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エイドリアンの告白
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交流会が間近になり、学園内の雰囲気はふわふわしている。令嬢同士ではドレスの話題に花が咲き、片思いを実らせた者たちはそこかしこで愛を語らい合っている。
みんながみんな両想いでパートナーになったわけではないのだろうけれど、とにかく壁の花にならずに済んだという思いから、ほっとした雰囲気が漂っていた。
死ぬ前の僕は、そんな中からあぶれていたんだよな。
昼食を食べ終えた後エイドリアンに呼ばれ、2人で中庭のベンチに座っている。相変わらず居心地の悪さと不思議な気持ちはあるけれど、2度目ともなれば少しは慣れた。
少し離れたところでも同じように2人組の人がいる。彼らも交流会でパートナーを組む相手だろうか。
「タキシードはもう届いたのかい?」
「はい。3日ほど前に」
モード商が来たときのことを思い出して、笑みがこぼれた。
「どうした?」
「あっ、すみません。採寸を取る時の母上のことを思い出してました。生地やレースまで、細かいデザインに関することにまで口を出してまして、なんだかはしゃいでるように見えたので」
「うれしかったんじゃないのかな。かわいい息子が着飾るんだ。――ショーンはパーティーが初めてなんだろ?」
「はい。僕は素行が悪すぎたので、父上から仮病を通すように言い渡されてましたから」
「それは、アランが羨ましかったからだろう?」
「えっ?」
言葉にしたことなどないはずなのに、それを言い当てられて、心臓がキュッとなった。
「アランは真面目だし、頭がいい。しかも嫡男だからショーンとは教育のあり方も違って差ができた。それに劣等感を覚えていたんだろう?」
「…………」
自分が今まで隠してきた気持ちを言い当てられて、いい気持ちなどするわけなかった。俯いて唇をキュッとかんだ。
頭上に、温かい手のひらがポンと乗っかり、えっ?と思う。
「ショーンも真面目で可愛いよね」
「……え?」
「アランに憧れてアランのようになりたかったんだろ? だけど、どうしても思うようにいかないものだから自分に嫌気が差して他人と上手く接することができなくなっちゃったんだよな? 不器用で真面目で可愛いよ」
「……エイドリアン」
エイドリアンが僕の両手をぎゅっと包み込むように握る。
「俺はそんなショーンをずっと見てきた。優しく手を引いて守ってやれないだろうかといつも考えていた。――俺は、ショーンのことが好きなんだ。俺とのこと、真剣に考えてくれないか」
ブルーグリーンの瞳が、真剣な色を見せた。
みんながみんな両想いでパートナーになったわけではないのだろうけれど、とにかく壁の花にならずに済んだという思いから、ほっとした雰囲気が漂っていた。
死ぬ前の僕は、そんな中からあぶれていたんだよな。
昼食を食べ終えた後エイドリアンに呼ばれ、2人で中庭のベンチに座っている。相変わらず居心地の悪さと不思議な気持ちはあるけれど、2度目ともなれば少しは慣れた。
少し離れたところでも同じように2人組の人がいる。彼らも交流会でパートナーを組む相手だろうか。
「タキシードはもう届いたのかい?」
「はい。3日ほど前に」
モード商が来たときのことを思い出して、笑みがこぼれた。
「どうした?」
「あっ、すみません。採寸を取る時の母上のことを思い出してました。生地やレースまで、細かいデザインに関することにまで口を出してまして、なんだかはしゃいでるように見えたので」
「うれしかったんじゃないのかな。かわいい息子が着飾るんだ。――ショーンはパーティーが初めてなんだろ?」
「はい。僕は素行が悪すぎたので、父上から仮病を通すように言い渡されてましたから」
「それは、アランが羨ましかったからだろう?」
「えっ?」
言葉にしたことなどないはずなのに、それを言い当てられて、心臓がキュッとなった。
「アランは真面目だし、頭がいい。しかも嫡男だからショーンとは教育のあり方も違って差ができた。それに劣等感を覚えていたんだろう?」
「…………」
自分が今まで隠してきた気持ちを言い当てられて、いい気持ちなどするわけなかった。俯いて唇をキュッとかんだ。
頭上に、温かい手のひらがポンと乗っかり、えっ?と思う。
「ショーンも真面目で可愛いよね」
「……え?」
「アランに憧れてアランのようになりたかったんだろ? だけど、どうしても思うようにいかないものだから自分に嫌気が差して他人と上手く接することができなくなっちゃったんだよな? 不器用で真面目で可愛いよ」
「……エイドリアン」
エイドリアンが僕の両手をぎゅっと包み込むように握る。
「俺はそんなショーンをずっと見てきた。優しく手を引いて守ってやれないだろうかといつも考えていた。――俺は、ショーンのことが好きなんだ。俺とのこと、真剣に考えてくれないか」
ブルーグリーンの瞳が、真剣な色を見せた。
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