綺麗な先生は好きですか?

くるむ

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最終章

お味噌汁♪ 2

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「……南」

ゆっくりと唇を離して、俺の頬に掌を当てる先生。しばらく言葉もなくじっと見つめあった後、先生は俺の髪をくしゃりと撫でる。

「やっぱりお前と居るのが一番いいな。癒されるし安心する」
「うん、俺も。ドキドキするしふわふわするし、一番幸せ」

2人見つめあって笑って、額をコツンとくっつけた。
綺麗な瞳が至近距離で、ジッと俺だけを見つめてる。そう思ったら急激に恥ずかしくなって、落ち着かなくなってしまった。

う……、嬉しいけど心臓がドキドキ言ってるよ、先生!

「……そ、それじゃあ、そろそろお味噌汁を作ろうかな。先生の胃袋も一生俺が面倒みてやるからな!」

恥ずかしさを誤魔化すように大声で宣言して、合わせた額をパッと離した。
俺の気持ちに気が付いたのかは分からないけど、先生はそれに応えて「頼むな」と微笑んだ。


台所に立って、鍋に水を入れ昆布を投入し火をかけた。

え~っと確か、弱火で沸騰直前に昆布を引き上げるんだよな。

はっきり言って料理初心者な俺は、母さんから教えられたことをとにかく忠実に再現することだけを考えた。
鰹節も入れてだし汁を作り、豆腐とわかめを投入。そしてお味噌を入れるんだけど……、あ、その前に火を消さなきゃ。

『お味噌はね、とにかく沸騰させないように気を付けるの。いったん火を切ってから、煮立たせないような火加減でお味噌を溶き入れるのがコツなのよ』

……って、母さんが言ってたんだよな。

とにかく忠実に忠実にと自分に言い聞かせて、丁寧に初めての先生のための味噌汁を完成させた。


「お待たせー」

豚の生姜焼きとご飯をレンチンして、食卓におかずを乗っけて行く。
俺の手作りはお味噌汁だけだけど、これからもっと作れる料理を増やしていけばいいだけの話だ。

「美味そうだな。……じゃあ、いただきます」
「いただきます」

まずは自分の作った味噌汁から……、あ、先生も味噌汁を手に取ってくれている。
先生は味噌汁を一口飲んだ後、わかめと豆腐を口の中に入れた。そして目を細めて頬を緩める。

「……美味い」
「本当?」
「ああ、出汁もしっかり利いてるし、味噌の濃さもちょうどいい」
「あ~、良かったあ」

どうやらお世辞ではないようだった。手に持ったままのお味噌汁をまた口に付けて、頬を緩めている。
俺も味噌汁を一口ゴクリ。

……うん、母さんの作るお味噌汁の味とほぼ変わらない。


久しぶりの先生のお家での食事を、俺らは楽しく味わっていた。
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