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第五章
狡い、先生。……ウレシイ
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とりあえず、俺に料理をする素質が少しでもあるかが問題だよな。
そんなに不器用だとは思わないから大丈夫だとは思うんだけど。
あ!
そうだ、母さんに連絡して先生の夕食をお願いしておこう。
たまにはちゃんとしたモノ食べてもらわないと。俺のためにも!
「南?」
ぱぱっとスマホを操作していたら、先生に訝しげに名前を呼ばれた。
「うん。ちょっと待って、今母親に連絡を――。と、済んだ」
「ああ、もうそろそろ帰らなきゃいけない時間か」
そう言って先生が立ち上がろうとしたので慌てて制する。
「ううん、大丈夫。急ぎの連絡しただけだから」
「……急ぎの?」
「うん。あ、ねえそれより。さっきの渚さんの電話、あれなんだったの?」
「あー、ああ……」
ん?
やっぱ、あんまり良いことじゃないのかな?
女の人がどうとか言ってたもんなあ。
「ゴールデンウイークの泊りの件だけどさ。当初の人数より3人ばかり増えることになったんだよ」
「……3人って、みんな女の人?」
「まあ、そうだ」
「…………」
それって、みんな先生のこと好きな人たちばかりなんだよね?
じとーっとした目で先生を見ると、パチパチと目を瞬いた。
「なんだ、どうした?」
「……別に。みんなきっと先生のこと好きなんだろうなあって思ったら、ムカついてきただけ」
「――、関係ないだろ。あいつらのことは、俺はほとんど相手にはしていないから」
「え?」
「みんな研究室で一緒だった奴らなんだよ。俺はお前も知っての通りで、興味のない奴らにまで愛想を振りまくタイプじゃないから、しつこい渚と人の良すぎる柳瀬くらいとしかろくに交流はしていない。必要最低限だ」
「……えーっと、じゃあ、女の人とは全然仲良くしてなかったってこと?」
「そういや、まともなのも一人はいたな。頭もよくて話も分かる奴だった」
「……美人?」
「あー、まあ。そうかもなぁ」
先生はその人のことを思い浮かべていたんだろう。視線を斜め上に持っていき、考える素振りを見せる。
なんだかちょっと面白くない。
素の先生が、誰かを褒めてるのは初めて見るかも。
俺がプクッと頬を膨らませると、先生が苦笑した。
スッと顔を近づけてチュッと軽く啄むような軽いキスをする。
むぅー、明らかに機嫌取りじゃん!
俺がさらに剥れて見せると、先生は何度も何度も俺の唇を可愛らしく啄む。
ううー、ちくしょう。狡いぞ、先生。
……嬉しくなってきた。
俺の変化に気が付いた先生は俺の頬に両手を添えて、今度はしっとりと唇を合わせた。
深いキスに移行していく先生とのキスに、俺は先生の背中に腕を回して、しっかりと溺れていった。
そんなに不器用だとは思わないから大丈夫だとは思うんだけど。
あ!
そうだ、母さんに連絡して先生の夕食をお願いしておこう。
たまにはちゃんとしたモノ食べてもらわないと。俺のためにも!
「南?」
ぱぱっとスマホを操作していたら、先生に訝しげに名前を呼ばれた。
「うん。ちょっと待って、今母親に連絡を――。と、済んだ」
「ああ、もうそろそろ帰らなきゃいけない時間か」
そう言って先生が立ち上がろうとしたので慌てて制する。
「ううん、大丈夫。急ぎの連絡しただけだから」
「……急ぎの?」
「うん。あ、ねえそれより。さっきの渚さんの電話、あれなんだったの?」
「あー、ああ……」
ん?
やっぱ、あんまり良いことじゃないのかな?
女の人がどうとか言ってたもんなあ。
「ゴールデンウイークの泊りの件だけどさ。当初の人数より3人ばかり増えることになったんだよ」
「……3人って、みんな女の人?」
「まあ、そうだ」
「…………」
それって、みんな先生のこと好きな人たちばかりなんだよね?
じとーっとした目で先生を見ると、パチパチと目を瞬いた。
「なんだ、どうした?」
「……別に。みんなきっと先生のこと好きなんだろうなあって思ったら、ムカついてきただけ」
「――、関係ないだろ。あいつらのことは、俺はほとんど相手にはしていないから」
「え?」
「みんな研究室で一緒だった奴らなんだよ。俺はお前も知っての通りで、興味のない奴らにまで愛想を振りまくタイプじゃないから、しつこい渚と人の良すぎる柳瀬くらいとしかろくに交流はしていない。必要最低限だ」
「……えーっと、じゃあ、女の人とは全然仲良くしてなかったってこと?」
「そういや、まともなのも一人はいたな。頭もよくて話も分かる奴だった」
「……美人?」
「あー、まあ。そうかもなぁ」
先生はその人のことを思い浮かべていたんだろう。視線を斜め上に持っていき、考える素振りを見せる。
なんだかちょっと面白くない。
素の先生が、誰かを褒めてるのは初めて見るかも。
俺がプクッと頬を膨らませると、先生が苦笑した。
スッと顔を近づけてチュッと軽く啄むような軽いキスをする。
むぅー、明らかに機嫌取りじゃん!
俺がさらに剥れて見せると、先生は何度も何度も俺の唇を可愛らしく啄む。
ううー、ちくしょう。狡いぞ、先生。
……嬉しくなってきた。
俺の変化に気が付いた先生は俺の頬に両手を添えて、今度はしっとりと唇を合わせた。
深いキスに移行していく先生とのキスに、俺は先生の背中に腕を回して、しっかりと溺れていった。
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