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一生大切にするって一生童貞?

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「行くぞ…」

荒い息で囁いたかと思ったら、先輩がガシガシと下から突き上げる。

「ちょっ、あっ、ま…っ。ああっ…、ひぁっ、あっ、あ、ああぁんんっ…」

あり得ない真逆の状況に混乱しながらも、僕の体を熱いうねりが沸き上がり、目の眩むような快感とともに白くはじけた。




気が付いたら先輩の腕の中だった。
気持ちのいい脱力感に、目を開けたままぼーっとしていたら、もぞもぞと先輩の体が動く。

「先輩…?」
「んー、…何時だ?」

眠そうな先輩の問いに答えるべく、顔をずらし壁にかかっている時計を見上げる。

「八時回ってます」
「そうか…。そろそろ起きなきゃな」

いつもより気怠そうな先輩に、いろいろと無理をさせてしまったんだなと反省してしまう。

…そうだよね。本来なら僕が先輩の役割をすべきだったのに、気が付いたらあんな…。
あ、ありえないだろ。あんな、あんな情けない…っ!
恥ずかしさに悶々としていたら、先輩の温かな手が、僕の頭を撫でてくれた。

「伸之助」
「…っ、はい…」
「そろそろ気づいてくれてると思うけど、お前は他人より感じやすいんだよ」
「~~~~~」

頭を撫でていたその手を下ろして、先輩が僕に向き合う。

「だからな、さっきのあの状態は俺が相手だからじゃないぞ。相手が他の誰かでも同じ状態になるんだからな」
「他の…誰か?」
「そうだ。だから誰かと試そうだなんて考えるんじゃないぞ」

先輩のあんまりな言葉にカチンとくる。

「試しませんよ、そんな事っ。先輩大事な事忘れてる! 僕は先輩に触れられるから気持ちいいんです。ほかの誰かとだなんてそんな事、考えるわけないじゃないですかっ!」

真っ赤になって反論する僕の怒った顔を、目を見開いてみていた先輩だったけど、その内それは嬉しそうなものに変わっていった。

「そっか。そっか…」

目を細めて優しい笑顔で僕を見つめる先輩。久しぶりに見る王子様な笑顔に、僕の頬も熱くなってきた。

「大好きなんですからね、先輩の事」

ふてくされるようにそう言うと、先輩は笑って僕を引き寄せてくれた。



シャワーを浴び終わって、お手伝いさんの作ってくれた夕飯を食べようと準備に入る。
かぼちゃのコロッケと、海鮮サラダ、それと豚汁。どれも僕の大好きなものばかりだ。

ただ、僕たちがアレだったので、出来上がってから随分時間が経ってしまっていて、せっかくの料理も冷えてしまっている。なので、コロッケはトースターで豚汁は火にかけて温めてから食卓に着く。

「んま~い♡♡」

ああ、至福の時間♪ 先輩んちのお手伝いさんの料理も、すっごく美味しいんだ。

「伸之助の好みばかりだろ?」
「はい! あ、もしかして頼んでくれたんですか?」
「まあね」

頷きながら先輩も、美味しそうにコロッケを頬張っていた。




「…美代さんに料理習うかな」
「え?」

食事を終えて二人で洗い物をしていると、先輩がポツリとつぶやいた。

…先輩、料理に興味なんかあったっけ?
先輩の口から飛び出すとは思えない意外な言葉に、キョトンと先輩を見上げると、なんだか苦笑いをしている。

「伸之助さぁ、ほんっと美味しいものに目がないだろ。今は良いけど倦怠期とかに入っちまったら、料理上手な奴に靡いて行きそうで心配なんだよな」
「ちょっとー、先輩ー?」
「しょーがないだろ。惚れた弱みで、心配あり過ぎなんだから」

何だかとっても腑に落ちないけど、僕を見る先輩の、ちょっぴり眉を下げた情けない表情はなんて言うか…。
うん。可愛いなんて思っちゃったよ。

「じゃあ、僕も一緒に習います!」
「え?」

本気で驚いたんだろう。先輩がぱちくりと僕を見つめる。
そして、ほころぶ様に、先輩の表情が柔らかく甘く蕩けていく。

「そうだな。じゃあ、お互いに餌付けしあおう」
「はい」


二人で「ふふふ」と笑いあい、泡立った皿をお水で流していく。
綺麗になった皿たちが、かごの中に積み上げられていった。



先の事だからどうなるかは分からないけど、
今は二人、一生続く二人の世界が楽しく幸せであるようにと、僕は祈っていた。


おしまい♡
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みんなの感想(2件)

gd19880818
2018.06.18 gd19880818

読むの2回目です!
何回読んでも面白い作品です‎|•'-'•)و✧
甘々だし、にぶいとこが可愛く感じるし⸜( ॑꒳ ॑ )⸝
オススメです!

くるむ
2018.06.18 くるむ

感想ありがとうございます!
再度読みに来ていただいただなんて、うれしすぎて今晩眠れないかもヽ(〃v〃)ノ
おススメまでしていただいて、恐縮です( *・ω・)*_ _))ペコリン

解除
mallin
2017.06.05 mallin

無自覚に煽ってますね・この後もますます?
蓮が伸之助を大切にしているのがいいなぁ。

毎日の更新ありがとうございます。
登場人物達が作者さんに大切にされている作品だなぁと思って安心して読んでます。

甘々な展開、期待していいでしょうか?
これからも楽しみにしています。

くるむ
2017.06.06 くるむ

感想ありがとうございます。
はい。彼らに愛情だけはたっぷりあります(*^-^*)

まさにこの後、甘々展開です。
そしてこの章が終わった後、番外編的にワハハな展開が待っています(汗)
それにつきましては、この章が済んだ後に近況ボードにでも書こうかと思っておりますので、確認していただけると嬉しいです。

解除

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