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第五章
バレーの試合が始まったよ
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僕ら1年6組は、3組との試合だ。
「なんだか強そうに見えるなぁ」
なんというか、顔つきのしっかり(?)した人が多くて強そうに見える。
サーブは3組からのようだ。
強気な顔から想像つくような、強力なジャンピングサーブだ。
この人もバレー部なのかな?
とてもじゃないけどこんなサーブ、僕には拾えそうにない。
あ、加賀くんが拾った!
さすがだ。
上手く打ち上げて島田君のトスへとつなげている。
「やあ、鹿倉君」
「……え? えっ、あ、桐ケ谷先輩、水樹先生も。こんにちは」
手に汗握り前のめりになって見ているところで声を掛けられたので、ちょっと狼狽えてしまった。
慌てて挨拶をしたんだけど、先輩も先生もニッコリと笑ってくれた。
2人とも、僕の印象ではすごく落ち着いた大人な人だ。
「礼人とクロのサッカーがそろそろあるけど、鹿倉君も見に行くだろ?」
「はい。えっと、クラスの子と一緒に見に行く約束しました」
「……子? 女の子なのか?」
「はい。……とは言っても、僕と礼人さんのことを知ってる子で……、応援してくれてます」
「へえ? それは良かったね」
「はい。……あの、桐ケ谷先輩は確かサッカーでしたよね?」
「ああ。午後からだよ」
「午後?」
「1時からの試合だ」
「……あ、そのころは僕、仮装のため衣装を着替えに行かなきゃいけない時間です……」
「……ああ、そうか。まあ頑張れ。俺以外はみんな鹿倉君の応援に行けると思うから気を大きく持ってな」
「……う。それもかなり恥ずかしいですけど。……頑張ります」
仮装のことを考えるとため息しか出てこないけど……。
ふと脳裏をよぎる礼人さんがくれたおまじない。
「…………」
うわわわわ、どうしよう。
確かに破壊力抜群だ。顔が熱くなってきた!
落ち込みかけていた気持ちが、恥ずかしさとうれしさとドキドキがよみがえったことで薄れてきたけど、これはこれでちょっと問題な気がするけど……。
「鹿倉君?」
「あ、なっ何でもないです!」
僕の顔が突然真っ赤になったので、桐ケ谷先輩たちが驚いて顔を覗き込んだ。
慌てて両手をパタパタと振っていると、突然「ワー!!」という歓声が聞こえて来た。
三人でコートに視線を戻すと、加賀くんたちがハイタッチをしている。どうやら点を入れたようだ。
点差を確認しようと目を向けると、3対6で僕らのチームが勝っている。
どうやら僕のクラスの方が勢いに乗っているようだ。
ワクワクしながら見ていると、3組のセンターからの猛烈なスパイク。
それをまた加賀くんが臆することなく綺麗なレシーブを返した。
凄い! 凄いよ、加賀くん!
それを島田君が受けて、白井君と和島君が時間差攻撃を決めた。凄い!!
そういえば白井君もバレー部だって言ってたっけ。
「あのレフト、やるなぁ」
感心したように桐ケ谷先輩が加賀くんを見ている。
盛り上がる試合に、桐ケ谷先輩も水樹先生も僕らと一緒になって応援してくれた。
「なんだか強そうに見えるなぁ」
なんというか、顔つきのしっかり(?)した人が多くて強そうに見える。
サーブは3組からのようだ。
強気な顔から想像つくような、強力なジャンピングサーブだ。
この人もバレー部なのかな?
とてもじゃないけどこんなサーブ、僕には拾えそうにない。
あ、加賀くんが拾った!
さすがだ。
上手く打ち上げて島田君のトスへとつなげている。
「やあ、鹿倉君」
「……え? えっ、あ、桐ケ谷先輩、水樹先生も。こんにちは」
手に汗握り前のめりになって見ているところで声を掛けられたので、ちょっと狼狽えてしまった。
慌てて挨拶をしたんだけど、先輩も先生もニッコリと笑ってくれた。
2人とも、僕の印象ではすごく落ち着いた大人な人だ。
「礼人とクロのサッカーがそろそろあるけど、鹿倉君も見に行くだろ?」
「はい。えっと、クラスの子と一緒に見に行く約束しました」
「……子? 女の子なのか?」
「はい。……とは言っても、僕と礼人さんのことを知ってる子で……、応援してくれてます」
「へえ? それは良かったね」
「はい。……あの、桐ケ谷先輩は確かサッカーでしたよね?」
「ああ。午後からだよ」
「午後?」
「1時からの試合だ」
「……あ、そのころは僕、仮装のため衣装を着替えに行かなきゃいけない時間です……」
「……ああ、そうか。まあ頑張れ。俺以外はみんな鹿倉君の応援に行けると思うから気を大きく持ってな」
「……う。それもかなり恥ずかしいですけど。……頑張ります」
仮装のことを考えるとため息しか出てこないけど……。
ふと脳裏をよぎる礼人さんがくれたおまじない。
「…………」
うわわわわ、どうしよう。
確かに破壊力抜群だ。顔が熱くなってきた!
落ち込みかけていた気持ちが、恥ずかしさとうれしさとドキドキがよみがえったことで薄れてきたけど、これはこれでちょっと問題な気がするけど……。
「鹿倉君?」
「あ、なっ何でもないです!」
僕の顔が突然真っ赤になったので、桐ケ谷先輩たちが驚いて顔を覗き込んだ。
慌てて両手をパタパタと振っていると、突然「ワー!!」という歓声が聞こえて来た。
三人でコートに視線を戻すと、加賀くんたちがハイタッチをしている。どうやら点を入れたようだ。
点差を確認しようと目を向けると、3対6で僕らのチームが勝っている。
どうやら僕のクラスの方が勢いに乗っているようだ。
ワクワクしながら見ていると、3組のセンターからの猛烈なスパイク。
それをまた加賀くんが臆することなく綺麗なレシーブを返した。
凄い! 凄いよ、加賀くん!
それを島田君が受けて、白井君と和島君が時間差攻撃を決めた。凄い!!
そういえば白井君もバレー部だって言ってたっけ。
「あのレフト、やるなぁ」
感心したように桐ケ谷先輩が加賀くんを見ている。
盛り上がる試合に、桐ケ谷先輩も水樹先生も僕らと一緒になって応援してくれた。
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