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無自覚美少年の男子校ライフ♪
気になる2人 2
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食事がすんで会計を済ませていると、一葉たちも出てきた。
事前に先輩が支払うという事で押し切られていた僕は、大人しく少し離れたところで待っていた。
「待たせたな、行こうか」
「あ。いえ。あの、ごちそうさまでした、美味しかったです!」
ペコリと勢いよく頭を下げてお礼を言ったのだけど、先輩は少し曖昧にほほ笑んで僕の頭を撫でた。
…やっぱ、僕の微妙な気持ち、気づかれちゃってるみたいだな。
本当のところ、美味しかったのは美味しかったんだけど、堪能して味わえたかというと嘘になる。
一旦気になってしまった一葉と先輩との過去や関係は、僕の頭からなかなか離れてくれなかったんだ。
「蓮さま!」
その場から離れようと歩きかけた僕らに、石田が後ろから声をかけてきた。
「良かったらこれからどっか遊びに行きませんか? まだまだ早い時間ですし」
「ああ、いや…」
「石田! 何言ってるんだよ。お邪魔だろ。蓮さまを困らせること言うんじゃないよ」
先輩の声に被せて、一葉が慌てて口を挿んだ。
「え~? だってさぁ」
石田は何かを言いたげに僕をチラリと横目で見る。まるで僕の方が邪魔だと言わんばかりの態度だ。
ムッとはしたけど、口を挿む気にはなれなかった。
実際、僕だって先輩にお似合いなのは一葉の方だって思ってしまっているんだもの…。
「悪いな、石田。今日は伸之助とのデートなんだ」
先輩はそう言いながら、僕の背中に手を当てた。そして空いてる手を上げて、「じゃあな」といい僕の背中を押して歩き出した。
先輩の家までは、タクシーに乗って帰った。
最初は初めて行く先輩の家やお泊りするという事にドキドキしながら入ったのに、今は意気消沈してしまって、一葉への嫉妬や負い目という情けない気持ちでいっぱいで複雑な気分だ。
「どうぞ」
先輩に促されて中に入り、リビングのソファに座る。
ふわっと吸い付くように体に馴染み、柔らかく包み込むようなフィット感。それでもって今まで感じた事の無い硬めで安定したすわり心地に、凄い高級ソファなんだろうなと、変な所に感心していた。
…って、なに考えてるんだろ僕。
逃げてんだろうな。先輩と向き合いたくなくて。
ハアッ。思わず吐いたため息に、先輩が緩く笑って僕の隣に腰かけた。
「言いたい事、あるだろ?」
突然直球で聞かれて、ビクッと体が揺れた。
答えられずに固まる僕に、先輩の掌が僕の頬をゆっくりと撫でる。
ゆっくりゆっくりと優しく根気よく撫でられて、僕の硬くなっていた気持ちも少しずつ解れてきた。
「…先輩」
「ん?」
バクバクと煩くなる心臓。冷や汗で、手もべたついてきた。
だけどやっぱりこのまま、燻った気持ちを無かった事に出来るはずがない。
ギュッと手を握りしめて、先輩の方を向いた。
「一葉と…、付き合っていたんですか?」
僕の質問に、先輩は目を見開いた。
事前に先輩が支払うという事で押し切られていた僕は、大人しく少し離れたところで待っていた。
「待たせたな、行こうか」
「あ。いえ。あの、ごちそうさまでした、美味しかったです!」
ペコリと勢いよく頭を下げてお礼を言ったのだけど、先輩は少し曖昧にほほ笑んで僕の頭を撫でた。
…やっぱ、僕の微妙な気持ち、気づかれちゃってるみたいだな。
本当のところ、美味しかったのは美味しかったんだけど、堪能して味わえたかというと嘘になる。
一旦気になってしまった一葉と先輩との過去や関係は、僕の頭からなかなか離れてくれなかったんだ。
「蓮さま!」
その場から離れようと歩きかけた僕らに、石田が後ろから声をかけてきた。
「良かったらこれからどっか遊びに行きませんか? まだまだ早い時間ですし」
「ああ、いや…」
「石田! 何言ってるんだよ。お邪魔だろ。蓮さまを困らせること言うんじゃないよ」
先輩の声に被せて、一葉が慌てて口を挿んだ。
「え~? だってさぁ」
石田は何かを言いたげに僕をチラリと横目で見る。まるで僕の方が邪魔だと言わんばかりの態度だ。
ムッとはしたけど、口を挿む気にはなれなかった。
実際、僕だって先輩にお似合いなのは一葉の方だって思ってしまっているんだもの…。
「悪いな、石田。今日は伸之助とのデートなんだ」
先輩はそう言いながら、僕の背中に手を当てた。そして空いてる手を上げて、「じゃあな」といい僕の背中を押して歩き出した。
先輩の家までは、タクシーに乗って帰った。
最初は初めて行く先輩の家やお泊りするという事にドキドキしながら入ったのに、今は意気消沈してしまって、一葉への嫉妬や負い目という情けない気持ちでいっぱいで複雑な気分だ。
「どうぞ」
先輩に促されて中に入り、リビングのソファに座る。
ふわっと吸い付くように体に馴染み、柔らかく包み込むようなフィット感。それでもって今まで感じた事の無い硬めで安定したすわり心地に、凄い高級ソファなんだろうなと、変な所に感心していた。
…って、なに考えてるんだろ僕。
逃げてんだろうな。先輩と向き合いたくなくて。
ハアッ。思わず吐いたため息に、先輩が緩く笑って僕の隣に腰かけた。
「言いたい事、あるだろ?」
突然直球で聞かれて、ビクッと体が揺れた。
答えられずに固まる僕に、先輩の掌が僕の頬をゆっくりと撫でる。
ゆっくりゆっくりと優しく根気よく撫でられて、僕の硬くなっていた気持ちも少しずつ解れてきた。
「…先輩」
「ん?」
バクバクと煩くなる心臓。冷や汗で、手もべたついてきた。
だけどやっぱりこのまま、燻った気持ちを無かった事に出来るはずがない。
ギュッと手を握りしめて、先輩の方を向いた。
「一葉と…、付き合っていたんですか?」
僕の質問に、先輩は目を見開いた。
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