僕の王子様

くるむ

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第一章

再会

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放課後。
バレー部に向かう加賀くんを見送って、僕は校内を散策していた。

……散策と言うと聞こえはいいけど、実は紫藤さんのいる読書同好会が気になるものだから、こっそり同好会の部室になっている和式の部屋を見に行ってみようかと思ったんだ。

「でも、今から行ったら同好会の人たちと鉢合わせしちゃうよな……」

ちょっと迷った末、僕は適当にぐるりとグラウンドを見渡して、それから中庭や図書館裏なんかを適当に歩き回ってからその部屋を見に行くことにした。


「……そろそろいいかな」

時間を確認して読書同好会の部屋に行こうとした時、向こうから数人の上級生らしき女子がバタバタと走って来た。

「モー、ほんっと礼人ったら逃げ足早いんだから―」
「見失っちゃったね」
「もう同好会に行っちゃったんじゃない? ……行ってみる?」
「えぇー!? やだよ。例の鬼先輩、怖いんだもん」
「ああ、あの先輩! あれヤダ。私も苦手っ」

……鬼先輩?
もしかして、加山さんが言っていた人かな?
たしかデカいイケメン……。

「もういいや、帰ろっか」
「うん。帰ろ、帰ろ」


「…………」

ぞろぞろと帰っていく彼女らを見送って、ちょっぴり考える。

やっぱりもうちょっとこの辺ウロウロしてから行くことにしよう。
さっきまで紫藤さんがこの辺にいたとしたら、他の人たちもそうかもしれないし。


そう考えて中庭をテクテク歩いていたら、奥の方からガサッと人の気配がした。
何気なくそちらに顔を向けたら……。



憧れて憧れて、もう一度会って話が出来ればとそう思っていた……、紫藤さんがいた。
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