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形見を探しに
守りたい側の者たち
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朔也の記憶が戻ったことで、2人の生活サイクルは朔也が寮を出ていく前の状態に戻っていた。
二人っきりで風呂に入り部屋でのんびりする。ゴロゴロと朔也に甘え、藤が膝枕を楽しんでいたら天月が顔を出した。
「朔也! …て、あ~。記憶が戻ったって本当だったんだ…」
「あ~あ。ホントだ。残念」
天月の後から入って来た論門も、笑いながらため息を吐いた。
苦手な二人にまじまじと見られて、慌てて藤は飛び起きた。論門に関しては大分絆されてきたので前ほど緊張するわけではないのだが、逆に論門に慣れた自分を見せてしまうと、朔也を怒らせてしまうようで怖いとも思っていた。
天月も論門もそのままズカズカと中に入って来る。
「何の用だ」
つっけんどんな朔也の態度に天月が剥れる。
「何の用だは無いだろ! 今朝まであんなに仲良くしてたのに! …ちょっと、藤退きなよ」
ぴったりと朔也に張り付くようにくっ付いている藤に、天月が眉間にしわを寄せた。ムッとした気持ちのまま、藤の肩を思いっきり押す。
それに対し、藤もカチンとくる。天月ばかりでなくその周りからも嫌がらせを受けてきた藤は、負けじと反撃に出た。天月を足で蹴とばして、朔也の腕に抱き着く。
今度はそれに憤慨した天月が藤を叩き、気が付いたら藤は朔也にくっ付いたまま、空いている手で天月をパシパシと叩き続けた。
「おいおい、藤」
まるで幼い子供がおもちゃを取り合うように、ムキになって叩きあう二人に唖然として、朔也が藤を引き寄せた。そのせいで藤と朔也はさらに密着する格好になる。
「天月、よせよせ。いくら天月でもこの二人は、そうそう引き離すことなんて出来やしないよ。なあ、藤?」
「!?」
論門に意味深に見られて、藤の居心地が悪くなる。さらにキュキュッと朔也にくっ付いて、背後に隠れてしまった。
「あれ、論門に天月だ」
泰三の声に振り向くと、颯太や雄大らも一緒だ。風呂も済ませて戻ってきたようだ。
「なんだ、天月はまだ朔也を諦めてないのか」
「そうだよ、悪い? もう~、ホント腹立つなあ。朔也もそんなに藤が良いわけ?」
一瞬、泰三に返事を返した後、また朔也たちの方を向く。いつまで経っても離れる気配の無い二人に、天月は剥れていた。
「まあね」
悪びれもなく即答する朔也に、天月はあからさまに嫌そうな顔をする。
「…分かった。今日はもういいや。また明日ね」
「ああ、じゃあな」
「天月、帰るのか。送ってこうか」
立ち上がる平吉に、天月は笑って手を振って、そのまま部屋を出て行った。
「振られたなー、天月は朔也じゃないとダメなんだってさ」
「るせーよ!」
ワイワイ騒ぎながらにぎやかな面々に、藤が朔也の傍から離れてもぞもぞと近寄っていく。
彼らの手元にある、写真に興味がいっていたのだ。
「これ、何?」
「ああ、写真だ写真。見るの初めてか?」
「うん。聞いたことはあるけど見るのは初めてだ。綺麗だね…」
「美人だよな。夜のおかずにもなるってもんだ」
「おかず…///」
「うおっ。藤が真っ赤になった。ヤ―、こう見えても男なんだなあ…」
「おいおい、藤を揶揄うなよ」
ワイワイと美人芸者の写真を見ながら盛り上がるみんなから離れたまま、朔也はゆったりと藤を見ていた。そこへ雄大が腰を下ろす。
朔也に話しかけるわけでもなく、ただじっと前を見ている雄大。
朔也が雄大の視線を追うと、じっと藤だけを見つめているようだった。
視線はそのままに、雄大が朔也に話しかけた。
「…朔也がいない間、みんな藤に近づこうと一生懸命だったよ」
「え?」
突然雄大に声を掛けられ、しかも内容が内容なだけに、朔也は眉間にしわを寄せて雄大を見る。そこで初めて雄大も朔也に視線を移した。
「可愛いからね、藤」
「…天月にしとけばいいのに。東雲一の美少年なんだろ」
ムッとして答える朔也に雄大も苦笑いを浮かべる。
「…まあ、そうなんだけどね」
目を伏せてポツリと呟くように返事をする雄大に、朔也はこの際だからと、気になっていたことを聞こうと思い口を開いた。
「…雄大も藤の方が可愛いって思うのか?」
突然の朔也の質問に、雄大は一瞬目を見開いてクスリと笑った。
「そりゃ天月は可愛いとは思うけど、守ってあげるってタイプじゃないもの。…初めて藤を見た時はびっくりしたよ。何か、人を惹きつけるものを持ってるよね。包み込んであげたくなるような…」
「…そうだな」
「朔也も、やっぱりそう思うんだ…」
静かに笑って雄大は、また視線を藤に戻した。
雄大の視線の先の藤は、赤くなったり剥れたりしながら皆とワイワイ騒いでいる。
無邪気で甘えん坊で我儘な藤。
だけど、そんな彼だからこそ自分には必要なのだ。
