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無自覚美少年の男子校ライフ♪
両想い
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どれくらい時間が経ったんだろう。
柔らかく押し当てられていた先輩の唇が、そっと離れて行った。
離れて行った感触に、僕はおずおずと目を開ける。するとそこには、砂糖でもぶちまけたんじゃないかと思うくらい糖度が高く、甘い先輩の瞳があった。
途端に、カーッと顔に熱が集まる。
うわ~、やめてくれよ。やっぱりその目で見られるのは苦手だ、僕。
恥ずかしくてドキドキして…、心臓が…っ!
バクバクする胸を両手で押さえ、その手を何気に口元に持って行き、ハタと固まる。
て、今…今…。
れ、れれれ蓮先輩とき、キス…!
「可愛いな、伸之助」
「な…っ!」
ボムッて、音でも出たんじゃないかという勢いで、また顔の熱が上昇する。なんかもう、ここんとこ蓮先輩の一挙一動に反応しすぎじゃないか僕…。
抗議のつもりで先輩を睨みつけるも、相変わらずその表情は嬉しそうだ。
「なあ」
少し色を変えて、猫のようなおねだりモードの声で僕を呼び、先輩が僕の腕を取った。
なんだか変な緊張が僕の背中を走る。
気のせいなんかじゃないぞ。これは何かヤバい感じがするんだけど…。
思わず後ずさろうとした僕の行動を止めるように、空いている手が僕の背中に回った。
ちょ…っ。
「もっと深いキス、してもいい…?」
「つ…っ!」
こんなに心臓がドクドク言って、きっと血だってもの凄い勢いで逆流しているんだ。それなのに、これ以上そんな事されたら死んじゃうよ!
死ぬ、死ぬ。絶対死ねる!
生命の危機に、僕が小刻みに顔をプルプルと横に振ると、その揺れを阻むように、蓮先輩の両手が僕の顔を挟んだ。
その表情は何だか真剣で、心配そうにも見える。
「気持ち…悪かったか?」
「…え?」
先輩の質問の意味と、それに対する僕の疑問…。
あ…っ!
とんでもないことに気がついて、僕は呆然と固まった。
気持ち悪いだなんて思いもしなかった。
それどころか…。
それどころか僕は…。
怖いくらい…ドキドキして…。
「気持ち…悪くなんか無いです。ただ、怖くて…」
情けない顔で先輩を仰ぎ見る。だけどどうしてもこの人には、僕の気持ちを誤解されたくないと、そう思い始めていた。
「こんなにドキドキしたの…初めてなんです」
そう言いながら、更に僕の心臓はドキドキとうるさくなる。
「伸之助…」
ゆっくりと、だけど力強く蓮先輩が僕を引き寄せる。僕も抵抗する気なんてもう全然なくて、そのまますっぽりと先輩の胸の中に納まった。
うるさくドキドキと鳴る心音が更に多く感じる。
……?
不思議に思って先輩を見上げると、「ドキドキいってるだろ?」と笑われた。
「…先輩も…?」
だって、まさかだろ?
こんなにかっこよくて、しかもどこか飄々としているから、こんな風に心臓バクバクさせているなんて想像もつかない。
「当たり前だろ? 好きな子目の前にして、更に近づきたいと目論んでいるんだ。冷静でなんかいられないよ」
「蓮…先輩」
一緒…なんだ。先輩はこんなこと慣れっこで、もっと冷静なのかと思ってた。
先輩の手が僕の顎を捕える。そしてゆっくりと近づいてくる唇に、僕は目を瞑った。
柔らかく重なる唇。だけど今度は僕の口を開けろと促すように、舌先が歯列をなぞる。それにおずおずと小さく口を開けると、待ってましたとばかりに、するりとそれが潜りこんで来た。
その弾力のある塊が、唇の裏側をゆっくりとなぞり、歯の並びを確認するかのように奥の方まで探られる。
先輩の侵入を受け入れたのは良いけれど、僕はなす術もなく固まって、先輩のシャツを固く握りしめていた。
どうしていいのか分からず、奥の方に縮こまっていた僕の舌先に先輩のそれがやんわりと触れてきた。そしてゆっくりと絡め捕られ、ぞくりと痺れるような何かが背中を走った。
「ぅん…っ…」
溶けるように、溺れたような声が漏れる。
それがまるで合図になったかのように、蓮先輩の舌の動きが大胆になり、僕は更に翻弄され頭が真っ白になっていった。
「ひ…ひどいです」
今僕は、情けない状況に陥っている。
あれから執拗にキスをされて、腰砕けになってしまった僕は、足を投げ出して座っている先輩にもたれるように体を預け、背後から抱きしめられている。
「うん。悪い、悪い」
そう言いながらも全然悪びれない先輩は、とても楽しそうだ。
「…生徒会、行かなくても良いんですか?」
「まあ、いいだろ。生徒会は俺だけじゃないし。たまにはゆっくり行くさ。こんな状況のお前を一人になんて出来ないからな」
そう言って、背後から抱きしめる腕に力を込める。
「好きだよ…」
囁くような蓮先輩の声が、僕の心に沁みていく。
「僕も…好きです」
言葉にした瞬間、体温がまた1℃、上昇したような気がした。
柔らかく押し当てられていた先輩の唇が、そっと離れて行った。
離れて行った感触に、僕はおずおずと目を開ける。するとそこには、砂糖でもぶちまけたんじゃないかと思うくらい糖度が高く、甘い先輩の瞳があった。
途端に、カーッと顔に熱が集まる。
うわ~、やめてくれよ。やっぱりその目で見られるのは苦手だ、僕。
恥ずかしくてドキドキして…、心臓が…っ!
