綺麗な先生は好きですか?

くるむ

文字の大きさ
上 下
7 / 158
第一章

先生を守りたい

しおりを挟む
「座ってくれる?」
「え、でも……」
「驚きはしたけど、気持ち悪いとか嫌だとかそうは思ってないから」
「!?」
「だからね、」
「じ、じゃあ、俺ずっと先生のこと好きでいても良い? 傍に居て……えっと話しかけたり、隙を見つけてスキンシップ図っても良い?」

先生の、「気持ち悪く無い、嫌でもない」その一言が俺の欲望に火をつけた。
やっぱり紫藤先生、あんたって危なっかしいよ。俺が傍に居て目を光らせておかないと、気が付いたら誰かに食われてしまいそうだ。

「え、その……。好きでいてくれるのも話しかけてくれるのは構わないけど、だけど最後のそれは……」

困ったような顔。
だけどその表情は、先生が言っていた通りで嫌悪からくるものには見えなかった。
むしろ、本当にただどうしていいのか分からない、そんな困った顔。
で、やっぱり俺はそんな紫藤先生に煽られちまうんだ。

座ったまま、俺の腕を取った状態の先生にさらに近づいてギュッとする。

俺と同じ男の人の、いや…、俺よりも大人の男の人の硬く引き締まった体の感触。女の子の柔らかい甘い感触とは全然違うけれど、それでも俺の心臓はドキドキと嬉しそうに燥ぎまくっている。

本当は、この綺麗な顔のその唇も奪ってしまいたいんだけど、そんな事をしたら浜中以下のゲス野郎になっちまう。俺は渾身の力で自分の腕を先生から引き剥がした。

「先生、ホントお願いだから俺以外の誰かの前で、こんな風に無防備になるのは止めろよ。俺は先生に本気だから、好きになってもらうまでは頑張って待つけど……」

「南くん……。君の目にどんなふうに映っているのか分からないけど、僕はこれでも君より大人だしそんなに危なっかしいわけでは無いよ?」

本気でそう思っているんだろうな……。ホント先生って自分の事を全然わかってない。
だけどまあ、自覚の無いこの人に何を言っても理解してはくれないんだろうな。

「いいや。とにかく勝手に俺が先生のこと守るから。それと、先生に好きになってもらうように頑張るから覚悟しろよな」

俺がそう宣言すると、先生は目をパチパチとさせて苦笑した。

「教師と生徒の恋愛は、御法度なんだけどな」

少し揶揄うように放たれたその言葉が、俺の心臓にチクリと突き刺さる。
だけど――

「……先生に迷惑は掛けないよ。もし、両想いになれたとしてもちゃんと秘密にする。誰にも言わない」

俺は宣言する様に言い放って、そのまま準備室を後にした。


言っちまった。
好きだって告白しちまった……。

つい勢いで口走ってしまったけど、それでも気持ち悪く無いって言ってくれた。

先生に迷惑かける事だけは絶対にしない。万が一両想いになれたとしても人に言えない辛い思いをするかもしれないけど、それでも俺は先生を諦める事だけは絶対に出来ないから。


「さてと、帰るか」
廊下を速足で歩き、階段を下りる。すると突然下の方から嫌らしい笑い声が聞こえて来た。

「なんだお前、いつから男に走ったんだよ」
「ちげーよ。今だって女の方が好きだっての。そうじゃなくて、紫藤ってそこらの女より綺麗じゃん。善がらせて喘がせたらスゲー色っぽいだろうなって思ったら試してみたいって思うだろ?」
「うわー、鬼畜ー。ギャハハハハ」

ドクンと心臓が一際大きく鳴って、体が一気に冷えたような気がした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

白雪王子と容赦のない七人ショタ!

ミクリ21
BL
男の白雪姫の魔改造した話です。

食事届いたけど配達員のほうを食べました

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
なぜ自転車に乗る人はピチピチのエロい服を着ているのか? そう思っていたところに、食事を届けにきたデリバリー配達員の男子大学生がピチピチのサイクルウェアを着ていた。イケメンな上に筋肉質でエロかったので、追加料金を払って、メシではなく彼を食べることにした。

勇者の股間触ったらエライことになった

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
勇者さんが町にやってきた。 町の人は道の両脇で壁を作って、通り過ぎる勇者さんに手を振っていた。 オレは何となく勇者さんの股間を触ってみたんだけど、なんかヤバイことになっちゃったみたい。

何故か正妻になった男の僕。

selen
BL
『側妻になった男の僕。』の続きです(⌒▽⌒) blさいこう✩.*˚主従らぶさいこう✩.*˚✩.*˚

家の中で空気扱いされて、メンタルボロボロな男の子

こじらせた処女
BL
学歴主義の家庭で育った周音(あまね)は、両親の期待に応えられず、受験に失敗してしまう。試験そのものがトラウマになってしまった周音の成績は右肩下がりに落ちていき、いつしか両親は彼を居ないものとして扱う様になる。  そんな彼とは裏腹に、弟の亜季は優秀で、両親はますます周音への態度が冷たくなっていき、彼は家に居るのが辛くなり、毎週末、いとこの慶の家にご飯を食べに行く様になる。  慶の家に行くことがストレスの捌け口になっていた周音であるが、どんどん精神的に参ってしまい、夜尿をしてしまうほどに追い詰められてしまう。ストレス発散のために慶の財布からお金を盗むようになるが、それもバレてしまい…?

童貞が建設会社に就職したらメスにされちゃった

なる
BL
主人公の高梨優(男)は18歳で高校卒業後、小さな建設会社に就職した。しかし、そこはおじさんばかりの職場だった。 ストレスや性欲が溜まったおじさん達は、優にエッチな視線を浴びせ…

転生したら、ラスボス様が俺の婚約者だった!!

ミクリ21
BL
前世で、プレイしたことのあるRPGによく似た世界に転生したジオルド。 ゲームだったとしたら、ジオルドは所謂モブである。 ジオルドの婚約者は、このゲームのラスボスのシルビアだ。 笑顔で迫るヤンデレラスボスに、いろんな意味でドキドキしているよ。 「ジオルド、浮気したら………相手を拷問してから殺しちゃうぞ☆」

処理中です...