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無自覚美少年の男子校ライフ♪
一葉の心配
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いよいよ今日は、王子様・美少女コンテストの開催日。
僕の口から出てくるのはため息ばかり。
マンションのエントランスに下りた時、浩太が待っていた。
「あれ? 浩太、また来てくれたの?」
僕が駆け寄ると、浩太は少し照れたように頭を掻きながらこちらに振り返った。
相変わらずシャイだな。
大きな図体をして(しかも顔も怖いのに)いるのに、この性格。何だか可愛いと思う。
そんなこと言ったら怒られそうだから、もちろん内緒だけど。
「今日、会長朝から忙しくて立ち寄れないって言ってたろ? だからさ」
「そうなんだ…」
木村先輩がもう僕に何の興味もないって分かったから、そこまで気を遣ってくれることも無いのに、やっぱ浩太って優しいな。
ついニコニコしながら浩太を見ていたから、それに気が付いた彼が気まずそうに口を開く。
「一応、なんも無くても念のためな」
「うん。ありがと」
そのまま他愛のない事をしゃべりながら学校に着くと、校門のところで一葉を見かけた。
彼は、僕の顔を見ると近寄って来た。
「おはよう。今日は大変だろうけど、頑張ろうね」
「あ、う、うん」
以前、蓮先輩と二人で親しそうに話しているのを見てから、何となくこの一葉には苦手意識が勝手に出来てしまっていた。アイドル並に可愛い彼に、勝手に負い目を感じてしまっている。
「…え」
浩太が、きょとんと一葉を見ていた。
「…? なに?」
「もしかしてアンタも美少女コンテストに出るのか?」
「うん。出るよ」
「あ、そう、なんだ…」
言われてみれば当然のことだ。僕なんかが選ばれるくらいだもの、一葉が出るのはちっとも不思議じゃない。むしろ一葉が出なくて誰が出るんだって感じだよな。
「…君の衣装は分からないけど、美少女コンテストの衣装はたいていエロいのが多いから、気を付けてね」
にこやかな表情から一転して、一葉が真面目な顔で忠告してくれるので一瞬びっくりした。
「ええっと、それは毎年痴漢行為を働く奴がいるって事?」
もしそうだったら気持ちが悪い…。
おどおどと聞く僕に、一葉は一瞬目を丸くする。
「ああ、ごめん、ごめん。そんなんじゃないよ。ただ、ホラ。木村先輩といざこざがあったでしょ? あの先輩、気を付けた方が良いと思うから」
ああ、なんだ。そのことか。
「ありがとう。それなら多分大丈夫。あの先輩、もう僕に興味無いみたいだから」
「…。え? そうなの?」
明るく笑って答えたのに、心配性なのか一葉は、訝しげな顔を崩さなかった。
僕の口から出てくるのはため息ばかり。
マンションのエントランスに下りた時、浩太が待っていた。
「あれ? 浩太、また来てくれたの?」
僕が駆け寄ると、浩太は少し照れたように頭を掻きながらこちらに振り返った。
相変わらずシャイだな。
大きな図体をして(しかも顔も怖いのに)いるのに、この性格。何だか可愛いと思う。
そんなこと言ったら怒られそうだから、もちろん内緒だけど。
「今日、会長朝から忙しくて立ち寄れないって言ってたろ? だからさ」
「そうなんだ…」
木村先輩がもう僕に何の興味もないって分かったから、そこまで気を遣ってくれることも無いのに、やっぱ浩太って優しいな。
ついニコニコしながら浩太を見ていたから、それに気が付いた彼が気まずそうに口を開く。
「一応、なんも無くても念のためな」
「うん。ありがと」
そのまま他愛のない事をしゃべりながら学校に着くと、校門のところで一葉を見かけた。
彼は、僕の顔を見ると近寄って来た。
「おはよう。今日は大変だろうけど、頑張ろうね」
「あ、う、うん」
以前、蓮先輩と二人で親しそうに話しているのを見てから、何となくこの一葉には苦手意識が勝手に出来てしまっていた。アイドル並に可愛い彼に、勝手に負い目を感じてしまっている。
「…え」
浩太が、きょとんと一葉を見ていた。
「…? なに?」
「もしかしてアンタも美少女コンテストに出るのか?」
「うん。出るよ」
「あ、そう、なんだ…」
言われてみれば当然のことだ。僕なんかが選ばれるくらいだもの、一葉が出るのはちっとも不思議じゃない。むしろ一葉が出なくて誰が出るんだって感じだよな。
「…君の衣装は分からないけど、美少女コンテストの衣装はたいていエロいのが多いから、気を付けてね」
にこやかな表情から一転して、一葉が真面目な顔で忠告してくれるので一瞬びっくりした。
「ええっと、それは毎年痴漢行為を働く奴がいるって事?」
もしそうだったら気持ちが悪い…。
おどおどと聞く僕に、一葉は一瞬目を丸くする。
「ああ、ごめん、ごめん。そんなんじゃないよ。ただ、ホラ。木村先輩といざこざがあったでしょ? あの先輩、気を付けた方が良いと思うから」
ああ、なんだ。そのことか。
「ありがとう。それなら多分大丈夫。あの先輩、もう僕に興味無いみたいだから」
「…。え? そうなの?」
明るく笑って答えたのに、心配性なのか一葉は、訝しげな顔を崩さなかった。
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