無自覚美少年の男子校ライフ♪

くるむ

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無自覚美少年の男子校ライフ♪

初めての生徒会室

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そして…、
来ちゃったよ!土曜日!

内部生の授業は午前中までだけど、僕ら外部生は午後も補講が入っていた。
先輩は内部生だしまだ2年生なので午後の授業は無いのだけど、一応執行部でやる事があるからと、僕の補講が済み次第生徒会室で落ち合う事になっていた。

場所は聞いていたけど、始めて行く生徒会室。
補講が済んだ僕は、今、生徒会室の前に立っていた。

う~。
気軽に入って来いと言ってはくれたけど、入りづらいんだよなあ…。
どうしよう、どうしようと、さっきから扉の前を往ったり来たりしていたら、突然ドアがガラッと開いた。

「うわっ!」

ビックリして僕はつい、素っ頓狂な声を上げてしまう。
そこには先日、僕らを叱った、キツネ目の先輩が立っていた。

「あ…」

生徒会の人たちに悪い印象を与えたくないと思っていたので、挨拶しなきゃ!とは思うものの、余りにテンパってしまいこのキツネ目の先輩の名前がどうしても浮かんでこない。
あうあうと、オタオタしていたら、その先輩が蓮先輩を呼んでくれた。

「オイ、蓮。お迎えが来てるぞ」
「ああ、悪い。すぐ行く」

ちょっと中を覗くと、先輩はちょうど荷物をまとめている最中だったようで、机の上を整理していた。

「オイ」

蓮先輩に気を取られていたら突然キツネ目の先輩に話しかけられてびっくりする。
慌てて顔を上げたら、その先輩は苦笑いをしていた。

「そう怖がるな。…蓮のこと頼むな」

思いがけない事を言われて、僕は目を瞬かせてしまった。

…? 頼むって、何?
どう考えても僕の方がお世話になっているんだけど。

「アイツ、ちょっと変だろ?」

…へ、ん? 変って…。
ああ、そういえば初めて会った時、確かにかなり変だった。
ていうか、この学校中が変だったと思うけど…。

僕は最近見かけない光景、先輩がまとわりつく一年生の髪やら頬やらを撫でながら歩いていた、あのナントモ言えない(ある意味おぞましいw)光景を思い出した。
きっと、「ああ」って感じで納得した顔をしていたんだろう。
キツネ目の先輩が、話の先を続けた。

「あいつ見た目はとんでもなく良いだろ? しかも中身もそこそこ良いからさ、物心ついた時からスゲーモテてたんだよ。なもんだからさ、多分アイツ、自分のことをアイドルか、もしかしたら本当に王子様だと思ってたんじゃないかと思うんだよね」

余りの発言に僕はぽかんとする。
アイドルか王子様って…、いやいや、いくらなんでもそんな事…。

「あ、今なに考えてんだこいつって思っただろ」
「あっ、や。そんなことは…、で、でもいくら蓮先輩でもそこまでは…」
「お。いくら蓮でもって、言うところを見ると、やっぱある程度変なことは知っていたんだな」
「……」

僕がなんと返事していいのか分からず無言でいると、それを肯定とみなしたようで、そのまま話を続ける。

「ちやほやされてるのに慣れてたからさ、幼馴染としては少し心配だったんだよな。…まあ、過去の事はそれとして置いといてもらって、蓮は君を本当に大事にしているから、ちゃんと今のあいつを見てやって欲しいんだ」

このキツネ目の先輩、本当に蓮先輩の事を心配してたんだなあ…。
幼馴染で親友って感じなんだろうか。
怖そうだと思ったけど、優しい人なんだ。

「はい。でも、僕の方が先輩に助けてもらってますけど…」

ポリポリと鼻の頭を掻きながら、答えていると後ろから蓮先輩に圧し掛かられた。

「お待たせ。…類、お前変な事伸之助に吹き込んでないだろうな」
先輩は後ろから抱きついたまま、キツネ目の先輩に文句を言っている。

ええっと、先輩。人前でくっつくのは、やっぱちょっと抵抗あるんですけどぉ…。

どうにも居た堪れなくて、視線をうろうろと彷徨わせていると、それに気づいたキツネ目の先輩が、助け船を出してくれた。

「言ってない、言ってない。ホラ、さっさと行けよ。中田君が困ってるぞ」
「え?」
「お前と違って人前でいちゃいちゃするのに慣れてないんだろ」

「……」

「そうなのか?」
先輩はそのままの姿勢で僕の顔を覗き込む。後ろから顔を寄せてきたので、僕の顔とかなりの至近距離だ。
綺麗な顔の綺麗な瞳が僕をじっと見ている。

「せ、せんぱ…」

先輩にじっと見られて目を逸らすことが出来ずに、僕も見返しているのだけど、じわじわと顔が熱くなってきた。

「こら!」

パカンとキツネ目の先輩が、蓮先輩の頭を叩く。

「人前でわざわざいちゃついてないで、さっさと行けよ!」
「はいはい」

笑いを含んだ声で軽く返事をして、先輩は僕の拘束をほどいた。

「行こうか」

僕の方を振り向いて、先輩が手を差し出す。
ちょっぴり躊躇したけれど、僕たちが付き合っている事をこの学校で知らない人はいない。
僕は、エイッと、先輩の掌の上に僕の手を重ねる。

そんな僕の様子に、先輩は嬉しそうに目を細めて、僕の手をギュッと握った。 
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