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第四章
先生を捕まえた!2
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「はい、ではみんなゴールしましたね!」
開催委員の元気な声にハッとして顔を上げる。周りを見渡すと、七組全員が揃っていた。
女の先生を選んだのは結局4人で、後は俺同様男の先生を連れてきていた。
「1位は3組です! おめでとうございます」
「あ…、ども」
「えーっと、君の名前は?」
「南です」
「では、南くん。南くんの一番好きな先生は紫藤先生なんですね」
「……あー、はい」
ああ、もう。インタビューなんか要らないから!
早く帰してくれないかな。
「どこが好きなんですか?」
「えっ!?」
どこが好きって……。
もう凄く好きすぎて、全部好きってしか言えない。俺の中すべてが紫藤先生の事だけで埋まってる。
奇麗だし、色っぽいし……、それに横柄だけどちゃんと優しくて…。
「南くん?」
名前を呼ばれて我に返る。思わず本心を心の中で答えていたことに気が付いた。
とはいえ、こんな答えはさすがに言えない。
「あ、えとっ。教え方が上手いところと……、あとは優しいところかな」
「そうですかー。確かに紫藤先生は、優しいよね。では、紫藤先生。南くんに、副賞としてハグをしてあげてください!」
「えっ!?」
「キャーッ!!」
先生がハグってところに反応したんだろう。女子の悲鳴のような甲高い声が、あちらこちらから聞こえてくる。
それには流石に紫藤先生も驚いたようで、ちょっとびっくりした表情をしていた。
「では、お願いします」
委員がとにかく進行を急がせようと、紫藤先生に催促した。それには先生も仕方がないなと言うように苦笑して、俺の真正面に立つ。
「南くん、優勝おめでとう」
そう言いながら、紫藤先生が俺を優しく引き寄せた。そして俺の背中に手をまわして、ふわりと俺の体を包み込む。
久しぶりの先生の甘い匂い。
ずっと求めていて待ち焦がれていた先生の体温が嬉しい。嬉しすぎて、先生をギューッと抱きしめ返したくなる。
思わず、先生の背中に手を回そうとしたところで、先生に背中をポンポンと優しく叩かれ、と同時に女子の悲鳴のような歓声が耳に大きく届いて我に返った。
……ヤベー。
あまりに嬉しすぎて、本能のまま行動するところだった。ここは学校で、しかも公衆の面前だ。
俺は必死で理性を総動員して、上げかけた手をゆっくり下した。
先生の俺の背中に回った腕が、ゆっくり離れていく。
ああ、もう終わりなんだな……。
公衆の面前ってところは気に入らなかったけど、先生に飢えていた俺は、はっきり言ってもう少し堪能していたかった。
「俺は昼飯は、準備室で食うから」
「……え?」
俺だけにしか聞こえない、小さな小さな声。
だけどこれは空耳なんかじゃなくて。
ハグを解いた先生が、ニコリと微笑みかけた。
「紫藤先生、ありがとうございましたー。2年の1位は3組でした。皆さん、お疲れさまでした」
周りの拍手と共に、みんな自分のクラスのもとへと戻って行く。
「次は3年の借り物競争です」
後ろからのアナウンスをBGMに、俺の心はふわふわと先生の背中を追っていた。
開催委員の元気な声にハッとして顔を上げる。周りを見渡すと、七組全員が揃っていた。
女の先生を選んだのは結局4人で、後は俺同様男の先生を連れてきていた。
「1位は3組です! おめでとうございます」
「あ…、ども」
「えーっと、君の名前は?」
「南です」
「では、南くん。南くんの一番好きな先生は紫藤先生なんですね」
「……あー、はい」
ああ、もう。インタビューなんか要らないから!
早く帰してくれないかな。
「どこが好きなんですか?」
「えっ!?」
どこが好きって……。
もう凄く好きすぎて、全部好きってしか言えない。俺の中すべてが紫藤先生の事だけで埋まってる。
奇麗だし、色っぽいし……、それに横柄だけどちゃんと優しくて…。
「南くん?」
名前を呼ばれて我に返る。思わず本心を心の中で答えていたことに気が付いた。
とはいえ、こんな答えはさすがに言えない。
「あ、えとっ。教え方が上手いところと……、あとは優しいところかな」
「そうですかー。確かに紫藤先生は、優しいよね。では、紫藤先生。南くんに、副賞としてハグをしてあげてください!」
「えっ!?」
「キャーッ!!」
先生がハグってところに反応したんだろう。女子の悲鳴のような甲高い声が、あちらこちらから聞こえてくる。
それには流石に紫藤先生も驚いたようで、ちょっとびっくりした表情をしていた。
「では、お願いします」
委員がとにかく進行を急がせようと、紫藤先生に催促した。それには先生も仕方がないなと言うように苦笑して、俺の真正面に立つ。
「南くん、優勝おめでとう」
そう言いながら、紫藤先生が俺を優しく引き寄せた。そして俺の背中に手をまわして、ふわりと俺の体を包み込む。
久しぶりの先生の甘い匂い。
ずっと求めていて待ち焦がれていた先生の体温が嬉しい。嬉しすぎて、先生をギューッと抱きしめ返したくなる。
思わず、先生の背中に手を回そうとしたところで、先生に背中をポンポンと優しく叩かれ、と同時に女子の悲鳴のような歓声が耳に大きく届いて我に返った。
……ヤベー。
あまりに嬉しすぎて、本能のまま行動するところだった。ここは学校で、しかも公衆の面前だ。
俺は必死で理性を総動員して、上げかけた手をゆっくり下した。
先生の俺の背中に回った腕が、ゆっくり離れていく。
ああ、もう終わりなんだな……。
公衆の面前ってところは気に入らなかったけど、先生に飢えていた俺は、はっきり言ってもう少し堪能していたかった。
「俺は昼飯は、準備室で食うから」
「……え?」
俺だけにしか聞こえない、小さな小さな声。
だけどこれは空耳なんかじゃなくて。
ハグを解いた先生が、ニコリと微笑みかけた。
「紫藤先生、ありがとうございましたー。2年の1位は3組でした。皆さん、お疲れさまでした」
周りの拍手と共に、みんな自分のクラスのもとへと戻って行く。
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