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第六章
2泊目の朝
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「……まだ時間があるからゆっくり考えていればいい。お休み、南」
「うん。お休み、先生」
言った通り、俺に腕枕をしてくれた先生は、もう一方の手を俺の背中に回して抱き込んでくれた。暖かい腕の中に囲われて、とっても幸せな気分だ。
……ねえ、先生。
俺だって、しっかり先生に溺れてるんだよ。そういう事、ちゃんと分かってるのかな?
そう心の中で呟いた時、偶然なんだろうけれど、先生が俺を抱く腕にギュッと力を込めた。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「ん……」
意識が浮上して目が覚めた。ぽかぽかと温かい中でぼんやりする。
目の前には先生のパジャマがあって、ずっと腕の中で寝てたんだなーと心もほっこり。
先生の顔を見ようと、顔を上げた。
……。
長い睫毛だなぁ。閉じた唇も色っぽいし……。
ジーッと見ていたら、先生の瞼がピクリと動いた。
「……南? 起きてた……のか」
「うん。さっき」
少し寝ぼけた感じの顔が可愛い。そんな表情をこんなに近くで見られるなんて、やっぱり特別な存在って良いなーって再実感。
少し起き上がって顔を覗き込もうと動いたら、先生がピクリと顔を顰めた。
「……って。痺れてギシギシする」
そう言って、先生が腕をギギギと動かしている。
「あ、ごめん俺のせい……」
「んんー? いいよ。まあ、幸せの痛みだろ?」
「――――っ」
起こした体をまた先生に向かってダイブした。だって、幸せが伝染して俺の中を満たしてくれたから。じっとなんてしてられなかった。
抱きついて、またぎゅうぎゅうと引っ付く。
「っ、ててて。おいこら、痺れてるんだってば」
「あ、そうだった」
慌てて先生の腕を揉んであげると、代わりに先生は俺の頭をくしゃりと撫でてくれた。
「ほら、着替えたら顔洗いに行くぞ」
「あ、はい」
たたんだパジャマを慌てて置いて、先生の後に続いて部屋を出た。
下に降りると渚さんがちょうど顔を洗い終えたところだった。
「おはよう、澪。南くん」
「おはよう」
「おはようございます」
まだみんな、起きて来てそう時間が経っていないようで、のんびりした雰囲気だ。
柳瀬さんたちは、椅子に座ってのんびりとお茶を飲んでいる。
先生は、先に顔を洗いに行った。
「南くん」
先生が洗面所に入ったのを見届けて、渚さんにそっと呼ばれた。
「はい、何ですか?」
「昨日は大変だったけど、大丈夫?」
「あ、はい。大丈夫です。……先生や渚さんに助けてもらったし、嫌がらせは、かなり気持ちは悪かったですけど」
その時のことを思い出して床に目を落としたら、渚さんが俺の頭を軽くポンポンと叩く。
小さな子供にするような、優しい仕草だ。
「あいつ、遠山は元々自意識とプライドの高い奴だったんだが、彼女のせいで澪に変なライバル心を植え付けられてしまっていたんだな」
「もう、解放されましたよね?」
「ああ、大丈夫だろ。あの時の遠山の顔は完全に憑き物が落ちたような顔だったし」
「そう、ですよね……」
渚さんの言葉に、俺は素直にホッとした。
確かにあの時の遠山さんは、夢から覚めたような表情だった。
「澪も、これで少しは南くんの恋人として、学習出来たんじゃないか?」
「え?」
「ああ、いやいや。これは南くんが気にする事じゃなかったな。あ、ほら。顔、洗い終わったみたいだぞ、行ってきたら?」
振り返ると、先生がタオルと歯ブラシを片手に洗面所から出てきていた。
「あ、はい」
なんだか気になる事を言われたのに、さらりと胡麻化された気分だ。
でも、ひらひらと手を振って俺を追いやる渚さんは、たぶん聞いても答えてはくれないだろう。
しょうがないので俺は、洗面所へと向かった。
「うん。お休み、先生」
言った通り、俺に腕枕をしてくれた先生は、もう一方の手を俺の背中に回して抱き込んでくれた。暖かい腕の中に囲われて、とっても幸せな気分だ。
……ねえ、先生。
俺だって、しっかり先生に溺れてるんだよ。そういう事、ちゃんと分かってるのかな?
