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無自覚美少年の男子校ライフ♪
幸せな時間2
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シャワーを済ませて出てくると、タイミングを見計らってくれていたのか、先輩がテーブルの上にトーストや温め終わったスープを並べていた。
僕の今の恰好は先輩が出してくれていたロンTに、自分が穿いて来ていたスキニーパンツ。
…よかったよ。ボトムまで洗濯機に入れてなくて、もし本当に全部入れちゃってたら今頃足がスースーしているところだった。
僕がテーブルに近づいていくと、先輩が僕の姿を確認して、がっかりしたような笑みをこぼした。
「あーあ、残念。脚丸見えで恥ずかしがる伸之助が見たかったんだけどな」
「せ、先輩…」
「ま、いいから座れよ。飯にしよう」
先輩に促されて席に着いた。真正面に座る先輩をチラッと伺うと、甘く蕩けるような表情で僕を見ている。
それがすごく居た堪れなくて恥ずかしくて、僕は視線をさまよわせた後トーストに手を伸ばして、一口齧った。
表面がサクサクとして、中がふわりと柔らかい。しかもパンに塗られているのはバターだけなのに、なんだコレ。甘みとコクがあって凄くおいしい。
あまりの美味しさに、ハムスターのように口いっぱいに放り込みモグモグしていると、先輩にクスリと笑われた。
「慌てなくても逃げないからゆっくり食べれよ。喉に痞えても知らないぞ」
先輩に笑いながら諭されて恥ずかしくなってしまった。
…とにかく落ち着こう。
ある程度パンを飲み込んだ後、僕はスープに手を伸ばした。
朝食が済んで食器を片付けた後、先輩にソファに誘導された。
肩を抱かれて先輩に寄りかかる。そうやって、先輩の体温を感じているとだんだん眠気が襲ってきた。僕がもぞもぞしているとそれを察したらしい先輩が、肩に回したその手で、僕の髪を優しく撫でてくれた。
「眠いんだろ? いいよ、そのまま寝ても。起こしてやるから」
温かい体温と、優しく撫でてくれるその手の感触が気持ちよくて、僕はまどろみの中へとゆっくりと落ちていった。
微睡の中、ゆらゆらと揺り籠に揺られるような感覚。柔らかな何かに包まれる幸せな感触に、僕は深い深い眠りへと誘われていった。
「どうしましょうか?お昼は。オムライスでもと思っていたのですが、よく眠ってらっしゃるのなら起こすのはかわいそうですね」
「そうだな。ちょっと見てくるか」
先輩の香りのするシーツに埋もれて微睡んでいると、小さく声が聞こえてきた。
ああ、もうそんな時間か…。
てっ、お手伝いさん、もう来てるんだ!
僕はガバッと飛び起きて、寝癖であちこちに跳ねているだろう髪を手櫛で整えた。
「ああ、起きてたか。どうする? これからオムライス作ってくれるそうだけど」
「あ、起きます! オムライスも大好きです」
相変わらず食い意地の張った僕の返事に、先輩が苦笑する。
「なんだか心配だな。料理のうまい奴に言い寄られたら、靡いちゃうんじゃないだろうな」
「え!? 酷いです。いくら僕でもそんなに食い意地張ってません!」
揶揄われた事にしっかり反応すると、先輩は僕の頭を撫でながら大笑いをした。チクショウ。
美代さんのおいしいオムライスを食べ終えて、また先輩の部屋に行く。お手伝いの美代さんには僕に勉強を教えてくるなんて言っていたけど、実際は二人でベッドに腰かけてキスをしたり、もたれ掛かったりと始終くっついてイチャイチャしていた。
「…そろそろ帰らないといけない時間かな」
「え?」
時計を見ると、もう5時前だ。楽しい時間ほどアッという間なんだよな。
シュンとして先輩を見ると、きゅっと僕を抱きしめてくれた。
