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第四章
あなたを癒したい
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礼人さんも僕の背中に腕を回してくれて、お互いギュウッと抱きしめあっていた。
僕の気持ちはちゃんと伝わっている?
礼人さんの気持ちも、少しは浮上してくれてる?
いろんなことを思いながらずっと黙って礼人さんを抱きしめ続けていたけど、そっと力を抜いて体を離した。
顔を合わせた礼人さんの表情はさっきのソレとは違って、面はゆい表情をしている。
「気にさせて悪かったな」
さっきと違って照れくさそうな表情になってくれてるのはいいんだけど、それは違う!
僕はもう一度ギュウッと礼人さんを抱きしめた。
「違います。そうじゃないです。僕はもっと礼人さんのことを理解できるくらいになりたいんです。……僕まだガキで、頼りないどころか色々察することも出来なくて……」
コツン。
「え?」
「バーカ。誰もそんなの望んでないっての。歩は、そのポヨンとしたところがいいんだろ? 変に背伸びなんてするなよ」
「でも……」
「そーだよー。歩君には他のみんなに無いいいところがてんこ盛りなんだから、それ無くしちゃダメだからな!」
え?
あ!
わ、忘れてたけどここ部室だった……。
皆さんいらっしゃったんですよねぇ(;・∀・)
恐る恐る顔を上げると千佳先輩だけじゃなくて、白石先輩達までもがこちらを見ていた。
そしてみんな一様に、優しい笑顔だ。
ねえ、礼人さん。
僕はまだ礼人さんの心の中にグイグイと入って行く勇気は無いけれど、そのうち礼人さんの抱えている重荷になっている気持ちを聞いてもいいですか?
本当の意味で、礼人さんを癒せる存在になりたいから。
僕は心の中でそうこっそり呟いて、礼人さんの掌をキュッと握った。
僕の気持ちはちゃんと伝わっている?
礼人さんの気持ちも、少しは浮上してくれてる?
いろんなことを思いながらずっと黙って礼人さんを抱きしめ続けていたけど、そっと力を抜いて体を離した。
顔を合わせた礼人さんの表情はさっきのソレとは違って、面はゆい表情をしている。
「気にさせて悪かったな」
さっきと違って照れくさそうな表情になってくれてるのはいいんだけど、それは違う!
僕はもう一度ギュウッと礼人さんを抱きしめた。
「違います。そうじゃないです。僕はもっと礼人さんのことを理解できるくらいになりたいんです。……僕まだガキで、頼りないどころか色々察することも出来なくて……」
コツン。
「え?」
「バーカ。誰もそんなの望んでないっての。歩は、そのポヨンとしたところがいいんだろ? 変に背伸びなんてするなよ」
「でも……」
「そーだよー。歩君には他のみんなに無いいいところがてんこ盛りなんだから、それ無くしちゃダメだからな!」
え?
あ!
わ、忘れてたけどここ部室だった……。
皆さんいらっしゃったんですよねぇ(;・∀・)
恐る恐る顔を上げると千佳先輩だけじゃなくて、白石先輩達までもがこちらを見ていた。
そしてみんな一様に、優しい笑顔だ。
ねえ、礼人さん。
僕はまだ礼人さんの心の中にグイグイと入って行く勇気は無いけれど、そのうち礼人さんの抱えている重荷になっている気持ちを聞いてもいいですか?
本当の意味で、礼人さんを癒せる存在になりたいから。
僕は心の中でそうこっそり呟いて、礼人さんの掌をキュッと握った。
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