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ブライアン視点

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 最近少し戸惑っている。戸惑っている原因は、ショーン・A・マクラーレンだ。

 父上の友人がマクラーレン侯爵と親交があることからショーンとの婚約話が持ち上がった。とはいっても正式に決まったわけではない。
 
 彼は淡いブラウンのふわふわとした緩い癖のある髪に白い肌、そしてローズ色の唇といった容姿で可愛らしく、私好みのタイプではあった。だけど性格にかなりの難があった。癇癪持ちで常にイライラしていて、自己主張が強く、みんなの嫌われ者だった。
 しかも候補と言うだけで婚約者でもないのに追いかけ回されて心底うんざりした。その上、友人のジェイミーをもライバル扱いし、よく喧嘩を吹っかけていた。

 大嫌いだったんだ、間違いなく。


 なのに最近様相が違ってきた。

 私を見てもジェイミーを見ても、彼は何の反応もしなくなった。以前は私たちを見るとすっとんできて、ギャーギャーわめき散らしていたのに。今では目も合わそうとしない。

 おまけに、迷惑をかけて悪かったと謝ってきた。
 調子が狂う……。

 おかげで最近は、彼を見ると私のほうが目で追うようになってしまった。


「ブライアン様、交流会どうなさるんですか?」
「えっ?」
「パートナーまだ決めてないでしょ? みんな気にしてますよ」
「……ああ」
「僕も気になりますし」
 ジェイミーの言葉に、トーマスやキースもうなずく。

「お似合いなんですから、ジェイミーと一緒にパートナーを組んだらどうです?」と、トーマス。
キースも、「いいと思います」と満面の笑顔だ。

 ジェイミーは幼馴染で付き合いが長く、何でも言い合える一番親しい友人だ。愛嬌があって可愛いからつい構いたくなるけれど、彼は気も強かったりするのだ。
 だけどそれはショーンのように常軌を逸したようなものではなく、好ましいと思える程度だ。

「だけど、ジェイミーは? 何人かから申し込みを受けていただろう? 気になる人はいなかったのか?」
「いませんでした! ブライアン様はいたんですか?」
 ジェイミーは拗ねたように唇を尖らした。
「いや、私もいなかったよ」
「それじゃあ、僕のパートナーになってくれませんか?」
「えっ?」
「だって、パートナー組まないと壁の花的存在になるんでしょ? それよりも堂々とダンスをして楽しみたいじゃないですか。……ブライアン様が嫌だって言うなら仕方ないですけど」

 なるほど。ジェイミーは交流会に堂々と参加したいけど、パートナーになりたい相手がいないってことなんだな。
 まあ、私も同じような状況だもんな。
 
「いいよ。私のパートナーになってくれるかい?」
「はい、よろしくお願いします!」

 嬉しそうなジェイミーが可愛い。きっとこれで良かったんだろう。

 聞けば、キースもトーマスもすでにパートナーが決まっていた。それで私とジェイミーが決まってないことが気になっていたらしい。なんとも友達思いな2人だ。


 それからすぐに、私とジェイミーがパートナーを組んだことがうわさになっていて呆れた。だけどそれと同時に聞こえてきた、ショーンとエイドリアン様がパートナーを組んだという噂に、私はなぜかショックを受けていた。
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