4 / 48
無自覚美少年の男子校ライフ♪
生徒会長の恋人
しおりを挟む
すると浩太がズイッと前に出てきて、僕から木村先輩と香月先輩を遮るように前に立ちはだかった。
その行動に、先輩たちは浩太に視線を向ける。
「先輩方。悪いんすけど、俺ら目立ちたくないんで、伸之助にちょっかい出すの止めてもらえませんか?」
浩太……!
意外な浩太の助太刀に、僕は感動してしまって思わずうるうるしてしまった。だって、今日会ったばかりの奴にこんな風に助けてもらえるなんて、思ってもいなかったんだ。
香月先輩は、目をぱちぱちさせて驚いた顔をしていたが、木村先輩は明らかにムッとしているようだった。
木村先輩の表情を横目でちらりと見た香月先輩が、ニコリと笑って、僕の肩を引き寄せた。
そしてわけの分からない爆弾を投下する。
「悪いけど、俺、伸之助と付き合ってるから」
「え!?」
周りのみんなが驚いて、一斉に僕を見た。
僕は皆の視線を痛いほど浴びて、只々固まる。
いやいやいや。それ嘘だから!
余りの驚きに、僕はプルプルと小刻みに顔を振って、嘘だと精一杯のアピールをしているのに、香月先輩はにこやかに僕に顔を近づける。
「良いんだよ。バレても。ここのみんなは偏見とか無いから。…ねえ、田端君」
香月先輩は、なぜか意味深に候を見て、同意を求める。
そんな先輩に一瞬候は瞬きをして、頭を掻いた。
「そうですね。伸之助、隠さないでも良いよ。こそこそしない方が楽だぞ。さっき言ってたじゃん。会長とお互い一目ぼれしたって」
えええええぇぇ!?
いつ僕がそんな事言ったんだよ?
「そういうわけだから木村。伸之助に手を出したら…許さないよ」
綺麗で柔らかな顔の表情を無くして、香月先輩が低い声で木村先輩に釘を刺す。
しばらく睨み合うようにしていたが、木村先輩が「分かったよ」と息を吐いた。そして去り際に、僕の方を見て口角をゆっくりと引き上げる。
その表情が何だか気味悪くて、ビクリと体を震わせると、香月先輩が"大丈夫"と言うように、肩を抱くその手に力を込めた。
「蓮さま、本当なんですか?」
戸惑うような声がしてハッと我に返った。香月先輩の後を付いてきていた、恐らく僕と同じ1年生が、何人も困惑したような顔をしている。
「あ、あの。香月先輩…」
香月先輩は、僕を木村先輩から助けるために仕方なく嘘を吐いたのだと思うけど、やっぱり僕は嘘は苦手だ。
しかもここにいるみんなは、香月先輩の事を大好きな人たちだ。そんなみんなにこんな嘘、吐いていいわけがない。
そう思って、本当の事をみんなには言った方が良いですよね? と、言おうとしたのに、香月先輩の口から出たのはとんでもない言葉だった。
「悪いな、みんな。ちゃんと言うべきかとは思ったんだけど、常から恋人なんて作らないって言っていた手前、どう切り出していいか分からなかったんだ」
香月先輩のその言葉にみんな息を呑む。取り巻きも浩太も。
もちろん僕もだ!!(なぜか候は平然としている!)
「せ、せせせ先輩っっ」
ドモリながら抗議をすると、先輩が振り返り、意味深に目を眇めた。その異様なまでの先輩の色気に、ぞくりと変なものが僕の体を走り抜ける。
な、ななななんだコレ!
硬直して変な汗が流れる僕の姿に、先輩は満足そうに頬を緩め、そして僕の唇を親指でなぞる。
途端にビクリと反応する身体。もうこの行為が気持ち悪いのか恥ずかしいのか判別つかない。ビックリして真っ赤になると、向かいにいた浩太が不機嫌そうな顔をした。
そうやって、僕をどぎまぎさせて言葉を完璧に失わせた先輩は、真面目な表情で、取り巻きのファンの子たちに謝った。
「ごめんな」
彼らに真摯に謝る姿に、あちこちからため息がこぼれる。
「…わかりました。でも、これからも蓮さまをお慕いしても構いませんよね?」
1人が意を決したように聞くと、他のみんなも香月先輩を必死な面持ちで見つめている。
それに対して香月先輩は、神妙な面持ちでゆっくりと頷いた。
「伸之助が一番だから今までと同じとは言えないけど、君たちは俺にとってとても大切な後輩だって事は変わりないよ」
「蓮さま……」
「ありがとうございます。蓮さま」
……なんかちょっとよく分かんないけど、奇妙な光景だよね、これって。
皆に嘘を吐いているという罪悪感はもちろん今も感じているのだけど、余りにも真剣な彼らのやり取りに、だんだん我に返ってきた。
ええ~っと、今どんな状況なんだっけ。
「そろそろ飯食いましょう。時間なくなりますよ? 会長はどうします? 一緒、しますか?」
浩太が無表情に告げたお蔭で、みんな我に返った。
そんな浩太に、にっこりと笑いながら香月先輩が了承したものだから、僕らはものすごい大人数で一緒に食事をする羽目になってしまった。
「……」
視線がかなりイタイです。
香月先輩のファンの視線にさらされて、僕は心の中で何度もため息を吐いていた。
その行動に、先輩たちは浩太に視線を向ける。
「先輩方。悪いんすけど、俺ら目立ちたくないんで、伸之助にちょっかい出すの止めてもらえませんか?」
浩太……!
