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俺たちの日常

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俺らが通っている修誠高校は、全寮制の男子校だ。一応進学校として名を馳せていて、有名な国立大学への進学率が高い。
だから子に期待する親や、良い大学に進学したいと思っている学生たちの憧れの高校でもあった。

「あ~あ、俺、青葉さんと同じ部屋だったらよかったのにな―」
「……無理だろ。同じ学年じゃないんだから」
「分かってますけどね……」
「ほら、お前、部活の時間だろ? そろそろ行かないと不味いんじゃないのか?」
「……はぁい」

和基は、離れたくないと言った素振りを見せながらも渋々動き出す。

「あ、青葉さん。今日も夕飯一緒に食べましょうね。部活済んだら迎えに行きますから、1人で先に行っちゃだめですよ?」
「……分かった」
「同室の羽瀬川さんに誘われても、ちゃんと待っててくださいよ?」
「ちゃんと待ってるから心配するな」

俺がそう返事をしてやっと安心したのか、和基は「よしっ!」と言って部活へと向かった。
何気なく見送っていると、同じサッカー部の奴らがわらわらと和基と合流して肩を組んだりじゃれ合ったりして俺から遠ざかっていく。

……本当に、俺の心配よりも自分が俺に嫉妬させていることを心配しろよな。

基本無邪気で人懐っこい和基は、いつもいつも俺を不安にさせている。
本人は、ほんっと―――に鈍感だからそれに気付いてはいないようだけど。

心の中でぶつぶつ文句を言いながら歩いていると、書道部の後輩の川北がこちらに向かって歩いてくる。どうやらこれから部活に向かうようだ。

「南野先輩、こんにちは」
「やあ、今から部活か?」
「はい。……先輩方が引退して、淋しいです」
「ハハッ。しょうがないよ。これでも受験生だからな」
「そうなんですよねー。でも、たまには気分転換に顔を出してくださいね!」
「ああ、ありがとう。そうするよ」

軽い会話を交わして、川北と別れて部屋に向かって歩いていると前方から同じ書道部に入っていた岡田が近寄って来た。

「ちょうど良かった。青葉! お前んとこ行こうとしてたんだ」
「なに?」

ちょっと面倒くさいなと思ってしまった。
だってコイツ、なんだかんだと俺に引っ付いて来ようとするんだよ。はっきり言って、正直ウザい。

「ちょっとさ、今日の授業で分からないところがあったから。青葉に教えてもらおうと思ってさ」
「……ああ」

それじゃあ、断るわけにはいかないか……。

同室の羽瀬川がいなければ、自習室へ行こうと心の中で考えた。
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