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第三章
"礼人さん"という人 3
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ゆっくり歩いて来たけど、とうとう僕の家に着いてしまった。
「あの、ここから見えるあのこげ茶色の屋根が僕の家です」
「ああ、あれか。……ここからだと俺んちまで30分はかからないな」
「えっ! じゃあ、今度遊びに来てくれませんか? もしよければ僕が行ってもいいですし」
「いいな。……じゃあ、今度の日曜日にここに来ても良いか?」
「はい、是非! 楽しみにしてます」
「俺も楽しみにしてる。……じゃあ、また明日な」
「はい……」
僕が返事をした後、礼人さんは軽く笑って手を振って背中を向けた。
だけど僕はそのまま家に入ることが出来なくて、礼人さんの背中が小さくなるまで見送ろうと思った。
どんどん離れて行くのを名残惜しく見続けていたら、礼人さんがくるりと後ろを振り返った。
もうだいぶ距離が遠くなっているから、礼人さんの表情まではうかがえない。
だけど、明らかに振り返ってすぐに一瞬動きを止めたから、僕が未だに見送っていることに驚いたのかもしれない。
そして、礼人さんは思いっきり背伸びをするような格好で、僕に大きく手を振ってくれた。
それには僕も迷わずに同じように大きく振り返す。
そして角を曲がって、礼人さんの姿はもうどう頑張っても見ることは出来なくなってしまった。
そんなに長い時間では無かったけど、いろんな話が出来たおかげで、今まで知らなかった礼人さんのことを知ることが出来た。
見た目の明るさもきっと本来の礼人さんだと思うけど、内面は僕が思っていたよりもずっとずっと繊細な人だ。
綺麗でかっこよくて繊細で……、だけど優しくて頼りにさせてくれる人だ。
ホッと息を吐いて瞼を閉じると、礼人さんの笑顔が浮かび上がった。
僕の心に、甘酸っぱい切ない気持ちが広がっていった。
「あの、ここから見えるあのこげ茶色の屋根が僕の家です」
「ああ、あれか。……ここからだと俺んちまで30分はかからないな」
「えっ! じゃあ、今度遊びに来てくれませんか? もしよければ僕が行ってもいいですし」
「いいな。……じゃあ、今度の日曜日にここに来ても良いか?」
「はい、是非! 楽しみにしてます」
「俺も楽しみにしてる。……じゃあ、また明日な」
「はい……」
僕が返事をした後、礼人さんは軽く笑って手を振って背中を向けた。
だけど僕はそのまま家に入ることが出来なくて、礼人さんの背中が小さくなるまで見送ろうと思った。
どんどん離れて行くのを名残惜しく見続けていたら、礼人さんがくるりと後ろを振り返った。
もうだいぶ距離が遠くなっているから、礼人さんの表情まではうかがえない。
だけど、明らかに振り返ってすぐに一瞬動きを止めたから、僕が未だに見送っていることに驚いたのかもしれない。
そして、礼人さんは思いっきり背伸びをするような格好で、僕に大きく手を振ってくれた。
それには僕も迷わずに同じように大きく振り返す。
そして角を曲がって、礼人さんの姿はもうどう頑張っても見ることは出来なくなってしまった。
そんなに長い時間では無かったけど、いろんな話が出来たおかげで、今まで知らなかった礼人さんのことを知ることが出来た。
見た目の明るさもきっと本来の礼人さんだと思うけど、内面は僕が思っていたよりもずっとずっと繊細な人だ。
綺麗でかっこよくて繊細で……、だけど優しくて頼りにさせてくれる人だ。
ホッと息を吐いて瞼を閉じると、礼人さんの笑顔が浮かび上がった。
僕の心に、甘酸っぱい切ない気持ちが広がっていった。
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