きみと運命の糸で繋がっている

くるむ

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君と運命の糸で繋がっている

動き出した朔也2

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作蔵に案内されたのは、『甘味処つばき』という店だ。
ここはみたらし団子が有名らしく、それこそ万理のような大店のお嬢様らしき女の子たちが、楽しそうにみたらし団子やところてんを食べている。

同じような年ごろの人たちの楽しそうな姿を見るのはまだ辛かった。ついつい、もしも藤が生きていたらと考えてしまうからだ。
朔也はそっと目を閉じて、細く息を吐く。そして顔を上げると、心配そうに作蔵が朔也の顔をじっと見ていた。

「…大丈夫か?」
「あ、すみません。大丈夫です」

「やあ、作蔵さん待たせたね」

手拭いで手を拭きながら、忙しなく店の主人が顔を出した。

「いやいや、それより相変わらず忙しそうだな。繁盛しているようで何よりだ。…ところで重吉さん、こないだ言ってた求人の件だが、まだ空きはあるかな」
「ああ、なかなかいい子が見つからなくてね。…もしかして、この子…?」

重吉が、朔也に視線を向けた。

「朔也と言います。一生懸命頑張りますので、良ければここで働かせて下さい」
元気よくはきはきと挨拶をし、ぺこりとお辞儀をした。

その様を横で見ていた作蔵が、どうだ?という視線を重吉に向けた。

「可愛い看板娘をと思ってはいたんだが…、君なら奥様方を虜にしてくれるかもしれないな」
「それは、俺が保証する。朔也はある意味人たらしだ」
「……」

就職が上手く行くようにと作蔵は気を遣ってくれているのだろうが、人たらしは言い過ぎだと、心の中で朔也は思っていた。だがあえて訂正はしない。

「じゃあ、今日からでも働いてもらおうか。店の二階が丁稚たちの部屋になっているから…」
そう言った後、きょろきょろと辺りを見回して、重吉が片手を上げて少年を呼んだ。

明日蘭アスラ! ちょっとこっち来い」

呼ばれた少年が、パタパタと勢いよくかけて来る。見た目の朔也よりも1つ、2つ年下に見えた。

「彼は今日から働くことになった朔也だ。君たちの部屋に案内してあげなさい。それが済んだら、ハナさんの所に案内してやってくれ」
「分かりました」

明日蘭は、そう言って朔也の方を向いた。朔也は彼に「よろしく」と挨拶をして、それから作蔵へと向き合った。

「作蔵さん、ありがとうございました。このご恩は一生忘れません」

深々と頭を下げて礼を言う朔也に、作蔵が苦笑する。

「何言ってんだ。俺とお前の仲だろ? 気にすんな。俺はお前が元気にやってくれていさえすれば、それだけで嬉しいんだから」

作蔵の温かい言葉に感謝して、朔也は明日蘭の後をついて行った。
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