そして彼を守れるのは自分しかいない。そんな自負を胸に、朔也はそのまま藤だけを見つめ続けた。
二人っきりで風呂に入り部屋でのんびりする。ゴロゴロと朔也に甘え、藤が膝枕を楽しんでいたら天月が顔を出した。
「朔也! …て、あ~。記憶が戻ったって本当だったんだ…」
「あ~あ。ホントだ。残念」
天月の後から入って来た論門も、笑いながらため息を吐いた。
苦手な二人にまじまじと見られて、慌てて藤は飛び起きた。論門に関しては大分絆されてきたので前ほど緊張するわけではないのだが、逆に論門に慣れた自分を見せてしまうと、朔也を怒らせてしまうようで怖いとも思っていた。
天月も論門もそのままズカズカと中に入って来る。
「何の用だ」
つっけんどんな朔也の態度に天月が剥れる。
「何の用だは無いだろ! 今朝まであんなに仲良くしてたのに! …ちょっと、藤退きなよ」
ぴったりと朔也に張り付くようにくっ付いている藤に、天月が眉間にしわを寄せた。ムッとした気持ちのまま、藤の肩を思いっきり押す。
それに対し、藤もカチンとくる。天月ばかりでなくその周りからも嫌がらせを受けてきた藤は、負けじと反撃に出た。天月を足で蹴とばして、朔也の腕に抱き着く。
今度はそれに憤慨した天月が藤を叩き、気が付いたら藤は朔也にくっ付いたまま、空いている手で天月をパシパシと叩き続けた。
「おいおい、藤」
まるで幼い子供がおもちゃを取り合うように、ムキになって叩きあう二人に唖然として、朔也が藤を引き寄せた。そのせいで藤と朔也はさらに密着する格好になる。
「天月、よせよせ。いくら天月でもこの二人は、そうそう引き離すことなんて出来やしないよ。なあ、藤?」
「!?」
論門に意味深に見られて、藤の居心地が悪くなる。さらにキュキュッと朔也にくっ付いて、背後に隠れてしまった。
「あれ、論門に天月だ」
泰三の声に振り向くと、颯太や雄大らも一緒だ。風呂も済ませて戻ってきたようだ。
「なんだ、天月はまだ朔也を諦めてないのか」
「そうだよ、悪い? もう~、ホント腹立つなあ。朔也もそんなに藤が良いわけ?」
一瞬、泰三に返事を返した後、また朔也たちの方を向く。いつまで経っても離れる気配の無い二人に、天月は剥れていた。
「まあね」
悪びれもなく即答する朔也に、天月はあからさまに嫌そうな顔をする。
「…分かった。今日はもういいや。また明日ね」
「ああ、じゃあな」
「天月、帰るのか。送ってこうか」
立ち上がる平吉に、天月は笑って手を振って、そのまま部屋を出て行った。
「振られたなー、天月は朔也じゃないとダメなんだってさ」
「るせーよ!」
ワイワイ騒ぎながらにぎやかな面々に、藤が朔也の傍から離れてもぞもぞと近寄っていく。
彼らの手元にある、写真に興味がいっていたのだ。
「これ、何?」
「ああ、写真だ写真。見るの初めてか?」
「うん。聞いたことはあるけど見るのは初めてだ。綺麗だね…」
「美人だよな。夜のおかずにもなるってもんだ」
「おかず…///」
「うおっ。藤が真っ赤になった。ヤ―、こう見えても男なんだなあ…」
「おいおい、藤を揶揄うなよ」
ワイワイと美人芸者の写真を見ながら盛り上がるみんなから離れたまま、朔也はゆったりと藤を見ていた。そこへ雄大が腰を下ろす。
朔也に話しかけるわけでもなく、ただじっと前を見ている雄大。
朔也が雄大の視線を追うと、じっと藤だけを見つめているようだった。
視線はそのままに、雄大が朔也に話しかけた。
「…朔也がいない間、みんな藤に近づこうと一生懸命だったよ」
「え?」
突然雄大に声を掛けられ、しかも内容が内容なだけに、朔也は眉間にしわを寄せて雄大を見る。そこで初めて雄大も朔也に視線を移した。
「可愛いからね、藤」
「…天月にしとけばいいのに。東雲一の美少年なんだろ」
ムッとして答える朔也に雄大も苦笑いを浮かべる。
「…まあ、そうなんだけどね」
目を伏せてポツリと呟くように返事をする雄大に、朔也はこの際だからと、気になっていたことを聞こうと思い口を開いた。
「…雄大も藤の方が可愛いって思うのか?」
突然の朔也の質問に、雄大は一瞬目を見開いてクスリと笑った。
「そりゃ天月は可愛いとは思うけど、守ってあげるってタイプじゃないもの。…初めて藤を見た時はびっくりしたよ。何か、人を惹きつけるものを持ってるよね。包み込んであげたくなるような…」
「…そうだな」
「朔也も、やっぱりそう思うんだ…」
静かに笑って雄大は、また視線を藤に戻した。
雄大の視線の先の藤は、赤くなったり剥れたりしながら皆とワイワイ騒いでいる。
無邪気で甘えん坊で我儘な藤。
だけど、そんな彼だからこそ自分には必要なのだ。
そして彼を守れるのは自分しかいない。そんな自負を胸に、朔也はそのまま藤だけを見つめ続けた。
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