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最終章
嬉しい報告
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「先生ー、ちょっと待って! 紫藤先生ー」
俺の目の前には紫藤先生と、先生にまとわりつく数人の女子。教科書片手に走り寄る俺の姿を目にとめて、周りの女子が嫌そうな顔をした。
「ちょっと何なのよ、最近の南ってば。あんたの趣味って勉強なの?」
「ウザいから近寄らないで。シッシッ」
最近の俺は、物理はもとより数学や英語の先生を見つけては質問しまくる人間だと認定されていて、あからさまに鬱陶しいものを見るような目で女子に見られることが多くなった。
その一番の原因はやっぱり紫藤先生で、俺がこうやって質問を始めると、自分らが遠慮しないといけない羽目に陥る事が不満だからだ。
「先生、ここ。この前の授業で教えてもらったんだけど、今一ココの応用問題が解けなくて」
そう言ってズィッと教科書を差し出すと、「どれ」と先生も俺に向き合った。
「ああ……、これか。……君たち、またね。部活が無い者は、気を付けて帰るんだよ」
「はぁーい」
そう言われては、いつまでもまとわりついている分けにはいかないと思ったんだろう。渋々だけど返事をして、女子らは手を振って去って行った。
「準備室に来るか?」
「もちろん!」
俺は嬉々として頷いて、先生と一緒に準備室へと向かった。
先生と話をしたいがためのカモフラージュだとは言っても、実際希望の大学にストレートで受かりたいから勉強をしているのも事実なので、まずは本当に分からないところを教えてもらった。
「呑み込みが早くなってるな。……ちゃんと勉強してるんだな」
「うん。俺の目標は、先生の傍に居て恥ずかしくない恋人で在り続ける事だからさ。そのためには、どんな事でも頑張るよ」
「……そうか」
俺の言葉に、先生が穏やかに笑ってくれた。そんな表情が見れることだけでも、こんなにも嬉しい。
「例の事だけどな――」
「例……、あ、和田さんとかいう人の事?」
「ああ、やっと解決したよ」
「え、ホント!?」
渚さんと先生からその話を聞いたあの時から、もう既に1カ月以上が経っていた。
「じゃあ、もう先生のマンションに行ってもいい? お味噌汁飲んでもらいたい!」
「ああ、いつでも」
「ヤッターッ!」
それから1週間後の日曜日、俺は先生のマンションにお邪魔していた。家族には、先生に勉強を教えてもらいに行くという口実で。
俺の目の前には紫藤先生と、先生にまとわりつく数人の女子。教科書片手に走り寄る俺の姿を目にとめて、周りの女子が嫌そうな顔をした。
「ちょっと何なのよ、最近の南ってば。あんたの趣味って勉強なの?」
「ウザいから近寄らないで。シッシッ」
最近の俺は、物理はもとより数学や英語の先生を見つけては質問しまくる人間だと認定されていて、あからさまに鬱陶しいものを見るような目で女子に見られることが多くなった。
その一番の原因はやっぱり紫藤先生で、俺がこうやって質問を始めると、自分らが遠慮しないといけない羽目に陥る事が不満だからだ。
「先生、ここ。この前の授業で教えてもらったんだけど、今一ココの応用問題が解けなくて」
そう言ってズィッと教科書を差し出すと、「どれ」と先生も俺に向き合った。
「ああ……、これか。……君たち、またね。部活が無い者は、気を付けて帰るんだよ」
「はぁーい」
そう言われては、いつまでもまとわりついている分けにはいかないと思ったんだろう。渋々だけど返事をして、女子らは手を振って去って行った。
「準備室に来るか?」
「もちろん!」
俺は嬉々として頷いて、先生と一緒に準備室へと向かった。
先生と話をしたいがためのカモフラージュだとは言っても、実際希望の大学にストレートで受かりたいから勉強をしているのも事実なので、まずは本当に分からないところを教えてもらった。
「呑み込みが早くなってるな。……ちゃんと勉強してるんだな」
「うん。俺の目標は、先生の傍に居て恥ずかしくない恋人で在り続ける事だからさ。そのためには、どんな事でも頑張るよ」
「……そうか」
俺の言葉に、先生が穏やかに笑ってくれた。そんな表情が見れることだけでも、こんなにも嬉しい。
「例の事だけどな――」
「例……、あ、和田さんとかいう人の事?」
「ああ、やっと解決したよ」
「え、ホント!?」
渚さんと先生からその話を聞いたあの時から、もう既に1カ月以上が経っていた。
「じゃあ、もう先生のマンションに行ってもいい? お味噌汁飲んでもらいたい!」
「ああ、いつでも」
「ヤッターッ!」
それから1週間後の日曜日、俺は先生のマンションにお邪魔していた。家族には、先生に勉強を教えてもらいに行くという口実で。
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