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第二章
とんだ言い訳
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クラスに戻ると、加賀くんと加山さんに怒られてしまった。
そりゃ、そうだよね。
トイレに行くって出て行って、そのまま帰らぬ人になってしまったら僕でもきっと心配する。
「まったく―、どこ行ってたんだよ」
「あ……、えと。ちょうちょ……」
「えっ?」
まさか紫藤さんを見かけたから探しに行って、それでもって膝枕をしてあげてたなんて言えなくて。適当に言い訳しなきゃと口を突いて出てきたのが、まさかの蝶々だった。
「あ……、ええっと、だからね。見たこともない綺麗な蝶々が飛んでいたから……、思わず後を追いかけたくなって……」
あうううっ。
なにわけのわからない変な言い訳をしちゃってるんだろう。
子供じゃあるまいし、こんな言い訳誰も信じたりしないよ。
誰も信じたり……。
「……なるほど。まあ、鹿倉君ならそれもしょうが無いけど、もうお子ちゃまじゃないんだからしっかりしないと」
……え?
「そうだよ。お前大丈夫か? そのうち変な奴についていきそうで危なっかしいな」
2人に真顔で子供に説教するように心配されて、僕は本気で焦った。
「だ、大丈夫だよ! いくら何でも子供じゃないんだから、知らない人についてったりなんてしないから!」
「本当か~?」
「鹿倉君って、なんとなーく放っとけない危なっかしさがあるのよね~」
ひ、酷い!
そりゃ僕は、高校生にしては少しちびかもしれないけどさ!
だけどそれは身長だけで、精神はしっかりした高校生なんだからな!
と、心の中で叫んではみたものの、自業自得な咄嗟の蝶々の言い訳の後ではきっと2人ともまともに取り合ってはくれないだろう。
僕のバカ。
もうちょっと気の利いた言い訳しろよな。
……はあっ。
嘘が苦手な僕はため息を吐きつつも、紫藤さんとのことが内緒に出来て良かったと、こっそり安心してもいた。
そりゃ、そうだよね。
トイレに行くって出て行って、そのまま帰らぬ人になってしまったら僕でもきっと心配する。
「まったく―、どこ行ってたんだよ」
「あ……、えと。ちょうちょ……」
「えっ?」
まさか紫藤さんを見かけたから探しに行って、それでもって膝枕をしてあげてたなんて言えなくて。適当に言い訳しなきゃと口を突いて出てきたのが、まさかの蝶々だった。
「あ……、ええっと、だからね。見たこともない綺麗な蝶々が飛んでいたから……、思わず後を追いかけたくなって……」
あうううっ。
なにわけのわからない変な言い訳をしちゃってるんだろう。
子供じゃあるまいし、こんな言い訳誰も信じたりしないよ。
誰も信じたり……。
「……なるほど。まあ、鹿倉君ならそれもしょうが無いけど、もうお子ちゃまじゃないんだからしっかりしないと」
……え?
「そうだよ。お前大丈夫か? そのうち変な奴についていきそうで危なっかしいな」
2人に真顔で子供に説教するように心配されて、僕は本気で焦った。
「だ、大丈夫だよ! いくら何でも子供じゃないんだから、知らない人についてったりなんてしないから!」
「本当か~?」
「鹿倉君って、なんとなーく放っとけない危なっかしさがあるのよね~」
ひ、酷い!
そりゃ僕は、高校生にしては少しちびかもしれないけどさ!
だけどそれは身長だけで、精神はしっかりした高校生なんだからな!
と、心の中で叫んではみたものの、自業自得な咄嗟の蝶々の言い訳の後ではきっと2人ともまともに取り合ってはくれないだろう。
僕のバカ。
もうちょっと気の利いた言い訳しろよな。
……はあっ。
嘘が苦手な僕はため息を吐きつつも、紫藤さんとのことが内緒に出来て良かったと、こっそり安心してもいた。
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