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無自覚美少年の男子校ライフ♪
男子校の実態?
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休み時間になると、わらわらとみんなが寄って来た。僕が香月先輩にここまで送ってもらったことが気になっていたみたいだった。
だけど、迷子になった僕をただ案内してくれただけだと分かったら、そこで僕に対する興味は急激に薄れていったようだ。
「まあ、確かに見た目は王子様だけどさ……」
「蓮会長に興味無いの?」
「!?」
思わず吐いた独り言に、急に返事が返ってびっくりする。顔を上げると、いかにもスポーツマンといった感じのキリッとした奴が立っていた。
「だって僕、男だし」
「だよな」
思っていたのと真逆の答えが返ってきて、ちょっとびっくり。
「何? もしかして俺も『蓮さま~』ってタイプだと思ってた?」
そう言われて、まじまじとそいつの顔を見る。
あ~、それは気持ち悪いかも。
その気持ちはどうやらこいつにも通じたようで、「だろ?」と笑われた。
「あ、俺、田端候。よろしくな。候でいいから」
「よろしく! 僕も伸之助でいいよ」
あからさまにホッとした僕に候がおかしそうに笑う。
「ここ中高一貫だろ。俺も外部生だからさ、入学当初は、あの独特なノリに結構引いたんだよな。まあ、正直今もついて行けないとは思っているけど」
「そうか。てことは、僕たちと同じ外部生も他にいるんだよね」
あれ?でもほとんどみんな、このクラスでもキモいノリだったよな。てことは、候以外はみんな慣れちゃったって事なのか?
「いるけど少ないぜ。今年の外部生は確かお前も合わせて7人だ」
「え!? そんなに少ないの?」
「何?伸之助、何も知らないで転入してきたのか? ここは毎年ほとんど外部からは取らないんだよ。一昨年なんて、確か3人しか取ってなかったはずだよ」
「そう、なんだ……」
そんな余裕なんてなかったもんなあ……。
伯父さんに父さんの仕事を世話してもらったり、ここへの入学を勧めて貰ったりしたことが凄くありがたくて、ここがどんな所かだなんて考えもしなかったから。
「伸之助、弁当持ってきてる?」
「あ、ううん。学食があるって聞いてたから持ってきてないけど」
「そうか、俺も。じゃあ学食行こうぜ」
「おい、浩太。お前も行くだろ」
候が、教室の後ろに向かって手を上げた。見ると、短髪でピアスをいくつも付けている、目力が異常にある奴がこっちを見ていた。
……なんかちょっと怖そう。
「こいつ水沢浩太。一見怖そうだけど、良いやつだから」
候が水沢の肩をポンと叩く。挨拶を促す行為に、水沢が低い声で「どうも」と答えた。
「おーい、なーに斜に構えてるんだよ。そんなんだから誤解されんだろうが」
「……別に」
水沢は僕とパチッと目が合うと、気まずそうに目を逸らした。
「あ、あの。よろしく、水沢」
「ああ、浩太って呼べよ。で、お前は伸之助で良いんだろ?」
候が気を遣ってくれて、ぎこちない僕らを先導してくれた。
「うん。もちろん」
「お前も良いんだろ?」
返事を促す候に、彼も「おう…」と小さく返し、頭をガシガシと掻いていた。
……あれ? もしかしたら浩太って照れ屋さん?
そう思って、確認しようとじーっと見ていたら、みるみる顔が赤くなっていく。
「人の顔、じろじろ見んな! おら、学食行くんだろ。さっさと行くぞ!」
明らかに照れ隠しとバレバレの分かりやすさで、浩太が先頭を立って歩き出した。
「な?怖くないだろ?」
候が愉快そうにこっそり僕にささやいた。
食堂には結構人がいて、かなりの人気ぶりがうかがえる。
「ここの飯、量も多いしかなり美味いぜ。学食だから安いしさ」
「へえ…」
食券売り場を目を凝らして見てみると、確かに安い。
ええっと、日替わり定食が420円に、カレー、丼類が390円!
どうしよう、迷うな~。今日の日替わりの中身ってなんだろう。
そんなことを考えながら、きょろきょろしながら候たちの後を付いて歩いていたら、目の前がおろそかになっていたせいで人にぶつかってしまった。
「…った」
「ってーなぁ」
明らかによそ見をしていた僕のせいだ。慌てて、顔を上げて謝った。
「ごめんなさい!」
背の高い、上級生らしき人が眉を寄せて不機嫌そうな顔をしていたが、謝る僕を見て表情を緩めた。
「ああ。良い、良い。こっちも前をちゃんと見てなかったから」
「あ、す、すみません」
緩く笑うその上級生は、まさに男!って感じの凛々しさで、凄くカッコいい。アノ生徒会長とは違って、男らしいカッコ良さだ。
僕がペコリと頭を下げて、みんなの元に行こうとすると、腕を引っ張られた。
「え…?」
「せっかくだから一緒に食べない? 君、見かけない顔だね」
な、なんかこの人、変に馴れ馴れしくない?
ていうか…、何で背中に手、回してんの!?
「あ、えと。すみません。友達待たせているんで!」
腕を離そうと、じたばたしてみてもびくともしない。
それどころか更に密着してきて、気持ちが悪いよ。
「木村先輩、離してやってくれませんか?」
浩太と候が、僕が絡まれている事に気が付いて助けに来てくれた。助かったとホッとしたのだけど、それでもこの人は、僕を離してくれる気配がない。
なんで?
男が男になんでこんな風に絡んで来るんだよ!?
内部生ってみんなこうなの?
じたばたしながら揉めていると、背後からざわめきが近づいてきて、凛とした声がかかる。
「木村、離してやれ」
涙目で後ろを振り返ると、学園の王子様…、生徒会長の香月先輩が立っていた。
だけど、迷子になった僕をただ案内してくれただけだと分かったら、そこで僕に対する興味は急激に薄れていったようだ。
「まあ、確かに見た目は王子様だけどさ……」
「蓮会長に興味無いの?」
「!?」
思わず吐いた独り言に、急に返事が返ってびっくりする。顔を上げると、いかにもスポーツマンといった感じのキリッとした奴が立っていた。
「だって僕、男だし」
「だよな」
思っていたのと真逆の答えが返ってきて、ちょっとびっくり。
「何? もしかして俺も『蓮さま~』ってタイプだと思ってた?」
そう言われて、まじまじとそいつの顔を見る。
あ~、それは気持ち悪いかも。
その気持ちはどうやらこいつにも通じたようで、「だろ?」と笑われた。
「あ、俺、田端候。よろしくな。候でいいから」
「よろしく! 僕も伸之助でいいよ」
あからさまにホッとした僕に候がおかしそうに笑う。
「ここ中高一貫だろ。俺も外部生だからさ、入学当初は、あの独特なノリに結構引いたんだよな。まあ、正直今もついて行けないとは思っているけど」
「そうか。てことは、僕たちと同じ外部生も他にいるんだよね」
あれ?でもほとんどみんな、このクラスでもキモいノリだったよな。てことは、候以外はみんな慣れちゃったって事なのか?
「いるけど少ないぜ。今年の外部生は確かお前も合わせて7人だ」
「え!? そんなに少ないの?」
「何?伸之助、何も知らないで転入してきたのか? ここは毎年ほとんど外部からは取らないんだよ。一昨年なんて、確か3人しか取ってなかったはずだよ」
「そう、なんだ……」
そんな余裕なんてなかったもんなあ……。
伯父さんに父さんの仕事を世話してもらったり、ここへの入学を勧めて貰ったりしたことが凄くありがたくて、ここがどんな所かだなんて考えもしなかったから。
「伸之助、弁当持ってきてる?」
「あ、ううん。学食があるって聞いてたから持ってきてないけど」
「そうか、俺も。じゃあ学食行こうぜ」
「おい、浩太。お前も行くだろ」
候が、教室の後ろに向かって手を上げた。見ると、短髪でピアスをいくつも付けている、目力が異常にある奴がこっちを見ていた。
……なんかちょっと怖そう。
「こいつ水沢浩太。一見怖そうだけど、良いやつだから」
候が水沢の肩をポンと叩く。挨拶を促す行為に、水沢が低い声で「どうも」と答えた。
「おーい、なーに斜に構えてるんだよ。そんなんだから誤解されんだろうが」
「……別に」
水沢は僕とパチッと目が合うと、気まずそうに目を逸らした。
「あ、あの。よろしく、水沢」
「ああ、浩太って呼べよ。で、お前は伸之助で良いんだろ?」
候が気を遣ってくれて、ぎこちない僕らを先導してくれた。
「うん。もちろん」
「お前も良いんだろ?」
返事を促す候に、彼も「おう…」と小さく返し、頭をガシガシと掻いていた。
……あれ? もしかしたら浩太って照れ屋さん?
そう思って、確認しようとじーっと見ていたら、みるみる顔が赤くなっていく。
「人の顔、じろじろ見んな! おら、学食行くんだろ。さっさと行くぞ!」
明らかに照れ隠しとバレバレの分かりやすさで、浩太が先頭を立って歩き出した。
「な?怖くないだろ?」
候が愉快そうにこっそり僕にささやいた。
食堂には結構人がいて、かなりの人気ぶりがうかがえる。
「ここの飯、量も多いしかなり美味いぜ。学食だから安いしさ」
「へえ…」
食券売り場を目を凝らして見てみると、確かに安い。
ええっと、日替わり定食が420円に、カレー、丼類が390円!
どうしよう、迷うな~。今日の日替わりの中身ってなんだろう。
そんなことを考えながら、きょろきょろしながら候たちの後を付いて歩いていたら、目の前がおろそかになっていたせいで人にぶつかってしまった。
「…った」
「ってーなぁ」
明らかによそ見をしていた僕のせいだ。慌てて、顔を上げて謝った。
「ごめんなさい!」
背の高い、上級生らしき人が眉を寄せて不機嫌そうな顔をしていたが、謝る僕を見て表情を緩めた。
「ああ。良い、良い。こっちも前をちゃんと見てなかったから」
「あ、す、すみません」
緩く笑うその上級生は、まさに男!って感じの凛々しさで、凄くカッコいい。アノ生徒会長とは違って、男らしいカッコ良さだ。
僕がペコリと頭を下げて、みんなの元に行こうとすると、腕を引っ張られた。
「え…?」
「せっかくだから一緒に食べない? 君、見かけない顔だね」
な、なんかこの人、変に馴れ馴れしくない?
ていうか…、何で背中に手、回してんの!?
「あ、えと。すみません。友達待たせているんで!」
腕を離そうと、じたばたしてみてもびくともしない。
それどころか更に密着してきて、気持ちが悪いよ。
「木村先輩、離してやってくれませんか?」
浩太と候が、僕が絡まれている事に気が付いて助けに来てくれた。助かったとホッとしたのだけど、それでもこの人は、僕を離してくれる気配がない。
なんで?
男が男になんでこんな風に絡んで来るんだよ!?
内部生ってみんなこうなの?
じたばたしながら揉めていると、背後からざわめきが近づいてきて、凛とした声がかかる。
「木村、離してやれ」
涙目で後ろを振り返ると、学園の王子様…、生徒会長の香月先輩が立っていた。
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