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第六章
怖い遠山さん 2
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手に持っている籠をテーブルの上にそっと置いて逃げようとした瞬間、遠山さんに思いっきり突き飛ばすようにして押し倒される。
「痛っ!!」
呻く俺に遠山さんが覆い被さってきた。
俺の両足を遠山さんは脚で抑え込み、片手で俺の肩を床に押し付けて、空いている手で俺のシャツを上に捲し上げた。
「あいつのことだ。絶対に痕、付けまくってるだろ」
「止めろ! 何すんですか! 離してくださいっ」
先生以外の男の人に、直に肌を撫でられるなんて気持ちが悪い。
俺はとにかくこの状態を何とかしたくて、必死だった。押さえつけられていない空いてる手で、遠山さんの腕を掴んで引き剥がそうとした。
なのに、シャツが伸びるだけで遠山さんはびくともしない。そして俺の体をまるで見分でもするかのように凝視している。
「止めろったら、離せよ! 離せったら、離せーー!」
「煩い! 黙ってろ!」
凄い形相で恫喝されて、一瞬体が委縮したけど、すぐに怒りが湧き出てきた。
舐めるように見るその目が、本気で気持ちが悪い。
凄く理不尽なことをされているんだと思えてきて、とにかくこいつを一発でも殴ってやるんだと思ってがむしゃらに体に力を込めて反抗した。
「嘘……だろ?」
「は……っ? それはこっちのセリフだ。いい加減、そこ退けよ!」
「なんで無いんだ?」
俺の罵声を無視して、遠山さんはまだ俺の体をジロジロ見ている。
「キスマークだよ! 背中か? 尻か? 後ろ向いてみろ!」
「何言ってんだ! 俺と先生はそんなんじゃないって言ってるだろ! 気持ち悪いからいい加減止めてよ!」
昨夜は確かに先生としたけど、だけどキスマークを付けられた記憶は無い。しかも、ここには先生と2人きりでは無くて大勢の人がいるんだ。リスクを回避したいと俺以上に考えている先生が、そんなことをするわけが無いんだ。
だけど少し不安なのは、初めてお互いを欲した夜だったから、すごく興奮してお互いイッちゃって、理性を無くしてしまっている可能性は否定できないことだ。
「後ろ向けって言ってんだろ!」
「嫌だ! 止めろ、離せっ」
遠山さんが俺の体をひっくり返そうと、体を移動した。圧し掛かっていた体重が離れたことで、やっと自由になれた。
俺は、空いた脚で遠山さんを思いっきり蹴飛ばす。よろけた遠山さんが尻餅を着いたのを見て、立ち上がって逃げようとした。
だけど、自分が思っていた以上に遠山さんにされたことが怖かったようで、足に力が入らない。ガクガクと震える足を叱咤して一歩足を前に踏み出したとき、今度は遠山さんに足を取られて思いっきり転んでしまった。
その拍子に、ガターンと大きく椅子が倒れる。
ヤバイ、と思った瞬間、今度は俺はうつ伏せに床に押し付けられていた。
「痛っ!!」
呻く俺に遠山さんが覆い被さってきた。
俺の両足を遠山さんは脚で抑え込み、片手で俺の肩を床に押し付けて、空いている手で俺のシャツを上に捲し上げた。
「あいつのことだ。絶対に痕、付けまくってるだろ」
「止めろ! 何すんですか! 離してくださいっ」
先生以外の男の人に、直に肌を撫でられるなんて気持ちが悪い。
俺はとにかくこの状態を何とかしたくて、必死だった。押さえつけられていない空いてる手で、遠山さんの腕を掴んで引き剥がそうとした。
なのに、シャツが伸びるだけで遠山さんはびくともしない。そして俺の体をまるで見分でもするかのように凝視している。
「止めろったら、離せよ! 離せったら、離せーー!」
「煩い! 黙ってろ!」
凄い形相で恫喝されて、一瞬体が委縮したけど、すぐに怒りが湧き出てきた。
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だけど、自分が思っていた以上に遠山さんにされたことが怖かったようで、足に力が入らない。ガクガクと震える足を叱咤して一歩足を前に踏み出したとき、今度は遠山さんに足を取られて思いっきり転んでしまった。
その拍子に、ガターンと大きく椅子が倒れる。
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