「また、デートしような。その気になればいつだって、こういう時間は作れるから」
「…はい」
とっても名残惜しいけれど、またの時間を約束して、僕は先輩に家まで送ってもらった。
僕の今の恰好は先輩が出してくれていたロンTに、自分が穿いて来ていたスキニーパンツ。
…よかったよ。ボトムまで洗濯機に入れてなくて、もし本当に全部入れちゃってたら今頃足がスースーしているところだった。
僕がテーブルに近づいていくと、先輩が僕の姿を確認して、がっかりしたような笑みをこぼした。
「あーあ、残念。脚丸見えで恥ずかしがる伸之助が見たかったんだけどな」
「せ、先輩…」
「ま、いいから座れよ。飯にしよう」
先輩に促されて席に着いた。真正面に座る先輩をチラッと伺うと、甘く蕩けるような表情で僕を見ている。
それがすごく居た堪れなくて恥ずかしくて、僕は視線をさまよわせた後トーストに手を伸ばして、一口齧った。
表面がサクサクとして、中がふわりと柔らかい。しかもパンに塗られているのはバターだけなのに、なんだコレ。甘みとコクがあって凄くおいしい。
あまりの美味しさに、ハムスターのように口いっぱいに放り込みモグモグしていると、先輩にクスリと笑われた。
「慌てなくても逃げないからゆっくり食べれよ。喉に痞えても知らないぞ」
先輩に笑いながら諭されて恥ずかしくなってしまった。
…とにかく落ち着こう。
ある程度パンを飲み込んだ後、僕はスープに手を伸ばした。
朝食が済んで食器を片付けた後、先輩にソファに誘導された。
肩を抱かれて先輩に寄りかかる。そうやって、先輩の体温を感じているとだんだん眠気が襲ってきた。僕がもぞもぞしているとそれを察したらしい先輩が、肩に回したその手で、僕の髪を優しく撫でてくれた。
「眠いんだろ? いいよ、そのまま寝ても。起こしてやるから」
温かい体温と、優しく撫でてくれるその手の感触が気持ちよくて、僕はまどろみの中へとゆっくりと落ちていった。
微睡の中、ゆらゆらと揺り籠に揺られるような感覚。柔らかな何かに包まれる幸せな感触に、僕は深い深い眠りへと誘われていった。
「どうしましょうか?お昼は。オムライスでもと思っていたのですが、よく眠ってらっしゃるのなら起こすのはかわいそうですね」
「そうだな。ちょっと見てくるか」
先輩の香りのするシーツに埋もれて微睡んでいると、小さく声が聞こえてきた。
ああ、もうそんな時間か…。
てっ、お手伝いさん、もう来てるんだ!
僕はガバッと飛び起きて、寝癖であちこちに跳ねているだろう髪を手櫛で整えた。
「ああ、起きてたか。どうする? これからオムライス作ってくれるそうだけど」
「あ、起きます! オムライスも大好きです」
相変わらず食い意地の張った僕の返事に、先輩が苦笑する。
「なんだか心配だな。料理のうまい奴に言い寄られたら、靡いちゃうんじゃないだろうな」
「え!? 酷いです。いくら僕でもそんなに食い意地張ってません!」
揶揄われた事にしっかり反応すると、先輩は僕の頭を撫でながら大笑いをした。チクショウ。
美代さんのおいしいオムライスを食べ終えて、また先輩の部屋に行く。お手伝いの美代さんには僕に勉強を教えてくるなんて言っていたけど、実際は二人でベッドに腰かけてキスをしたり、もたれ掛かったりと始終くっついてイチャイチャしていた。
「…そろそろ帰らないといけない時間かな」
「え?」
時計を見ると、もう5時前だ。楽しい時間ほどアッという間なんだよな。
シュンとして先輩を見ると、きゅっと僕を抱きしめてくれた。
「また、デートしような。その気になればいつだって、こういう時間は作れるから」
「…はい」
とっても名残惜しいけれど、またの時間を約束して、僕は先輩に家まで送ってもらった。
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