4 / 62
第一章
再会
しおりを挟む
放課後。
バレー部に向かう加賀くんを見送って、僕は校内を散策していた。
……散策と言うと聞こえはいいけど、実は紫藤さんのいる読書同好会が気になるものだから、こっそり同好会の部室になっている和式の部屋を見に行ってみようかと思ったんだ。
「でも、今から行ったら同好会の人たちと鉢合わせしちゃうよな……」
ちょっと迷った末、僕は適当にぐるりとグラウンドを見渡して、それから中庭や図書館裏なんかを適当に歩き回ってからその部屋を見に行くことにした。
「……そろそろいいかな」
時間を確認して読書同好会の部屋に行こうとした時、向こうから数人の上級生らしき女子がバタバタと走って来た。
「モー、ほんっと礼人ったら逃げ足早いんだから―」
「見失っちゃったね」
「もう同好会に行っちゃったんじゃない? ……行ってみる?」
「えぇー!? やだよ。例の鬼先輩、怖いんだもん」
「ああ、あの先輩! あれヤダ。私も苦手っ」
……鬼先輩?
もしかして、加山さんが言っていた人かな?
たしかデカいイケメン……。
「もういいや、帰ろっか」
「うん。帰ろ、帰ろ」
「…………」
ぞろぞろと帰っていく彼女らを見送って、ちょっぴり考える。
やっぱりもうちょっとこの辺ウロウロしてから行くことにしよう。
さっきまで紫藤さんがこの辺にいたとしたら、他の人たちもそうかもしれないし。
そう考えて中庭をテクテク歩いていたら、奥の方からガサッと人の気配がした。
何気なくそちらに顔を向けたら……。
憧れて憧れて、もう一度会って話が出来ればとそう思っていた……、紫藤さんがいた。
バレー部に向かう加賀くんを見送って、僕は校内を散策していた。
……散策と言うと聞こえはいいけど、実は紫藤さんのいる読書同好会が気になるものだから、こっそり同好会の部室になっている和式の部屋を見に行ってみようかと思ったんだ。
「でも、今から行ったら同好会の人たちと鉢合わせしちゃうよな……」
ちょっと迷った末、僕は適当にぐるりとグラウンドを見渡して、それから中庭や図書館裏なんかを適当に歩き回ってからその部屋を見に行くことにした。
「……そろそろいいかな」
時間を確認して読書同好会の部屋に行こうとした時、向こうから数人の上級生らしき女子がバタバタと走って来た。
「モー、ほんっと礼人ったら逃げ足早いんだから―」
「見失っちゃったね」
「もう同好会に行っちゃったんじゃない? ……行ってみる?」
「えぇー!? やだよ。例の鬼先輩、怖いんだもん」
「ああ、あの先輩! あれヤダ。私も苦手っ」
……鬼先輩?
もしかして、加山さんが言っていた人かな?
たしかデカいイケメン……。
「もういいや、帰ろっか」
「うん。帰ろ、帰ろ」
「…………」
ぞろぞろと帰っていく彼女らを見送って、ちょっぴり考える。
やっぱりもうちょっとこの辺ウロウロしてから行くことにしよう。
さっきまで紫藤さんがこの辺にいたとしたら、他の人たちもそうかもしれないし。
そう考えて中庭をテクテク歩いていたら、奥の方からガサッと人の気配がした。
何気なくそちらに顔を向けたら……。
憧れて憧れて、もう一度会って話が出来ればとそう思っていた……、紫藤さんがいた。
1
お気に入りに追加
238
あなたにおすすめの小説
薫る薔薇に盲目の愛を
不来方しい
BL
代々医師の家系で育った宮野蓮は、受験と親からのプレッシャーに耐えられず、ストレスから目の機能が低下し見えなくなってしまう。
目には包帯を巻かれ、外を遮断された世界にいた蓮の前に現れたのは「かずと先生」だった。
爽やかな声と暖かな気持ちで接してくれる彼に惹かれていく。勇気を出して告白した蓮だが、彼と気持ちが通じ合うことはなかった。
彼が残してくれたものを胸に秘め、蓮は大学生になった。偶然にも駅前でかずとらしき声を聞き、蓮は追いかけていく。かずとは蓮の顔を見るや驚き、目が見える人との差を突きつけられた。
うまく話せない蓮は帰り道、かずとへ文化祭の誘いをする。「必ず行くよ」とあの頃と変わらない優しさを向けるかずとに、振られた過去を引きずりながら想いを募らせていく。
色のある世界で紡いでいく、小さな暖かい恋──。
隠れヤンデレは自制しながら、鈍感幼なじみを溺愛する
知世
BL
大輝は悩んでいた。
完璧な幼なじみ―聖にとって、自分の存在は負担なんじゃないか。
自分に優しい…むしろ甘い聖は、俺のせいで、色んなことを我慢しているのでは?
