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第五章
ゴールデンウイークの約束
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結局、先生は晩酌を了承するハメになり、席も父さんの隣へと移動して晩酌の相手をさせられていた。
チラッと窺う先生の顔は、お酒を飲んでいる割にはあまり代わり映えがしない。
……もしかしたら先生、案外いける口なのか?
泊まってくれることになったのは嬉しいけれど、先生を父さんに取られちゃったなーと思って見ていると、和葉も同じことを思っているのか、モグモグとご飯を食べながら恨めしそうに父さんたちを見ている。
やっぱ先生、俺の家族にしっかり好かれちゃってるよな。
……あ。大事なことを忘れてた。
「母さん、ゴールデンウイーク、紫藤先生たちと旅行に行ってもいいかな?」
「え?」
「こないだの事件でさ、俺、病院で先生の友達の渚さんと知り合って、すっかり意気投合して連絡先交換してたんだ。そしたら先生や渚さんらで泊まりに行くから一緒に行かないかって誘われたんだ」
「でも……、紫藤先生のお友達って皆さん大人の方たちでしょ? 陽太が行って、ご迷惑なんじゃないの?」
「そんなことないよ! 来て欲しいって言ってくれたし」
母さんが俺が行っても迷惑になるんじゃないかと気にしてる様子に、先生も加勢してくれた。
「大丈夫ですよ、お母さん。コテージに泊まる予定なんですけど、定員が一人余っているしせっかくだから南くんを呼びたいなって話になったんです。みんな、熱烈歓迎ですから」
「そうだよ。俺も進路の事とかで、先生の友達が何をどう考えて進学や就職先を選んだのかとか、聞いてみたいとも思っているんだ」
「そうなの……? 本当に、お邪魔じゃないんですか?」
母さんはそれでも心配なようで、頬に手を当てて考える素振りを見せる。
「もちろんです」
それには先生も、キッパリと答えてくれた。
「いいじゃないか、母さん。何にもしないで家でゴロゴロしているよりは、よっぽど建設的だ」
「父さん! じゃあ、行ってもいいの?」
「ああ、紫藤先生に迷惑かけないようにな」
「分かった!」
やったー!
これでゴールデンウイーク、先生と一緒に居られるー!
「お兄ちゃん、ずるいー。和葉も行きたいー」
「和葉は、父さんたちがどっか連れてってやるから」
「え~? ヤダ、先生とがいいっ」
よほど先生が気に入っているのか、駄々をこね始めた和葉に先生も苦笑いを零す。
「先生を困らせちゃダメでしょ? ……そうねえ、和葉の好きな動物園は? 確か虎の赤ちゃんが生まれたとかで、今話題になってるでしょ?」
母さんの言葉に和葉の顔色が変わった。
和葉は動物好きで、テレビで見た虎の赤ちゃんがかわいい、かわいいと何度も言っていたのだ。
「本当に連れてってくれるの?」
「そうよ。ねえ、お父さん?」
「ああ。約束するょ」
普段忙しい父さんがしっかりと頷いたので、和葉も動物園を取ってくれたようだ。
……ホッ。
先生をチラッと窺うと、目が合った。
軽く口角を上げたその表情は、『良かったな』と言っているようだった。
チラッと窺う先生の顔は、お酒を飲んでいる割にはあまり代わり映えがしない。
……もしかしたら先生、案外いける口なのか?
泊まってくれることになったのは嬉しいけれど、先生を父さんに取られちゃったなーと思って見ていると、和葉も同じことを思っているのか、モグモグとご飯を食べながら恨めしそうに父さんたちを見ている。
やっぱ先生、俺の家族にしっかり好かれちゃってるよな。
……あ。大事なことを忘れてた。
「母さん、ゴールデンウイーク、紫藤先生たちと旅行に行ってもいいかな?」
「え?」
「こないだの事件でさ、俺、病院で先生の友達の渚さんと知り合って、すっかり意気投合して連絡先交換してたんだ。そしたら先生や渚さんらで泊まりに行くから一緒に行かないかって誘われたんだ」
「でも……、紫藤先生のお友達って皆さん大人の方たちでしょ? 陽太が行って、ご迷惑なんじゃないの?」
「そんなことないよ! 来て欲しいって言ってくれたし」
母さんが俺が行っても迷惑になるんじゃないかと気にしてる様子に、先生も加勢してくれた。
「大丈夫ですよ、お母さん。コテージに泊まる予定なんですけど、定員が一人余っているしせっかくだから南くんを呼びたいなって話になったんです。みんな、熱烈歓迎ですから」
「そうだよ。俺も進路の事とかで、先生の友達が何をどう考えて進学や就職先を選んだのかとか、聞いてみたいとも思っているんだ」
「そうなの……? 本当に、お邪魔じゃないんですか?」
母さんはそれでも心配なようで、頬に手を当てて考える素振りを見せる。
「もちろんです」
それには先生も、キッパリと答えてくれた。
「いいじゃないか、母さん。何にもしないで家でゴロゴロしているよりは、よっぽど建設的だ」
「父さん! じゃあ、行ってもいいの?」
「ああ、紫藤先生に迷惑かけないようにな」
「分かった!」
やったー!
これでゴールデンウイーク、先生と一緒に居られるー!
「お兄ちゃん、ずるいー。和葉も行きたいー」
「和葉は、父さんたちがどっか連れてってやるから」
「え~? ヤダ、先生とがいいっ」
よほど先生が気に入っているのか、駄々をこね始めた和葉に先生も苦笑いを零す。
「先生を困らせちゃダメでしょ? ……そうねえ、和葉の好きな動物園は? 確か虎の赤ちゃんが生まれたとかで、今話題になってるでしょ?」
母さんの言葉に和葉の顔色が変わった。
和葉は動物好きで、テレビで見た虎の赤ちゃんがかわいい、かわいいと何度も言っていたのだ。
「本当に連れてってくれるの?」
「そうよ。ねえ、お父さん?」
「ああ。約束するょ」
普段忙しい父さんがしっかりと頷いたので、和葉も動物園を取ってくれたようだ。
……ホッ。
先生をチラッと窺うと、目が合った。
軽く口角を上げたその表情は、『良かったな』と言っているようだった。
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