意外な浩太の助太刀に、僕は感動してしまって思わずうるうるしてしまった。だって、今日会ったばかりの奴にこんな風に助けてもらえるなんて、思ってもいなかったんだ。
香月先輩は、目をぱちぱちさせて驚いた顔をしていたが、木村先輩は明らかにムッとしているようだった。
木村先輩の表情を横目でちらりと見た香月先輩が、ニコリと笑って、僕の肩を引き寄せた。
そしてわけの分からない爆弾を投下する。
「悪いけど、俺、伸之助と付き合ってるから」
「え!?」
周りのみんなが驚いて、一斉に僕を見た。
僕は皆の視線を痛いほど浴びて、只々固まる。
いやいやいや。それ嘘だから!
余りの驚きに、僕はプルプルと小刻みに顔を振って、嘘だと精一杯のアピールをしているのに、香月先輩はにこやかに僕に顔を近づける。
「良いんだよ。バレても。ここのみんなは偏見とか無いから。…ねえ、田端君」
香月先輩は、なぜか意味深に候を見て、同意を求める。
そんな先輩に一瞬候は瞬きをして、頭を掻いた。
「そうですね。伸之助、隠さないでも良いよ。こそこそしない方が楽だぞ。さっき言ってたじゃん。会長とお互い一目ぼれしたって」
えええええぇぇ!?
いつ僕がそんな事言ったんだよ?
「そういうわけだから木村。伸之助に手を出したら…許さないよ」
綺麗で柔らかな顔の表情を無くして、香月先輩が低い声で木村先輩に釘を刺す。
しばらく睨み合うようにしていたが、木村先輩が「分かったよ」と息を吐いた。そして去り際に、僕の方を見て口角をゆっくりと引き上げる。
その表情が何だか気味悪くて、ビクリと体を震わせると、香月先輩が"大丈夫"と言うように、肩を抱くその手に力を込めた。
「蓮さま、本当なんですか?」
戸惑うような声がしてハッと我に返った。香月先輩の後を付いてきていた、恐らく僕と同じ1年生が、何人も困惑したような顔をしている。
「あ、あの。香月先輩…」
香月先輩は、僕を木村先輩から助けるために仕方なく嘘を吐いたのだと思うけど、やっぱり僕は嘘は苦手だ。
しかもここにいるみんなは、香月先輩の事を大好きな人たちだ。そんなみんなにこんな嘘、吐いていいわけがない。
そう思って、本当の事をみんなには言った方が良いですよね? と、言おうとしたのに、香月先輩の口から出たのはとんでもない言葉だった。
「悪いな、みんな。ちゃんと言うべきかとは思ったんだけど、常から恋人なんて作らないって言っていた手前、どう切り出していいか分からなかったんだ」
香月先輩のその言葉にみんな息を呑む。取り巻きも浩太も。
もちろん僕もだ!!(なぜか候は平然としている!)
「せ、せせせ先輩っっ」
ドモリながら抗議をすると、先輩が振り返り、意味深に目を眇めた。その異様なまでの先輩の色気に、ぞくりと変なものが僕の体を走り抜ける。
な、ななななんだコレ!