そう心の中で呟いた時、偶然なんだろうけれど、先生が俺を抱く腕にギュッと力を込めた。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「ん……」
意識が浮上して目が覚めた。ぽかぽかと温かい中でぼんやりする。
目の前には先生のパジャマがあって、ずっと腕の中で寝てたんだなーと心もほっこり。
先生の顔を見ようと、顔を上げた。
……。
長い睫毛だなぁ。閉じた唇も色っぽいし……。
ジーッと見ていたら、先生の瞼がピクリと動いた。
「……南? 起きてた……のか」
「うん。さっき」
少し寝ぼけた感じの顔が可愛い。そんな表情をこんなに近くで見られるなんて、やっぱり特別な存在って良いなーって再実感。
少し起き上がって顔を覗き込もうと動いたら、先生がピクリと顔を顰めた。
「……って。痺れてギシギシする」
そう言って、先生が腕をギギギと動かしている。
「あ、ごめん俺のせい……」
「んんー? いいよ。まあ、幸せの痛みだろ?」
「――――っ」
起こした体をまた先生に向かってダイブした。だって、幸せが伝染して俺の中を満たしてくれたから。じっとなんてしてられなかった。
抱きついて、またぎゅうぎゅうと引っ付く。
「っ、ててて。おいこら、痺れてるんだってば」
「あ、そうだった」
慌てて先生の腕を揉んであげると、代わりに先生は俺の頭をくしゃりと撫でてくれた。
「ほら、着替えたら顔洗いに行くぞ」
「あ、はい」
たたんだパジャマを慌てて置いて、先生の後に続いて部屋を出た。
下に降りると渚さんがちょうど顔を洗い終えたところだった。
「おはよう、澪。南くん」
「おはよう」
「おはようございます」
まだみんな、起きて来てそう時間が経っていないようで、のんびりした雰囲気だ。
柳瀬さんたちは、椅子に座ってのんびりとお茶を飲んでいる。
先生は、先に顔を洗いに行った。
「南くん」
先生が洗面所に入ったのを見届けて、渚さんにそっと呼ばれた。
「はい、何ですか?」
「昨日は大変だったけど、大丈夫?」
「あ、はい。大丈夫です。……先生や渚さんに助けてもらったし、嫌がらせは、かなり気持ちは悪かったですけど」
その時のことを思い出して床に目を落としたら、渚さんが俺の頭を軽くポンポンと叩く。
小さな子供にするような、優しい仕草だ。
「あいつ、遠山は元々自意識とプライドの高い奴だったんだが、彼女のせいで澪に変なライバル心を植え付けられてしまっていたんだな」
「もう、解放されましたよね?」
「ああ、大丈夫だろ。あの時の遠山の顔は完全に憑き物が落ちたような顔だったし」
「そう、ですよね……」
渚さんの言葉に、俺は素直にホッとした。
確かにあの時の遠山さんは、夢から覚めたような表情だった。
「澪も、これで少しは南くんの恋人として、学習出来たんじゃないか?」
「え?」
「ああ、いやいや。これは南くんが気にする事じゃなかったな。あ、ほら。顔、洗い終わったみたいだぞ、行ってきたら?」
振り返ると、先生がタオルと歯ブラシを片手に洗面所から出てきていた。
「あ、はい」
なんだか気になる事を言われたのに、さらりと胡麻化された気分だ。
でも、ひらひらと手を振って俺を追いやる渚さんは、たぶん聞いても答えてはくれないだろう。
しょうがないので俺は、洗面所へと向かった。
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