僕の王子様

くるむ

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第五章

不運続き

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その後も相手チームにゴールを決められはしたけれど、結局礼人さんたちのクラスの勢いは衰えることはなく、4-1で試合は終了した。


「凄かったねぇ……」

未だ興奮冷めやらずの表情で、加山さんが「ほうっ」とため息を吐く。
僕の心臓も無駄に働き続けて、興奮と幸せにトクントクンといつも以上に心音を鳴らし続けていた。

しばらく2人で礼人さんのかっこいいところを言い合いながら楽しい時間を過ごして、11時30分にはドッジボールの二回戦が入っていたので、僕は加賀くんたちと合流してみんなで女子のドッジを応援した。


そんなこんなでお昼休み。
僕は加賀くんたちと一緒に弁当箱を広げた。そのすぐ隣では加山さんたち女子のグループが輪になっている。

そこでもやっぱり、話題は礼人さんたちのサッカーの試合のことだ。

「ねえ、見た? 黒田先輩のシュート! かっこよかったぁ」
「見た、見た。紫藤先輩もかっこよかったよ! あのアシストがあってこそのシュートでしょ!」
「うん、うん!」
「それでさ、菜摘と私かなり前の方から見れたんだけど、紫藤先輩がニッコリ笑うトコ見ちゃったんだよね!」
「え!? なにそれ! 愛花に笑いかけたってこと?」
「まさか。黒田先輩がシュート決めた後だったから、自然に笑みが零れたのかもしれないけどさ。……それにしてもかっこよかったぁ……」

「…………」

それって確か、のことだよな。

……あ、ヤバイ。
僕も思い出しただけでにやけそうだ。

「女子はまるでイケメン祭りだな。……そういや歩、お前この後だよな」

「…………」

お、思い出してしまった!!
そうだよこの後。ミミーの衣装を……。

「おいっ!大変だぞ!!」

落ち込み始めた僕の思考を遮るように、バタバタと廊下を走って所沢くんがやって来た。

「なんだ所沢。お前飯食ったのか?」
「食った! てか、大変なんだって! 増岡が階段から足踏み外して捻挫しちまった!」
「ええっ!? 大丈夫なのか?」
「うん。一応、そう酷くはないみたいなんだけど午後のサッカーの試合出れなくなっちゃって……。あ、高橋! お前増岡の代わりにサッカーの試合出ろってさ」

ええっ!?

「あ、うん。分かった。……あー、鹿倉、しょうが無いよな?」

え?
え?
ええーーーーーーっ!?


てことは、てことは僕一人であのミミーの衣装を着て踊るってこと――――!?


うわぁぁぁぁん、神様―!!
何でこうなるの―――――っ!!
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