらも、友人が好きになってしまったというお相手への怒りが次第に募っていく正人だったが…?

片桐くんはただの幼馴染
ベポ田
BL
俺とアイツは同小同中ってだけなので、そのチョコは直接片桐くんに渡してあげてください。
藤白侑希
バレー部。眠そうな地味顔。知らないうちに部屋に置かれていた水槽にいつの間にか住み着いていた亀が、気付いたらいなくなっていた。
右成夕陽
バレー部。精悍な顔つきの黒髪美形。特に親しくない人の水筒から無断で茶を飲む。
片桐秀司
バスケ部。爽やかな風が吹く黒髪美形。部活生の9割は黒髪か坊主。
佐伯浩平
こーくん。キリッとした塩顔。藤白のジュニアからの先輩。藤白を先輩離れさせようと努力していたが、ちゃんと高校まで追ってきて涙ぐんだ。


火傷の跡と見えない孤独
リコ井
BL
顔に火傷の跡があるユナは人目を避けて、山奥でひとり暮らしていた。ある日、崖下で遭難者のヤナギを見つける。ヤナギは怪我のショックで一時的に目が見なくなっていた。ユナはヤナギを献身的に看病するが、二人の距離が近づくにつれ、もしヤナギが目が見えるようになり顔の火傷の跡を忌み嫌われたらどうしようとユナは怯えていた。


そんなの真実じゃない
イヌノカニ
BL
引きこもって四年、生きていてもしょうがないと感じた主人公は身の周りの整理し始める。自分の部屋に溢れる幼馴染との思い出を見て、どんなパソコンやスマホよりも自分の事を知っているのは幼馴染だと気付く。どうにかして彼から自分に関する記憶を消したいと思った主人公は偶然見た広告の人を意のままに操れるというお香を手に幼馴染に会いに行くが———?
彼は本当に俺の知っている彼なのだろうか。
==============
人の証言と記憶の曖昧さをテーマに書いたので、ハッキリとせずに終わります。

離したくない、離して欲しくない
mahiro
BL
自宅と家の往復を繰り返していた所に飲み会の誘いが入った。
久しぶりに友達や学生の頃の先輩方とも会いたかったが、その日も仕事が夜中まで入っていたため断った。
そんなある日、社内で女性社員が芸能人が来ると話しているのを耳にした。
テレビなんて観ていないからどうせ名前を聞いたところで誰か分からないだろ、と思いあまり気にしなかった。
翌日の夜、外での仕事を終えて社内に戻って来るといつものように誰もいなかった。
そんな所に『すみません』と言う声が聞こえた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる