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番外編

ねこショーン

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my_dear_roseさんからのリクエストです。ありがとうございます
(本編が、次から流れが変わってくるのでキリのいいこちらに挿入させてもらうことにしました)


 お昼休みに、2人の少年が学園の片隅で何やらごそごそと不審な動きをしていた。 2人は子爵令息と伯爵令息だが完全にモブなので、とりあえずA男、B男としておく。彼らはエイドリアンに密かに憧れていて、ずっとショーンを疎ましく思っていた。

「ショーン様の髪の毛拾ってきたか?」
「ああ、ほら」

 苦労したんだぞと言いながら、B男が拾ってきた三本の髪の毛を出した。それを土で作った10cmくらいの泥人形に突き刺す。それにカットした猫の毛をばら撒き、コモンルーをはじめとした数種類の植物の屑、黒石をばらまいた。

「そして呪文を唱えるんだそうだ」

 A男は古びた小さな一冊の書物を広げ、B男が聞いたことのないような呪文を唱える。B男はドキドキしながらその様子を見守った。
 だが泥人形に、何の変化もなかった。

「おい、これであってるのか?」
「じゃないのか? 本に書いてある通りにやったんだが」
「ちょっと見せてみろよ」
 B男がA男の持ってる本を受け取った。表紙には、『呪いの手引き初心者用』と書いてある。

「……けどこれ、どんな呪いにかかるのかって書いてないな」
「うん、でも初心者用だから死んだりとか、そういうことにはならないんじゃねーの? 一番簡単な呪い方だったからこれに決めたんだけど」

「でもこんな本よく手に入ったな」
「ああ。……叔父上が亡くなってな。それで形見を持って行っていいぞって言われたから、面白そうだなと思って、これももらって来た」
「叔父上って、呪術や魔女とかに関心を持ってたあの?」
「そ。変わってたけど、楽しい方だったんだよなあ」



 ちょうどその頃、ショーンたちはお昼ご飯を食べ終え、カフェを出ようとしているところだった。

「あれ?」
「どうしたショーン」
「うん、お尻がもぞもぞしてなんかきついです」

「!!?」
「ショーン!」
「ショーン様?」

 え、なに?

 えっ? えっ? 

 エイドリアンや兄上たちだけじゃなく、気がついたらカフェにいる大半の人が僕を凝視している。
 
「かわいいですわ」
「なんだあの驚異的な可愛さは」

 ど、どういうこと? もしかしてみんなの話題になってるのって僕のことなの?

 ガタンと勢いよく立ったエイドリアンが、僕を抱きかかえて走りだした。
 えええー?
 何がどうなってるのー?


 続きます。
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