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第五章
ふの付く女子
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加山さん!?
何で? どうしてここに加山さんがいるの!?
それより!
そんなことより……!
……どっ、どうしよう!
礼人さんとくっ付いてるところを見られちゃった!
僕なんかはどう言われてもいいけど、礼人さんは学校では知らない人がいないと断言できるほど有名な人だ。
それなのに、男でこんなちんけな僕と付き合っているだなんてみんなに知られたら、きっと礼人さんの迷惑になる。
僕は慌てて礼人さんから離れて加山さんに言い訳をしようと思ったんだけど、それを察したはずなのになぜか礼人さんは逆に手の力を強めて僕から離れようとはしなかった。
「……礼人さん?」
僕の問いかけにニコリと笑って、礼人さんは加山さんを見た。
「誰? 歩の知り合い?」
礼人さんの表情は威嚇するでもなく警戒しているふうでもなく、いたって普通の表情だ。
話しかけられた加山さんは首まで真っ赤になって、コクコクと頷いている。
そしてなぜだか目を潤ませるくらい感激した表情で僕と礼人さんを交互に見ては、フルフルと嬉しそうに体を震わせている。
……?
「あの、私……、鹿倉君と同級生の加山凛です」
「そう」
焦る僕を余所に、なぜだか礼人さんは平然としているし……、加山さんなんて礼人さんを目の前にして感激に打ち震えているといった感じだ。
……加山さん、男同士のこの密着具合を変に思わないんだろうか……。
それとも仲のいい友達同士って、こんなもの……?
いやいや、女子じゃないんだから!
てか女子でもこの体勢は不自然じゃないの?
「あの……、鹿倉君」
「へ?」
グルグル考え込んでいる時に突然加山さんに話しかけられて、僕は素っ頓狂な声を出してしまった。
「突然ごめんね? もしかしてだけどさ、その……鹿倉君と紫藤先輩って……」
言いにくそうに問いかける加山さんに、僕の顔面からスッと血の気が引いた。
やっぱり、やっぱり気づかれてるんじゃないか!
どうしよう、どうにかして誤魔化さないと礼人さんに迷惑が……!
「あ、ゴメン! そうじゃないのっ。私軽蔑とか揶揄う気なんて無いからね! そうじゃなくて、頑張って! てか、密かに応援するから気を大きく持って!」
「……え、は?」
……そう言えば加山さん、さっきからキラキラした表情だよな。
それも礼人さんだけに向けてるというよりは、僕も合わせてセットで感激してるって感じだし……。
「そっか。じゃあ、内緒にしていてくれる? ……出来れば歩とのことは、誰にも邪魔されたくないんだ」
「はい。大丈夫です。……きっとバレちゃったら多分、鹿倉君が女子からかなり恨まれると思うし、邪魔が入っちゃいそうですものね」
「加山さん……」
なんて人格者なんだ! いくら礼人さんに憧れてるからって、こんな大人な対応が出来るなんて!
「……歩」
「はい。あ、僕からもお礼を言わなきゃですね! 加山さんありがとう」
「……くくっ」
へ?
キョトンとする僕に、笑う礼人さん。その横で加山さんが苦笑いをしている。
「……紫藤先輩は気づいちゃってますね」
「まあな。……だいぶ前にそんな方々と遭遇したこともあるしな」
……??
「歩、この人はな」
「はい」
「ふの付く女子なんだよ」
ふ?
ますますキョトンとする僕に、加山さんと礼人さんは楽しそうに笑っていた。
何で? どうしてここに加山さんがいるの!?
それより!
そんなことより……!
……どっ、どうしよう!
礼人さんとくっ付いてるところを見られちゃった!
僕なんかはどう言われてもいいけど、礼人さんは学校では知らない人がいないと断言できるほど有名な人だ。
それなのに、男でこんなちんけな僕と付き合っているだなんてみんなに知られたら、きっと礼人さんの迷惑になる。
僕は慌てて礼人さんから離れて加山さんに言い訳をしようと思ったんだけど、それを察したはずなのになぜか礼人さんは逆に手の力を強めて僕から離れようとはしなかった。
「……礼人さん?」
僕の問いかけにニコリと笑って、礼人さんは加山さんを見た。
「誰? 歩の知り合い?」
礼人さんの表情は威嚇するでもなく警戒しているふうでもなく、いたって普通の表情だ。
話しかけられた加山さんは首まで真っ赤になって、コクコクと頷いている。
そしてなぜだか目を潤ませるくらい感激した表情で僕と礼人さんを交互に見ては、フルフルと嬉しそうに体を震わせている。
……?
「あの、私……、鹿倉君と同級生の加山凛です」
「そう」
焦る僕を余所に、なぜだか礼人さんは平然としているし……、加山さんなんて礼人さんを目の前にして感激に打ち震えているといった感じだ。
……加山さん、男同士のこの密着具合を変に思わないんだろうか……。
それとも仲のいい友達同士って、こんなもの……?
いやいや、女子じゃないんだから!
てか女子でもこの体勢は不自然じゃないの?
「あの……、鹿倉君」
「へ?」
グルグル考え込んでいる時に突然加山さんに話しかけられて、僕は素っ頓狂な声を出してしまった。
「突然ごめんね? もしかしてだけどさ、その……鹿倉君と紫藤先輩って……」
言いにくそうに問いかける加山さんに、僕の顔面からスッと血の気が引いた。
やっぱり、やっぱり気づかれてるんじゃないか!
どうしよう、どうにかして誤魔化さないと礼人さんに迷惑が……!
「あ、ゴメン! そうじゃないのっ。私軽蔑とか揶揄う気なんて無いからね! そうじゃなくて、頑張って! てか、密かに応援するから気を大きく持って!」
「……え、は?」
……そう言えば加山さん、さっきからキラキラした表情だよな。
それも礼人さんだけに向けてるというよりは、僕も合わせてセットで感激してるって感じだし……。
「そっか。じゃあ、内緒にしていてくれる? ……出来れば歩とのことは、誰にも邪魔されたくないんだ」
「はい。大丈夫です。……きっとバレちゃったら多分、鹿倉君が女子からかなり恨まれると思うし、邪魔が入っちゃいそうですものね」
「加山さん……」
なんて人格者なんだ! いくら礼人さんに憧れてるからって、こんな大人な対応が出来るなんて!
「……歩」
「はい。あ、僕からもお礼を言わなきゃですね! 加山さんありがとう」
「……くくっ」
へ?
キョトンとする僕に、笑う礼人さん。その横で加山さんが苦笑いをしている。
「……紫藤先輩は気づいちゃってますね」
「まあな。……だいぶ前にそんな方々と遭遇したこともあるしな」
……??
「歩、この人はな」
「はい」
「ふの付く女子なんだよ」
ふ?
ますますキョトンとする僕に、加山さんと礼人さんは楽しそうに笑っていた。
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