きみと運命の糸で繋がっている

くるむ

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君だけは守りたい

代償

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ある程度"気"を吸収した朔也の顔色は、大分良くなっていた。痛々しい傷も、その跡も分からないくらいに綺麗に回復していた。
そして今、朔也の細胞は完璧な回復作業に入り、彼は深い眠りに落ちていた。

「良かった…。ホントに…、どうしようかと思ったんだからね…」

藤は朔也の手をギュッと握りしめて、その寝顔をじっと見つめいてた。



「藤」

しばらく朔也の傍らから離れずにいる藤の元に、ロベールが顔を出した。

「もう朔也は大丈夫だろ? ちょっとおいで」
「あ、うん…」

ロベールに呼ばれて返事をした後、藤はもう一度朔也の寝顔を見る。
本当は一時でさえ、朔也の傍を離れたくないと思っていたのだが、朔也を助けることが出来たのは間違いなくロベールのおかげだ。ロベールが現れて、助けてくれていなかったら、恐らく藤は今こうやって朔也の隣にいることは出来なかっただろう。

藤は朔也の手を優しく撫でた後、キュッと両手で包み、朔也の傍から離れて行った。


朔也が寝ている部屋の障子を閉めて外に出ると、ロベールが柱に凭れて藤を待っていた。
藤はロベールにぺこりと頭を下げる。

「ありがとう、ロベールのおかげで朔也を助けることが出来て、本当に感謝してる」
「……いや。藤も大分疲れた顔をしてるな。大丈夫か?」

「ぼくなんて…。…っ、朔…也に、助けてもらってばっかりで……っ」

立て続けに様々な事が起こっていて、藤もかなり疲弊していた。いっぱいいっぱいな中で、やり慣れない事を藤なりに頑張り続けていたのだ。
ロベールに優しく労われたことで、ずっと堪えていた涙が堰を切ってまた溢れ出してきた。

その様をじっと見ていたロベールが不意に藤の腕を掴み、グイッと強く引き寄せた。突然の出来事に藤はびっくりして身を硬くする。
藤が驚いた様に苦笑したロベールは、安心させるように藤の背中を優しく擦った。

「いいから、少し甘えろよ。気を抜いていろ」

余りにも柔らかく優しい声に、藤の硬くなっていた体も徐々に弛緩していった。
しばらく背中を擦り続けてくれるロベールに、藤も知らないうちに甘えるように凭れ掛かっていた。


「藤」

抱きしめていた腕の力を緩めて、ロベールが名前を呼ぶ。
藤が顔を上げると、ロベールがその顎を捉え唇を寄せてきた。びっくりした藤が腕を突っ張って、ロベールを避けようと抵抗する。
だけどその動きを制するように、ロベールは強引に覆い被さって藤の唇を奪った。
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