綺麗な先生は好きですか?

くるむ

文字の大きさ
上 下
156 / 158
最終章

食後のカフェオレ

しおりを挟む
お昼ご飯を食べ終わって、先生と2人で片付けた。先生と並んで立って洗い物をしているって、なんだか新婚さんみたいだ♪

「カフェオレ淹れてやるから、座って待ってろ」

洗い物を片付け終えてタオルで手を拭きながら、先生がリビングを指さして俺にゆっくりしてるよう促した。
先生のカフェオレが絶品な事は既に証明済みだ。もちろんそうじゃなくても、先生が淹れてくれるなら、どんな物でも嬉しいけど。


「お待たせ。どうぞ」
「ありがとう」

大きめのマグカップに淹れられた美味しそうなカフェオレ。火傷しないようにとフーフー息を吹きかけながら、アレ?と思った。

「先生、このマグ。前からあったっけ?」
「……いや。ちょっと前にお前専用にと買って来た」
「……え?」

濃い青に金色のイルカが描かれているマグカップ。どう考えても、先生の趣味ではなさそうなのに。

「イメージがな、何となく南っぽいなと思ったから……。気がついたらレジに向かってた」
「…………」
「……気に入らなかったか?」

「……んなわけない。そんなわけないよ……」

俺のいないところで先生が俺を思い出してくれて、しかも俺専用にって買ってきてくれただなんて、嬉しくて……嬉しすぎて、なんて言っていいのか分からないだけだ。

「俺、頑張るからね。ずっと先生に好きでいてもらえるように頑張るから……」
「――別に頑張ること無いけど」
「……え?」
「今のままのお前がいいから。変わらないでいてくれれば、それでいい」
「……先生」

「ほら、せっかく淹れたのに冷めちまう。ぬるくなる前に飲んじまえ」
「うん。ふふっ……」

ちょっぴり照れ臭くなったのか、ぶっきらぼうに言う先生がかわいく思える。それがやっぱり嬉しくて、俺の口角が上がった。

ちょうど飲み頃になったカフェオレ。
渚さん推奨の先生のコーヒーを、いつかは先生たちみたいにカフェオレではなくちゃんとコーヒーとして飲めると良いなってそう思いながら、俺は美味しくカフェオレを飲み干した。


「あ、そう言えば」

先生に一応勉強を付き合ってもらいながら、ずっと気になっていたことを思い出した。
最近は電話で話すことも多いからその時に聞いてもよかったんだけど、やっぱり直に聞いた方が安心するかと思ったんだ。

俺の発した言葉に先生がなんだ?と顔を上げる。

「和田さんとのこと解決したって言ってたけど、結局のところどうなったの?」
「ああ、そうだったな。まだちゃんと説明してなかった」

先生はそう言って、胡坐を崩して足を伸ばした。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる

クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ハイスペックED~元凶の貧乏大学生と同居生活~

みきち@書籍発売中!
BL
イケメン投資家(24)が、学生時代に初恋拗らせてEDになり、元凶の貧乏大学生(19)と同居する話。 成り行きで添い寝してたらとんでも関係になっちゃう、コメディ風+お料理要素あり♪ イケメン投資家(高見)×貧乏大学生(主人公:凛)

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

騎士が花嫁

Kyrie
BL
めでたい結婚式。 花婿は俺。 花嫁は敵国の騎士様。 どうなる、俺? * 他サイトにも掲載。

将軍の宝玉

なか
BL
国内外に怖れられる将軍が、いよいよ結婚するらしい。 強面の不器用将軍と箱入り息子の結婚生活のはじまり。 一部修正再アップになります

処理中です...