自分は聖の邪魔なのでは?
ネガティブな思考に陥った大輝は、ある日、決断する。
幼なじみ離れをしよう、と。
一方で、聖もまた、悩んでいた。
彼は狂おしいまでの愛情を抑え込み、大輝の隣にいる。
自制しがたい恋情を、暴走してしまいそうな心身を、理性でひたすら耐えていた。
心から愛する人を、大切にしたい、慈しみたい、その一心で。
大輝が望むなら、ずっと親友でいるよ。頼りになって、甘えられる、そんな幼なじみのままでいい。
だから、せめて、隣にいたい。一生。死ぬまで共にいよう、大輝。
それが叶わないなら、俺は…。俺は、大輝の望む、幼なじみで親友の聖、ではいられなくなるかもしれない。
小説未満、小ネタ以上、な短編です(スランプの時、思い付いたので書きました)
受けと攻め、交互に視点が変わります。
受けは現在、攻めは過去から現在の話です。
拙い文章ですが、少しでも楽しんで頂けたら幸いです。
宜しくお願い致します。
「婚約を破棄する!」から始まる話は大抵名作だと聞いたので書いてみたら現実に婚約破棄されたんだが
ivy
BL
俺の名前はユビイ・ウォーク
王弟殿下の許嫁として城に住む伯爵家の次男だ。
余談だが趣味で小説を書いている。
そんな俺に友人のセインが「皇太子的な人があざとい美人を片手で抱き寄せながら主人公を指差してお前との婚約は解消だ!から始まる小説は大抵面白い」と言うものだから書き始めて見たらなんとそれが現実になって婚約破棄されたんだが?
全8話完結
俺を助けてくれたのは、怖くて優しい変わり者
くるむ
BL
枇々木尚哉は母子家庭で育ったが、母親は男がいないと生きていけない体質で、常に誰かを連れ込んでいた。
そんな母親が借金まみれの男に溺れたせいで、尚哉はウリ専として働かされることになってしまっていたのだが……。
尚哉の家族背景は酷く、辛い日々を送っていました。ですが、昼夜問わずサングラスを外そうとしない妙な男、画家の灰咲龍(はいざきりゅう)と出会ったおかげで彼の生活は一変しちゃいます。
人に心配してもらえる幸せ、自分を思って叱ってもらえる幸せ、そして何より自分が誰かを好きだと思える幸せ。
そんな幸せがあるという事を、龍と出会って初めて尚哉は知ることになります。
ほのぼの、そしてじれったい。
そんな二人のお話です♪
※R15指定に変更しました。指定される部分はほんの一部です。それに相応するページにはタイトルに表記します。話はちゃんとつながるようになっていますので、苦手な方、また15歳未満の方は回避してください。
ギャルゲー主人公に狙われてます
白兪
BL
前世の記憶がある秋人は、ここが前世に遊んでいたギャルゲームの世界だと気づく。
自分の役割は主人公の親友ポジ
ゲームファンの自分には特等席だと大喜びするが、、、
平凡くんと【特別】だらけの王道学園
蜂蜜
BL
自分以外の家族全員が美形という家庭に生まれ育った平凡顔な主人公(ぼっち拗らせて表情筋死んでる)が【自分】を見てくれる人を求めて家族から逃げた先の男子校(全寮制)での話。
王道の転校生や生徒会、風紀委員、不良に振り回されながら愛されていきます。
※今のところは主人公総受予定。
《第一幕》テンプレ転移した世界で全裸から目指す騎士ライフ
ぽむぽむ
BL
交通事故死により中世ヨーロッパベースの世界に転移してしまった主人公。
セオリー通りの神のスキル授与がない? 性別が現世では女性だったのに男性に?
しかも転移先の時代は空前の騎士ブーム。
ジャンと名を貰い転移先の体の持ち前の運動神経を役立て、晴れて騎士になれたけど、旅先で知り合った男、リシャールとの出会いが人生を思わぬ方向へと動かしてゆく。
最終的に成り行きで目指すは騎士達の目標、聖地!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる