60 / 62
第六章
紫藤先輩はカッコイイ
しおりを挟む
黒田先輩達と、話をしながら遠のいていく礼人さんを見ながらひとり感慨にふけっていた。
「かっこいいよねー」
うわっ! びっくりした!
「か、加山さん、びっくりさせないでよ」
突然耳元で声を掛けられてびっくりして飛び上がりそうになった。
その後ろで加賀くんも苦笑いをしている。
「紫藤先輩って、いい先輩なんだな。俺だったら、いくら可愛い後輩が出来たとしてもあんな風に体張ることなんて出来ねーや」
「うん……。礼人さんって本当は、あんな風に目立つことするの嫌な人なんだよ。だけど優しいから、……迷惑かけちゃった」
「なーに言ってんのよ! 迷惑なんかじゃないって! 鹿倉君がそんな風に考えたら、紫藤先輩も立つ瀬がないじゃん」
「そう、そう。それに加山たち女子は大喜びだったもんな」
「そーよー。ああ、もう、ホントにー!!」
バシバシ!!
「いったいよ!」
もう―!
加山さんったら妄想に入ると、すぐ人の腕叩くんだから。
「アハハ、ごめんごめん。……紫藤先輩のクラスの試合は……、今の試合が終わってからだからまだ20分くらいあるかなー。でも早めに行かないといい場所取れないよね。そろそろ行こうか」
「そうだね、行こうか。あ、加賀くんも見に行く?」
「おう。なんかさっきの紫藤先輩って、かっこよかったし」
「えっ!?」
加賀くんの言葉になぜだか加山さんが凄い勢いで反応した。
……まさか、また変なセンサーが作動したわけじゃないよね?
「……なんだよ? 男だからって妬むやつばかりじゃないぞ。さっきも言ったけど、みんながブーイングするだろうことを分かっていたのに、後輩を助けに行く先輩って、スゲーじゃん」
「……ああ、まあね」
「…………」
あからさまに"そっちか"って気落ちした顔をするのは止めて。
加賀くんが首を傾げてるよ……。
「じゃ、いこーぜ」
「うん」
「あ、待って。おいてかないでよ」
「え~っと、確かこっちのフィールドだよな」
予定表に書かれている各試合の場所を確認して、加賀くんが僕らを引率中。僕と加山さんはひよこよろしく加賀くんの後をついていく。
「うっわ。すっごい人だね。なんだろう、二回戦だから盛り上がってんのかな」
「……違うんじゃない? これ、今の試合の応援の人だけじゃなくて、次の試合の紫藤先輩や黒田先輩目当ての女の子たちが陣取ってるみたい」
「ええっ!?」
「はあっ!? ……あー、そうみたいだ。よくよく見ると女子が前の方にかたまってる」
結局、礼人さんたちのサッカーの試合が始まっても、応援している人たちの数はほとんど減らなかった。だから1回戦の時と違って前の方に行くことは出来ない。
「しょうがないね。まあ、見えないことは無いからこっから応援しようか」
「だな」
「うん」
この試合に勝てば、次は決勝だったんだけど……。
運の悪いことに相手のクラスにはサッカー部の選手が3人もいたようで、ライバル視されていたのか執拗に黒田先輩がマークされ、3対4という僅差で礼人さんのクラスは負けてしまった。
「かっこいいよねー」
うわっ! びっくりした!
「か、加山さん、びっくりさせないでよ」
突然耳元で声を掛けられてびっくりして飛び上がりそうになった。
その後ろで加賀くんも苦笑いをしている。
「紫藤先輩って、いい先輩なんだな。俺だったら、いくら可愛い後輩が出来たとしてもあんな風に体張ることなんて出来ねーや」
「うん……。礼人さんって本当は、あんな風に目立つことするの嫌な人なんだよ。だけど優しいから、……迷惑かけちゃった」
「なーに言ってんのよ! 迷惑なんかじゃないって! 鹿倉君がそんな風に考えたら、紫藤先輩も立つ瀬がないじゃん」
「そう、そう。それに加山たち女子は大喜びだったもんな」
「そーよー。ああ、もう、ホントにー!!」
バシバシ!!
「いったいよ!」
もう―!
加山さんったら妄想に入ると、すぐ人の腕叩くんだから。
「アハハ、ごめんごめん。……紫藤先輩のクラスの試合は……、今の試合が終わってからだからまだ20分くらいあるかなー。でも早めに行かないといい場所取れないよね。そろそろ行こうか」
「そうだね、行こうか。あ、加賀くんも見に行く?」
「おう。なんかさっきの紫藤先輩って、かっこよかったし」
「えっ!?」
加賀くんの言葉になぜだか加山さんが凄い勢いで反応した。
……まさか、また変なセンサーが作動したわけじゃないよね?
「……なんだよ? 男だからって妬むやつばかりじゃないぞ。さっきも言ったけど、みんながブーイングするだろうことを分かっていたのに、後輩を助けに行く先輩って、スゲーじゃん」
「……ああ、まあね」
「…………」
あからさまに"そっちか"って気落ちした顔をするのは止めて。
加賀くんが首を傾げてるよ……。
「じゃ、いこーぜ」
「うん」
「あ、待って。おいてかないでよ」
「え~っと、確かこっちのフィールドだよな」
予定表に書かれている各試合の場所を確認して、加賀くんが僕らを引率中。僕と加山さんはひよこよろしく加賀くんの後をついていく。
「うっわ。すっごい人だね。なんだろう、二回戦だから盛り上がってんのかな」
「……違うんじゃない? これ、今の試合の応援の人だけじゃなくて、次の試合の紫藤先輩や黒田先輩目当ての女の子たちが陣取ってるみたい」
「ええっ!?」
「はあっ!? ……あー、そうみたいだ。よくよく見ると女子が前の方にかたまってる」
結局、礼人さんたちのサッカーの試合が始まっても、応援している人たちの数はほとんど減らなかった。だから1回戦の時と違って前の方に行くことは出来ない。
「しょうがないね。まあ、見えないことは無いからこっから応援しようか」
「だな」
「うん」
この試合に勝てば、次は決勝だったんだけど……。
運の悪いことに相手のクラスにはサッカー部の選手が3人もいたようで、ライバル視されていたのか執拗に黒田先輩がマークされ、3対4という僅差で礼人さんのクラスは負けてしまった。
1
お気に入りに追加
237
あなたにおすすめの小説
そばにいてほしい。
15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。
そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。
──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。
幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け
安心してください、ハピエンです。
当たって砕けていたら彼氏ができました
ちとせあき
BL
毎月24日は覚悟の日だ。
学校で少し浮いてる三倉莉緒は王子様のような同級生、寺田紘に恋をしている。
教室で意図せず公開告白をしてしまって以来、欠かさずしている月に1度の告白だが、19回目の告白でやっと心が砕けた。
諦めようとする莉緒に突っかかってくるのはあれ程告白を拒否してきた紘で…。
寺田絋
自分と同じくらいモテる莉緒がムカついたのでちょっかいをかけたら好かれた残念男子
×
三倉莉緒
クールイケメン男子と思われているただの陰キャ
そういうシーンはありませんが一応R15にしておきました。
お気に入り登録ありがとうございます。なんだか嬉しいので載せるか迷った紘視点を追加で投稿します。ただ紘は残念な子過ぎるので莉緒視点と印象が変わると思います。ご注意ください。
お気に入り登録100ありがとうございます。お付き合いに浮かれている二人の小話投稿しました。
台風の目はどこだ
あこ
BL
とある学園で生徒会会長を務める本多政輝は、数年に一度起きる原因不明の体調不良により入院をする事に。
政輝の恋人が入院先に居座るのもいつものこと。
そんな入院生活中、二人がいない学園では嵐が吹き荒れていた。
✔︎ いわゆる全寮制王道学園が舞台
✔︎ 私の見果てぬ夢である『王道脇』を書こうとしたら、こうなりました(2019/05/11に書きました)
✔︎ 風紀委員会委員長×生徒会会長様
✔︎ 恋人がいないと充電切れする委員長様
✔︎ 時々原因不明の体調不良で入院する会長様
✔︎ 会長様を見守るオカン気味な副会長様
✔︎ アンチくんや他の役員はかけらほども出てきません。
✔︎ ギャクになるといいなと思って書きました(目標にしましたが、叶いませんでした)
総長の彼氏が俺にだけ優しい
桜子あんこ
BL
ビビりな俺が付き合っている彼氏は、
関東で最強の暴走族の総長。
みんなからは恐れられ冷酷で悪魔と噂されるそんな俺の彼氏は何故か俺にだけ甘々で優しい。
そんな日常を描いた話である。
【doll】僕らの記念日に本命と浮気なんてしないでよ
月夜の晩に
BL
平凡な主人公には、不釣り合いなカッコいい彼氏がいた。
しかしある時、彼氏が過去に付き合えなかった地元の本命の身代わりとして、自分は選ばれただけだったと知る。
それでも良いと言い聞かせていたのに、本命の子が浪人を経て上京・彼氏を頼る様になって…
平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。
好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる