10 / 62
第二章
何が不思議なんだろう
しおりを挟む
「なんだ、靴が一つ多いと思ったら新入部員か?」
紫藤さんにドキドキしていたら、突然背後から声が聞こえてきてびっくりして振り返った。
振り返って……。
噂は嘘じゃなかったと改めて確信した。
だって、顧問と思しき人と上級生が2人で入ってきたんだけど、2人ともやっぱりカッコイイ。
平凡なのは僕だけだ……。
あ、そうだ! 挨拶しなきゃ!
「あのっ、お世話になります! 僕、一年の鹿倉歩です。よろしくお願いします!」
勢いよく立ってぺこりと挨拶をして顔を上げた。
「おー、今度はちゃんとした子だな。俺は三年の桐ケ谷要だ。よろしく」
「一応顧問の水樹だ。……ここの活動はかなり緩いから、みんなで仲良くやってくれ」
「はいっ」
「で? ……もしかして、礼人が連れて来たのか?」
「そうですよ。よくわかりましたね」
「いや、だってお前、隣に座ってるだろ。……まあ、お前が連れてきた子なら間違いないだろ。ちゃんと面倒見てやれよ」
「ういっす。ホラ、もういいぞ座れよ」
「あっ、はい」
思わず突っ立ったままになっていた僕に気が付いた紫藤さんが、ポンポンと畳を叩いて座るように促してくれた。
元々読書同好会に入りたいと思っていたこともあって、紫藤さんに誘われるまま何も考えずに同好会に入っちゃったけど……、やっぱり何となく浮いてるよな。
イケメンぞろいの中に平凡1人。
はあっ……。
チラリと他の人たちを見てみると、後から来た桐ケ谷先輩は水樹先生に勉強を教えてもらっているようだった。
そして白石先輩と黒田先輩は互いに別の本を読んでいるんだけど、時々どちらかが話しかけたり相手の本を覗き込んだりと、何とも仲睦まじさが窺える。
そして強面の東郷先輩と可愛らしい千佳先輩は、人の目なんてお構いなしにべったりとくっ付いている。
「…………」
で、紫藤さんだけフリー……。
あれ?
紫藤さんだけ……?
てことは、もしかして桐ケ谷先輩と水樹先生も……?
くるんともう一度桐ケ谷先輩たちを見ると、何となくだけど……、そんな雰囲気があるような気がする。
……紫藤さんには、好きな人とかいないんだろうか。
あんなにモテるんだから、それこそその気になればいつでも恋人なんてできちゃいそうだけど。
そっと紫藤さんを窺ってみる。
端正な横顔に長い睫毛。
さらさらと額を覆うピンクバイオレットの艶やかな髪。
一見僕みたいな平凡なんて、相手にもしてくれなさそうな風貌なのに……。
「……なに、どうした?」
「あっ、いえっ」
いけない、いけない。
ついジッと見てしまってた。
慌てて本に目を落とすと横から手が伸びてきて、頭をグリグリとされた。
「……不思議だなあ、お前」
「え?」
何が?と思って紫藤さんを見上げたんだけど、紫藤さんはただ笑うだけで、その言葉の意味を教えてはくれなかった。
紫藤さんにドキドキしていたら、突然背後から声が聞こえてきてびっくりして振り返った。
振り返って……。
噂は嘘じゃなかったと改めて確信した。
だって、顧問と思しき人と上級生が2人で入ってきたんだけど、2人ともやっぱりカッコイイ。
平凡なのは僕だけだ……。
あ、そうだ! 挨拶しなきゃ!
「あのっ、お世話になります! 僕、一年の鹿倉歩です。よろしくお願いします!」
勢いよく立ってぺこりと挨拶をして顔を上げた。
「おー、今度はちゃんとした子だな。俺は三年の桐ケ谷要だ。よろしく」
「一応顧問の水樹だ。……ここの活動はかなり緩いから、みんなで仲良くやってくれ」
「はいっ」
「で? ……もしかして、礼人が連れて来たのか?」
「そうですよ。よくわかりましたね」
「いや、だってお前、隣に座ってるだろ。……まあ、お前が連れてきた子なら間違いないだろ。ちゃんと面倒見てやれよ」
「ういっす。ホラ、もういいぞ座れよ」
「あっ、はい」
思わず突っ立ったままになっていた僕に気が付いた紫藤さんが、ポンポンと畳を叩いて座るように促してくれた。
元々読書同好会に入りたいと思っていたこともあって、紫藤さんに誘われるまま何も考えずに同好会に入っちゃったけど……、やっぱり何となく浮いてるよな。
イケメンぞろいの中に平凡1人。
はあっ……。
チラリと他の人たちを見てみると、後から来た桐ケ谷先輩は水樹先生に勉強を教えてもらっているようだった。
そして白石先輩と黒田先輩は互いに別の本を読んでいるんだけど、時々どちらかが話しかけたり相手の本を覗き込んだりと、何とも仲睦まじさが窺える。
そして強面の東郷先輩と可愛らしい千佳先輩は、人の目なんてお構いなしにべったりとくっ付いている。
「…………」
で、紫藤さんだけフリー……。
あれ?
紫藤さんだけ……?
てことは、もしかして桐ケ谷先輩と水樹先生も……?
くるんともう一度桐ケ谷先輩たちを見ると、何となくだけど……、そんな雰囲気があるような気がする。
……紫藤さんには、好きな人とかいないんだろうか。
あんなにモテるんだから、それこそその気になればいつでも恋人なんてできちゃいそうだけど。
そっと紫藤さんを窺ってみる。
端正な横顔に長い睫毛。
さらさらと額を覆うピンクバイオレットの艶やかな髪。
一見僕みたいな平凡なんて、相手にもしてくれなさそうな風貌なのに……。
「……なに、どうした?」
「あっ、いえっ」
いけない、いけない。
ついジッと見てしまってた。
慌てて本に目を落とすと横から手が伸びてきて、頭をグリグリとされた。
「……不思議だなあ、お前」
「え?」
何が?と思って紫藤さんを見上げたんだけど、紫藤さんはただ笑うだけで、その言葉の意味を教えてはくれなかった。
1
お気に入りに追加
238
あなたにおすすめの小説
俺のまったり生活はどこへ?
グランラババー
BL
異世界に転生したリューイは、前世での死因を鑑みて、今世は若いうちだけ頑張って仕事をして、不労所得獲得を目指し、20代後半からはのんびり、まったり生活することにする。
しかし、次代の王となる第一王子に気に入られたり、伝説のドラゴンを倒したりと、今世も仕事からは逃れられそうにない。
さて、リューイは無事に不労所得獲得と、のんびり、まったり生活を実現できるのか?
「俺と第一王子との婚約なんて聞いてない!!」
BLではありますが、軽い恋愛要素があるぐらいで、R18には至りません。
以前は別の名前で投稿してたのですが、小説の内容がどうしても題名に沿わなくなってしまったため、題名を変更しました。
題名変更に伴い、小説の内容を少しずつ変更していきます。
小説の修正が終わりましたら、新章を投稿していきたいと思っています。
平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。
転生したけどやり直す前に終わった【加筆版】
リトルグラス
BL
人生を無気力に無意味に生きた、負け組男がナーロッパ的世界観に転生した。
転生モノ小説を読みながら「俺だってやり直せるなら、今度こそ頑張るのにな」と、思いながら最期を迎えた前世を思い出し「今度は人生を成功させる」と転生した男、アイザックは子供時代から努力を重ねた。
しかし、アイザックは成人の直前で家族を処刑され、平民落ちにされ、すべてを失った状態で追放された。
ろくなチートもなく、あるのは子供時代の努力の結果だけ。ともに追放された子ども達を抱えてアイザックは南の港町を目指す──
***
第11回BL小説大賞にエントリーするために修正と加筆を加え、作者のつぶやきは削除しました。(23'10'20)
**
台風の目はどこだ
あこ
BL
とある学園で生徒会会長を務める本多政輝は、数年に一度起きる原因不明の体調不良により入院をする事に。
政輝の恋人が入院先に居座るのもいつものこと。
そんな入院生活中、二人がいない学園では嵐が吹き荒れていた。
✔︎ いわゆる全寮制王道学園が舞台
✔︎ 私の見果てぬ夢である『王道脇』を書こうとしたら、こうなりました(2019/05/11に書きました)
✔︎ 風紀委員会委員長×生徒会会長様
✔︎ 恋人がいないと充電切れする委員長様
✔︎ 時々原因不明の体調不良で入院する会長様
✔︎ 会長様を見守るオカン気味な副会長様
✔︎ アンチくんや他の役員はかけらほども出てきません。
✔︎ ギャクになるといいなと思って書きました(目標にしましたが、叶いませんでした)
人気者の陽キャ男子くんが可愛いすぎるのだか?(´゚д゚`)
雷長 (らいちょう)
BL
陰キャとまではいかないけれど目立たず平凡に生きてきた中野静(なかのしず)
ある授業中クラスで人気No.1陽キャの国枝蒼(くにえだそう)が困っているのをみて世話焼きが出てしまい話しかけた…「お前クソかわいいなッッッ!」(心の声) 心の声多めじれじれラブコメディー
美形×隠れ美形 陽キャ攻め 主人公受け
一応R15ですがもしかしたら18になるかも…
初投稿です!!小説初めて書いたので温かな目で見守ってください!!!
参加型ゲームの配信でキャリーをされた話
ほしふり
BL
新感覚ゲーム発売後、しばらくの時間がたった。
五感を使うフルダイブは発売当時から業界を賑わせていたが、そこから次々と多種多様のプラットフォームが開発されていった。
ユーザー数の増加に比例して盛り上がり続けて今に至る。
そして…ゲームの賑わいにより、多くの配信者もネット上に存在した。
3Dのバーチャルアバターで冒険をしたり、内輪のコミュニティを楽しんだり、時にはバーチャル空間のサーバーで番組をはじめたり、発達と進歩が目に見えて繁栄していた。
そんな華やかな世界の片隅で、俺も個人のバーチャル配信者としてゲーム実況に勤しんでいた。
異世界へ下宿屋と共にトリップしたようで。
やの有麻
BL
山に囲まれた小さな村で下宿屋を営んでる倉科 静。29歳で独身。
昨日泊めた外国人を玄関の前で見送り家の中へ入ると、疲労が溜まってたのか急に眠くなり玄関の前で倒れてしまった。そして気付いたら住み慣れた下宿屋と共に異世界へとトリップしてしまったらしい!・・・え?どーゆうこと?
前編・後編・あとがきの3話です。1話7~8千文字。0時に更新。
*ご都合主義で適当に書きました。実際にこんな村はありません。
*フィクションです。感想は受付ますが、法律が~国が~など現実を突き詰めないでください。あくまで私が描いた空想世界です。
*男性出産関連の表現がちょっと入ってます。苦手な方はオススメしません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる