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第三章
優先事項は、もちろん先生
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とにかく俺は、女装も女子との手繋ぎも、恐らくおんぶもNGっぽいので、必然的に借り物競争を選ぶしかない。無理やり前に押し入って、借り物競争のところに名前を書いた。
利一は、パン食い手繋ぎ競争のところに名前を書いていた。
「なんだ、陽太。お前借り物競争にしたのかよ」
「うん。女装なんてヤだし」
「俺も。だけど借り物って、なんか変なもの借りて来いって言われそうじゃん」
「んー、かもしんないけど、まあいいや」
席に着いて黒板を見たら、男子はとにかく女装を嫌がって、ダントツにパン食い競争に偏っていた。次に多いのはおんぶ。
借り物競争に人気が無いのは、利一が言ったように変なものを借りて来いと言われることを警戒したからだろう。
だけど定員を超えた後ろの方は情け容赦なく名前を消され、他に名前を書くようにと委員長が言っている。
それにみんな「え~」と、不満一杯の声を上げたが、どうにもならないのは分かりきったことで、みんな渋々黒板へと向かっていた。
俺も利一もギリギリセーフ。
はあ、助かった。
少し揉めはしたものの、何とか定員を割り振って、全員が出る競技が確定した。
「借り物競争とおんぶ早歩きリレー以外は、放課後練習を予定しています。長い時間では無いので、皆さん参加してください。以上です」
そっかー。借り物競争には練習は無いんだ。
てことはー、放課後先生の準備室に遊びに行って来いっていう神様の思し召しってことだよな。
「マジかよ。俺、部活あるんだけど」
「大変だなー。頑張れー」
「あー、もう! お前は帰宅部のくせに、練習も無しかよー」
ぶうぶう利一が文句を言っている。
「仕方ねーじゃん。お前、バスケ好きなんだろ?」
「おう! バスケがあれば何もいらん!」
胸を張って宣言する利一がちょっとカッコいいと思った。
俺が必死になれることって何だろう?
う~んと腕を組んで考えてみた。
脳裏にすぐに浮かんだのは先生の顔。
先生と、ずっと一緒に居たい。そのためには、俺には何が必要なんだろう。
先生に迷惑をかける存在にだけは成りたくないから、まずはしっかり仕事のできる男になること、だよな。
それでいて、先生との時間を確保できる職業……。
かと言って、教師は俺には無理だ。しかも教師は自分で現場を選べる分けじゃないから、職場恋愛なんて、よっぽど運が無ければ実現不可能だろうし。
う~ん、分からん。
今度先生と色々話をしてみよう。
それで俺の将来も、真剣に考えてみよう。……そう思って、笑いが零れた。
先生に出会う前の俺は、そんなこと考えたことも無かったのに。
本物の恋は人を変える力もあるんだなと、そう思ったら、先生に出会えたことが先生だけじゃなく俺にとっても奇跡なんだと思った。
利一は、パン食い手繋ぎ競争のところに名前を書いていた。
「なんだ、陽太。お前借り物競争にしたのかよ」
「うん。女装なんてヤだし」
「俺も。だけど借り物って、なんか変なもの借りて来いって言われそうじゃん」
「んー、かもしんないけど、まあいいや」
席に着いて黒板を見たら、男子はとにかく女装を嫌がって、ダントツにパン食い競争に偏っていた。次に多いのはおんぶ。
借り物競争に人気が無いのは、利一が言ったように変なものを借りて来いと言われることを警戒したからだろう。
だけど定員を超えた後ろの方は情け容赦なく名前を消され、他に名前を書くようにと委員長が言っている。
それにみんな「え~」と、不満一杯の声を上げたが、どうにもならないのは分かりきったことで、みんな渋々黒板へと向かっていた。
俺も利一もギリギリセーフ。
はあ、助かった。
少し揉めはしたものの、何とか定員を割り振って、全員が出る競技が確定した。
「借り物競争とおんぶ早歩きリレー以外は、放課後練習を予定しています。長い時間では無いので、皆さん参加してください。以上です」
そっかー。借り物競争には練習は無いんだ。
てことはー、放課後先生の準備室に遊びに行って来いっていう神様の思し召しってことだよな。
「マジかよ。俺、部活あるんだけど」
「大変だなー。頑張れー」
「あー、もう! お前は帰宅部のくせに、練習も無しかよー」
ぶうぶう利一が文句を言っている。
「仕方ねーじゃん。お前、バスケ好きなんだろ?」
「おう! バスケがあれば何もいらん!」
胸を張って宣言する利一がちょっとカッコいいと思った。
俺が必死になれることって何だろう?
う~んと腕を組んで考えてみた。
脳裏にすぐに浮かんだのは先生の顔。
先生と、ずっと一緒に居たい。そのためには、俺には何が必要なんだろう。
先生に迷惑をかける存在にだけは成りたくないから、まずはしっかり仕事のできる男になること、だよな。
それでいて、先生との時間を確保できる職業……。
かと言って、教師は俺には無理だ。しかも教師は自分で現場を選べる分けじゃないから、職場恋愛なんて、よっぽど運が無ければ実現不可能だろうし。
う~ん、分からん。
今度先生と色々話をしてみよう。
それで俺の将来も、真剣に考えてみよう。……そう思って、笑いが零れた。
先生に出会う前の俺は、そんなこと考えたことも無かったのに。
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