5 / 62
第一章
再会 2
しおりを挟む
「……あ」
思わず漏れた僕の声に、紫藤さんが気が付いてこちらを見た。
見て、目が合って。
紫藤さんも「あっ!」と声を上げた。
「うわ、久しぶりだな―。元気だったか? ……え? あれ、そういやお前、志望校は富樫じゃなかったっけ」
「……はい。だったんですけど、聖徳も良いなって思ってて……、で、こっちにしました」
あー、やっぱドキドキする。
遠くで見てるより、やっぱりこんだけ近いと迫力が違う。
本当に、こんなモデル張りの綺麗な人っているんだよなあ……。
「歩、もうどっかに入った?」
「え?」
あ、歩って!
歩って!
名前、憶えてくれてたんだ!
ていうか……! 呼び捨て名前呼び!
ど、どうしよう。うれしすぎる。
顔を真っ赤にさせて心臓バクバクさせていたら、目の前の紫藤さんが困ったように笑っていた。
「あ……、えと、あのっ……」
何聞かれたんだっけ? テンパり過ぎて忘れちゃった。
「部活は? どっか入ったのか?」
「……あ。いえ、まだです。文化系に入りたいなっては思ってるんですけど、まだ決められなくて」
「ふうん。……じゃあ、俺んとこ入る?」
「……え?」
「読書同好会。本読んでくっちゃべってるだけだけどな」
え!?
ええっ!?
「い、いいんですか!?」
目を真ん丸くして驚く僕に、紫藤さんも驚いていた。
「あ、えと。クラスの子の友達が、その同好会に入りたいって言ったら、すごく怖い人に却下されたって聞いたんで……」
「ああ、……あれ!」
どうやらすぐに思い当たったようだ。そして何やら可笑しそうに笑いだした。
「あれはな……、まあしょうがないっつーか……」
笑いを堪えながらだけど肯定しているから、やっぱり審査があるのは嘘ではないらしい。
「だけど歩は大丈夫だから」
「……え?」
笑いながら、僕の目を覗き込むようにしてそう言われて、僕の心臓がトクンと波打った。
「俺が推薦するよ。いやじゃ無ければ」
「い、嫌じゃないです!」
間髪を入れずに返事をした僕に、紫藤さんは楽しそうに笑っていた。
思わず漏れた僕の声に、紫藤さんが気が付いてこちらを見た。
見て、目が合って。
紫藤さんも「あっ!」と声を上げた。
「うわ、久しぶりだな―。元気だったか? ……え? あれ、そういやお前、志望校は富樫じゃなかったっけ」
「……はい。だったんですけど、聖徳も良いなって思ってて……、で、こっちにしました」
あー、やっぱドキドキする。
遠くで見てるより、やっぱりこんだけ近いと迫力が違う。
本当に、こんなモデル張りの綺麗な人っているんだよなあ……。
「歩、もうどっかに入った?」
「え?」
あ、歩って!
歩って!
名前、憶えてくれてたんだ!
ていうか……! 呼び捨て名前呼び!
ど、どうしよう。うれしすぎる。
顔を真っ赤にさせて心臓バクバクさせていたら、目の前の紫藤さんが困ったように笑っていた。
「あ……、えと、あのっ……」
何聞かれたんだっけ? テンパり過ぎて忘れちゃった。
「部活は? どっか入ったのか?」
「……あ。いえ、まだです。文化系に入りたいなっては思ってるんですけど、まだ決められなくて」
「ふうん。……じゃあ、俺んとこ入る?」
「……え?」
「読書同好会。本読んでくっちゃべってるだけだけどな」
え!?
ええっ!?
「い、いいんですか!?」
目を真ん丸くして驚く僕に、紫藤さんも驚いていた。
「あ、えと。クラスの子の友達が、その同好会に入りたいって言ったら、すごく怖い人に却下されたって聞いたんで……」
「ああ、……あれ!」
どうやらすぐに思い当たったようだ。そして何やら可笑しそうに笑いだした。
「あれはな……、まあしょうがないっつーか……」
笑いを堪えながらだけど肯定しているから、やっぱり審査があるのは嘘ではないらしい。
「だけど歩は大丈夫だから」
「……え?」
笑いながら、僕の目を覗き込むようにしてそう言われて、僕の心臓がトクンと波打った。
「俺が推薦するよ。いやじゃ無ければ」
「い、嫌じゃないです!」
間髪を入れずに返事をした僕に、紫藤さんは楽しそうに笑っていた。
1
お気に入りに追加
239
あなたにおすすめの小説
理香は俺のカノジョじゃねえ
中屋沙鳥
BL
篠原亮は料理が得意な高校3年生。受験生なのに卒業後に兄の周と結婚する予定の遠山理香に料理を教えてやらなければならなくなった。弁当を作ってやったり一緒に帰ったり…理香が18歳になるまではなぜか兄のカノジョだということはみんなに内緒にしなければならない。そのため友だちでイケメンの櫻井和樹やチャラ男の大宮司から亮が理香と付き合ってるんじゃないかと疑われてしまうことに。そうこうしているうちに和樹の様子がおかしくなって?口の悪い高校生男子の学生ライフ/男女CPあります。
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
彼はオレを推しているらしい
まと
BL
クラスのイケメン男子が、なぜか平凡男子のオレに視線を向けてくる。
どうせ絶対に嫌われているのだと思っていたんだけど...?
きっかけは突然の雨。
ほのぼのした世界観が書きたくて。
4話で完結です(執筆済み)
需要がありそうでしたら続編も書いていこうかなと思っておいます(*^^*)
もし良ければコメントお待ちしております。
⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。
小学生のゲーム攻略相談にのっていたつもりだったのに、小学生じゃなく異世界の王子さま(イケメン)でした(涙)
九重
BL
大学院修了の年になったが就職できない今どきの学生 坂上 由(ゆう) 男 24歳。
半引きこもり状態となりネットに逃げた彼が見つけたのは【よろず相談サイト】という相談サイトだった。
そこで出会ったアディという小学生? の相談に乗っている間に、由はとんでもない状態に引きずり込まれていく。
これは、知らない間に異世界の国家育成にかかわり、あげく異世界に召喚され、そこで様々な国家の問題に突っ込みたくない足を突っ込み、思いもよらぬ『好意』を得てしまった男の奮闘記である。
注:主人公は女の子が大好きです。それが苦手な方はバックしてください。
*ずいぶん前に、他サイトで公開していた作品の再掲載です。(当時のタイトル「よろず相談サイト」)
尊敬している先輩が王子のことを口説いていた話
天使の輪っか
BL
新米騎士として王宮に勤めるリクの教育係、レオ。
レオは若くして団長候補にもなっている有力団員である。
ある日、リクが王宮内を巡回していると、レオが第三王子であるハヤトを口説いているところに遭遇してしまった。
リクはこの事を墓まで持っていくことにしたのだが......?
平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。
これは兄さんじゃありません
くるむ
BL
東田志音(しおん)の兄、壱琉(いちる)はある日一人旅に出たまま行方知れずになった。
だが兄の事をどうしても諦められない志音は、兄の友人大翔(ひろと)、新(しん)、晴斗(せいと)の3人と、行方不明になる直前に兄が宿泊の予約を入れていたホテルに泊まりに行くことを決意。
そしてとうとう、行方不明になった壱琉に出会うことが出来たのだが……?
「ちょっと待って、なに? 僕のこと好きになっちゃった!? 待って、待って、待って。急にキスしたりなんてしないで―――!!」
ブラコンで兄さん大好きな志音と、彼を取り巻く人たちとの悲喜こもごもとした(?)ラブストーリーです??
短いですが、シリアスごちゃまぜの基本ギャグ。
なんとも言えない空気感が漂っていると思います。ちょっぴりご注意くださいませ。
転生したけどやり直す前に終わった【加筆版】
リトルグラス
BL
人生を無気力に無意味に生きた、負け組男がナーロッパ的世界観に転生した。
転生モノ小説を読みながら「俺だってやり直せるなら、今度こそ頑張るのにな」と、思いながら最期を迎えた前世を思い出し「今度は人生を成功させる」と転生した男、アイザックは子供時代から努力を重ねた。
しかし、アイザックは成人の直前で家族を処刑され、平民落ちにされ、すべてを失った状態で追放された。
ろくなチートもなく、あるのは子供時代の努力の結果だけ。ともに追放された子ども達を抱えてアイザックは南の港町を目指す──
***
第11回BL小説大賞にエントリーするために修正と加筆を加え、作者のつぶやきは削除しました。(23'10'20)
**
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる