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無自覚美少年の男子校ライフ♪
デートの約束1
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とにかく今日は慌ただしかった。
コンテスト終了後に僕は理事長室で木村先輩たちに襲われたことは事実だと伝え、父さんたちには伝えないで欲しいとそれだけをお願いした。
伯父さんは淡々と事実の確認だけをして、突っ込んで聞くことはしないでくれた。それに一番ホッとしたのだけど、実は僕が来る前に蓮先輩がここにきて、僕の代わりに話しをしてくれていたのだそうだ。
「香月は本当に良い生徒会長だ。去年起きた事も教えてくれたが、その時にもっと被害者の為に自分が出来る事があったはずなのにと悔やんでもいた。事件を知っていて何もできなかった自分たちにも責任があるとも言っていたな」
「そんなこと…」
「まあな、当人が決められなければ周りの者でもどうにもできない事だからな」
「とにかく、伸之助は無理をするなよ。辛い時は支えてくれる奴らがお前の周りにはいるようだけど、本当にきついと思ったら、伯父さんにもちゃんと相談するんだぞ」
「は、い」
僕の肩をポンと叩く。
暖かく大きな掌と、伯父さんの温かな心配そうな瞳にまた涙腺が緩みそうになる。
僕は奥歯をギュッと噛みしめる事で、こぼれそうな涙を必死で堪えた。
そしてその後すぐに、木村、榑林両先輩が退学処分となった事を知らされるのだった。
◇◇◇
コンテスト終了から1週間後、集計結果が発表された。
王子様はやはりダントツで蓮先輩、そして美少女には一葉が決定した。
「俺としては、ダントツで伸之助なんだけどなあ」
今日は2人きりのランチ。
天気もいいので、中庭の芝生の上に腰を下ろし、持参の弁当を広げている。
「そんなこと無いですよ。一葉、すっごい美少女でしたもん」
うん。あの衣装も似合ってたし、可愛くて綺麗だったよな。
「まあ、いっか。でも、ディナーデートには、行こうな。奢るし」
「はい! あ、でも俺の分は俺が払います。先輩はせっかく優勝したんだし」
箸でつまんでいた鳥の唐揚げを口にポンとほおり込む。
うっま~。やっぱ母さんの料理、美味いよなぁ。
もぐもぐと幸せに浸りながら食べていると、先輩がなぜか苦笑いをしながら見ていた。
「どうしたんですか?」
「いや…。幸せそうだなあと思って。…俺の幸せも考えてくれると良いんだけど」
「あ、もしかして先輩も唐揚げ好きなんですか? どうぞ!」
意気込んで先輩の前に弁当箱を差し出した。んだけど、なぜか先輩は笑いをかみ殺している。
「いや…。そうじゃなくて。…さっきのデートのことだけどさ」
「あ、はい」
箸と弁当箱を膝の上に置いて先輩の顔を見ると、優しい色を湛えた瞳が僕を見ていた。
そのまっすぐな瞳に、心臓がトクンと脈打つ。
「年上の彼氏としては、初デートくらい奢ってあげたいと思うんだけどな」
「…え」
「だめ…?」
先輩の綺麗な指先が、僕の頬をするりと撫でる。
ピクンと反応する僕に目を細めた先輩は、ゆっくりと顔を近づけて僕の唇をそっと覆った。
コンテスト終了後に僕は理事長室で木村先輩たちに襲われたことは事実だと伝え、父さんたちには伝えないで欲しいとそれだけをお願いした。
伯父さんは淡々と事実の確認だけをして、突っ込んで聞くことはしないでくれた。それに一番ホッとしたのだけど、実は僕が来る前に蓮先輩がここにきて、僕の代わりに話しをしてくれていたのだそうだ。
「香月は本当に良い生徒会長だ。去年起きた事も教えてくれたが、その時にもっと被害者の為に自分が出来る事があったはずなのにと悔やんでもいた。事件を知っていて何もできなかった自分たちにも責任があるとも言っていたな」
「そんなこと…」
「まあな、当人が決められなければ周りの者でもどうにもできない事だからな」
「とにかく、伸之助は無理をするなよ。辛い時は支えてくれる奴らがお前の周りにはいるようだけど、本当にきついと思ったら、伯父さんにもちゃんと相談するんだぞ」
「は、い」
僕の肩をポンと叩く。
暖かく大きな掌と、伯父さんの温かな心配そうな瞳にまた涙腺が緩みそうになる。
僕は奥歯をギュッと噛みしめる事で、こぼれそうな涙を必死で堪えた。
そしてその後すぐに、木村、榑林両先輩が退学処分となった事を知らされるのだった。
◇◇◇
コンテスト終了から1週間後、集計結果が発表された。
王子様はやはりダントツで蓮先輩、そして美少女には一葉が決定した。
「俺としては、ダントツで伸之助なんだけどなあ」
今日は2人きりのランチ。
天気もいいので、中庭の芝生の上に腰を下ろし、持参の弁当を広げている。
「そんなこと無いですよ。一葉、すっごい美少女でしたもん」
うん。あの衣装も似合ってたし、可愛くて綺麗だったよな。
「まあ、いっか。でも、ディナーデートには、行こうな。奢るし」
「はい! あ、でも俺の分は俺が払います。先輩はせっかく優勝したんだし」
箸でつまんでいた鳥の唐揚げを口にポンとほおり込む。
うっま~。やっぱ母さんの料理、美味いよなぁ。
もぐもぐと幸せに浸りながら食べていると、先輩がなぜか苦笑いをしながら見ていた。
「どうしたんですか?」
「いや…。幸せそうだなあと思って。…俺の幸せも考えてくれると良いんだけど」
「あ、もしかして先輩も唐揚げ好きなんですか? どうぞ!」
意気込んで先輩の前に弁当箱を差し出した。んだけど、なぜか先輩は笑いをかみ殺している。
「いや…。そうじゃなくて。…さっきのデートのことだけどさ」
「あ、はい」
箸と弁当箱を膝の上に置いて先輩の顔を見ると、優しい色を湛えた瞳が僕を見ていた。
そのまっすぐな瞳に、心臓がトクンと脈打つ。
「年上の彼氏としては、初デートくらい奢ってあげたいと思うんだけどな」
「…え」
「だめ…?」
先輩の綺麗な指先が、僕の頬をするりと撫でる。
ピクンと反応する僕に目を細めた先輩は、ゆっくりと顔を近づけて僕の唇をそっと覆った。
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