バクバクする胸を両手で押さえ、その手を何気に口元に持って行き、ハタと固まる。
て、今…今…。
れ、れれれ蓮先輩とき、キス…!
「可愛いな、伸之助」
「な…っ!」
ボムッて、音でも出たんじゃないかという勢いで、また顔の熱が上昇する。なんかもう、ここんとこ蓮先輩の一挙一動に反応しすぎじゃないか僕…。
抗議のつもりで先輩を睨みつけるも、相変わらずその表情は嬉しそうだ。
「なあ」
少し色を変えて、猫のようなおねだりモードの声で僕を呼び、先輩が僕の腕を取った。
なんだか変な緊張が僕の背中を走る。
気のせいなんかじゃないぞ。これは何かヤバい感じがするんだけど…。
思わず後ずさろうとした僕の行動を止めるように、空いている手が僕の背中に回った。
ちょ…っ。
「もっと深いキス、してもいい…?」
「つ…っ!」
こんなに心臓がドクドク言って、きっと血だってもの凄い勢いで逆流しているんだ。それなのに、これ以上そんな事されたら死んじゃうよ!
死ぬ、死ぬ。絶対死ねる!
生命の危機に、僕が小刻みに顔をプルプルと横に振ると、その揺れを阻むように、蓮先輩の両手が僕の顔を挟んだ。
その表情は何だか真剣で、心配そうにも見える。
「気持ち…悪かったか?」
「…え?」
先輩の質問の意味と、それに対する僕の疑問…。
あ…っ!
とんでもないことに気がついて、僕は呆然と固まった。
気持ち悪いだなんて思いもしなかった。
それどころか…。
それどころか僕は…。
怖いくらい…ドキドキして…。
「気持ち…悪くなんか無いです。ただ、怖くて…」
情けない顔で先輩を仰ぎ見る。だけどどうしてもこの人には、僕の気持ちを誤解されたくないと、そう思い始めていた。
「こんなにドキドキしたの…初めてなんです」
そう言いながら、更に僕の心臓はドキドキとうるさくなる。
「伸之助…」
ゆっくりと、だけど力強く蓮先輩が僕を引き寄せる。僕も抵抗する気なんてもう全然なくて、そのまますっぽりと先輩の胸の中に納まった。
うるさくドキドキと鳴る心音が更に多く感じる。
……?
不思議に思って先輩を見上げると、「ドキドキいってるだろ?」と笑われた。
「…先輩も…?」
だって、まさかだろ?
こんなにかっこよくて、しかもどこか飄々としているから、こんな風に心臓バクバクさせているなんて想像もつかない。
「当たり前だろ? 好きな子目の前にして、更に近づきたいと目論んでいるんだ。冷静でなんかいられないよ」
「蓮…先輩」
一緒…なんだ。先輩はこんなこと慣れっこで、もっと冷静なのかと思ってた。
先輩の手が僕の顎を捕える。そしてゆっくりと近づいてくる唇に、僕は目を瞑った。
柔らかく重なる唇。だけど今度は僕の口を開けろと促すように、舌先が歯列をなぞる。それにおずおずと小さく口を開けると、待ってましたとばかりに、するりとそれが潜りこんで来た。
その弾力のある塊が、唇の裏側をゆっくりとなぞり、歯の並びを確認するかのように奥の方まで探られる。
先輩の侵入を受け入れたのは良いけれど、僕はなす術もなく固まって、先輩のシャツを固く握りしめていた。
どうしていいのか分からず、奥の方に縮こまっていた僕の舌先に先輩のそれがやんわりと触れてきた。そしてゆっくりと絡め捕られ、ぞくりと痺れるような何かが背中を走った。
「ぅん…っ…」
溶けるように、溺れたような声が漏れる。
それがまるで合図になったかのように、蓮先輩の舌の動きが大胆になり、僕は更に翻弄され頭が真っ白になっていった。
「ひ…ひどいです」
今僕は、情けない状況に陥っている。
あれから執拗にキスをされて、腰砕けになってしまった僕は、足を投げ出して座っている先輩にもたれるように体を預け、背後から抱きしめられている。
「うん。悪い、悪い」
そう言いながらも全然悪びれない先輩は、とても楽しそうだ。
「…生徒会、行かなくても良いんですか?」
「まあ、いいだろ。生徒会は俺だけじゃないし。たまにはゆっくり行くさ。こんな状況のお前を一人になんて出来ないからな」
そう言って、背後から抱きしめる腕に力を込める。
「好きだよ…」
囁くような蓮先輩の声が、僕の心に沁みていく。
「僕も…好きです」
言葉にした瞬間、体温がまた1℃、上昇したような気がした。
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