硬直して変な汗が流れる僕の姿に、先輩は満足そうに頬を緩め、そして僕の唇を親指でなぞる。
途端にビクリと反応する身体。もうこの行為が気持ち悪いのか恥ずかしいのか判別つかない。ビックリして真っ赤になると、向かいにいた浩太が不機嫌そうな顔をした。
そうやって、僕をどぎまぎさせて言葉を完璧に失わせた先輩は、真面目な表情で、取り巻きのファンの子たちに謝った。
「ごめんな」
彼らに真摯に謝る姿に、あちこちからため息がこぼれる。
「…わかりました。でも、これからも蓮さまをお慕いしても構いませんよね?」
1人が意を決したように聞くと、他のみんなも香月先輩を必死な面持ちで見つめている。
それに対して香月先輩は、神妙な面持ちでゆっくりと頷いた。
「伸之助が一番だから今までと同じとは言えないけど、君たちは俺にとってとても大切な後輩だって事は変わりないよ」
「蓮さま……」
「ありがとうございます。蓮さま」
……なんかちょっとよく分かんないけど、奇妙な光景だよね、これって。
皆に嘘を吐いているという罪悪感はもちろん今も感じているのだけど、余りにも真剣な彼らのやり取りに、だんだん我に返ってきた。
ええ~っと、今どんな状況なんだっけ。
「そろそろ飯食いましょう。時間なくなりますよ? 会長はどうします? 一緒、しますか?」
浩太が無表情に告げたお蔭で、みんな我に返った。
そんな浩太に、にっこりと笑いながら香月先輩が了承したものだから、僕らはものすごい大人数で一緒に食事をする羽目になってしまった。
「……」
視線がかなりイタイです。
香月先輩のファンの視線にさらされて、僕は心の中で何度もため息を吐いていた。
15
お気に入りに追加
693
あなたにおすすめの小説
総長の彼氏が俺にだけ優しい
桜子あんこ
BL
ビビりな俺が付き合っている彼氏は、
関東で最強の暴走族の総長。
みんなからは恐れられ冷酷で悪魔と噂されるそんな俺の彼氏は何故か俺にだけ甘々で優しい。
そんな日常を描いた話である。
子犬だと思っていた幼馴染が実は狼さんだった件
バナナマヨネーズ
BL
とある事情で自国から逃げ出したアズサは、隣国アルマース王国の侯爵に拾われた。
侯爵はアズサを実の息子のウルシュカームと同じように大切に育ててくれたのだ。
時は過ぎ、アズサはウルシュカームと共に騎士学校に入学するが、とあることが切っ掛けでアズサを好きなウルシュカームの理性がぐらぐらと……。
この物語は、性について無知な訳あり美少年と、好きな子にだけ子犬モードになる実は狼さんだったりする幼馴染が繰り広げるドタバタ勘違いラブコメである。
全38話
EDEN ―孕ませ―
豆たん
BL
目覚めた所は、地獄(エデン)だった―――。
平凡な大学生だった主人公が、拉致監禁され、不特定多数の男にひたすら孕ませられるお話です。
【ご注意】
※この物語の世界には、「男子」と呼ばれる妊娠可能な少数の男性が存在しますが、オメガバースのような発情期・フェロモンなどはありません。女性の妊娠・出産とは全く異なるサイクル・仕組みになっており、作者の都合のいいように作られた独自の世界観による、倫理観ゼロのフィクションです。その点ご了承の上お読み下さい。
※近親・出産シーンあり。女性蔑視のような発言が出る箇所があります。気になる方はお読みにならないことをお勧め致します。
※前半はほとんどがエロシーンです。
全寮制男子高校生活~行方不明になってた族の総長が王道学園に入学してみた~
雨雪
BL
スイマセン、腐男子要素どこいった状態になりそうだったんでタイトル変えました。
元、腐男子が王道学園に入学してみた。腐男子設定は生きてますがあんま出てこないかもです。
書いてみたいと思ったから書いてみただけのお話。駄文です。
自分が平凡だと本気で思っている非凡の腐男子の全寮制男子校での話。
基本思いつきなんでよくわかんなくなります。
ストーリー繋がんなくなったりするかもです。
1話1話短いです。
18禁要素出す気ないです。書けないです。
出てもキスくらいかなぁ
*改稿終わって再投稿も終わったのでとりあえず完結です~
童貞が建設会社に就職したらメスにされちゃった
なる
BL
主人公の高梨優(男)は18歳で高校卒業後、小さな建設会社に就職した。しかし、そこはおじさんばかりの職場だった。
ストレスや性欲が溜まったおじさん達は、優にエッチな視線を浴びせ…
男だけど女性Vtuberを演じていたら現実で、メス堕ちしてしまったお話
ボッチなお地蔵さん
BL
中村るいは、今勢いがあるVTuber事務所が2期生を募集しているというツイートを見てすぐに応募をする。無事、合格して気分が上がっている最中に送られてきた自分が使うアバターのイラストを見ると女性のアバターだった。自分は男なのに…
結局、その女性アバターでVTuberを始めるのだが、女性VTuberを演じていたら現実でも影響が出始めて…!?
俺をハーレムに組み込むな!!!!〜モテモテハーレムの勇者様が平凡ゴリラの俺に惚れているとか冗談だろ?〜
嶋紀之/サークル「黒薔薇。」
BL
無自覚モテモテ勇者×平凡地味顔ゴリラ系男子の、コメディー要素強めなラブコメBLのつもり。
勇者ユウリと共に旅する仲間の一人である青年、アレクには悩みがあった。それは自分を除くパーティーメンバーが勇者にベタ惚れかつ、鈍感な勇者がさっぱりそれに気づいていないことだ。イケメン勇者が女の子にチヤホヤされているさまは、相手がイケメンすぎて嫉妬の対象でこそないものの、モテない男子にとっては目に毒なのである。
しかしある日、アレクはユウリに二人きりで呼び出され、告白されてしまい……!?
たまには健全な全年齢向けBLを書いてみたくてできた話です。一応、付き合い出す前の両片思いカップルコメディー仕立て……のつもり。他の仲間たちが勇者に言い寄る描写があります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる