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向き合わされる感情
灰咲VS望月
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恐ろしいほどの怒りのオーラを放った灰咲さんに、一瞬体中の血が凍ったような気がした。今にもバットを振り上げそうなその気配に俺は慌てた。
「灰咲さん、待って! 違うんだこの人は……っ!?」
望月さんは知り合いで、俺の敵なんかじゃないと分かってもらおうと焦っているのに当の望月さんは何を思ってか、いったん離れた俺の体をまたギュッと抱き寄せたりするものだからびっくりした。
「ちょっと、望月さ……!?」
今度はすごい力で望月さんから引き剥がすように引っ張られた。そして灰咲さんは背後に俺を隠すように、一歩前へと出た。
「尚哉はもうとっくに足を洗っているんだ。余計なちょっかいは出さないでくれ」
灰咲さん……。
灰咲さんの言葉にきゅんとした。
いつもいつもこの人は、俺のことを本当に一番に考えてくれて、どんな時でもこうやって体を張って助けようとしてくれる。俺はこんな時なのに、灰咲さんが俺の為に怒ってくれてるのが嬉しくて、ついつい灰咲さんのシャツをキュッと握りしめた。
「――あんたが怒ってるのは、それだけの理由か?」
……?
望月さん?
意味深な事を言う望月さんにちょっと驚いて顔を上げて彼の顔を見ると、望月さんの表情は皮肉っぽいものだった。
薄く笑った冷ややかな表情で灰咲さんを見ている。
「何が言いたい?」
「……尚哉、夜は淋しくないか?」
「え? なに?」
「寒い時や嫌なことがあった時は、よくベッドで慰めてやったよな」
「ちょっと、望月さん!!」
なに言いだす気だよ、突然!
灰咲さんがいるのに!
「俺は今でも、お前の素肌が恋しいぞ?」
「何言ってんだよ! そんな昔のこと……っ!!」
「下らんたわごとは結構だ。さっさと帰らないと殴り殺すぞ」
低くどすの利いた恐ろしい声。
余りの怖い声に一瞬縮み上がった後、振り返って灰咲さんを見ると、さっきと同じような冷えた恐ろしいオーラを発していた。怖いほどの真顔でバットを握る灰咲さんに戦慄が走る。
「望月さん、俺のことは心配しないで! 俺、ここで本当にちゃんと生活できてるし、大丈夫だから!」
大丈夫だとは思うし単なる脅しだとは思うけど、灰咲さんのあまりの恐ろしいオーラに心配になる。俺は灰咲さんが暴走しないようにと、灰咲さんの袖をギュッと握った。
「わかったよ。今日のところは帰るさ。またな、尚哉」
「二度と来るな!」
灰咲さんの罵声に小さく笑った望月さんは、片手を上げて門を開けて外へと出て行った。そしてそのまま、その姿は段々と小さくなった。
「灰咲さん、待って! 違うんだこの人は……っ!?」
望月さんは知り合いで、俺の敵なんかじゃないと分かってもらおうと焦っているのに当の望月さんは何を思ってか、いったん離れた俺の体をまたギュッと抱き寄せたりするものだからびっくりした。
「ちょっと、望月さ……!?」
今度はすごい力で望月さんから引き剥がすように引っ張られた。そして灰咲さんは背後に俺を隠すように、一歩前へと出た。
「尚哉はもうとっくに足を洗っているんだ。余計なちょっかいは出さないでくれ」
灰咲さん……。
灰咲さんの言葉にきゅんとした。
いつもいつもこの人は、俺のことを本当に一番に考えてくれて、どんな時でもこうやって体を張って助けようとしてくれる。俺はこんな時なのに、灰咲さんが俺の為に怒ってくれてるのが嬉しくて、ついつい灰咲さんのシャツをキュッと握りしめた。
「――あんたが怒ってるのは、それだけの理由か?」
……?
望月さん?
意味深な事を言う望月さんにちょっと驚いて顔を上げて彼の顔を見ると、望月さんの表情は皮肉っぽいものだった。
薄く笑った冷ややかな表情で灰咲さんを見ている。
「何が言いたい?」
「……尚哉、夜は淋しくないか?」
「え? なに?」
「寒い時や嫌なことがあった時は、よくベッドで慰めてやったよな」
「ちょっと、望月さん!!」
なに言いだす気だよ、突然!
灰咲さんがいるのに!
「俺は今でも、お前の素肌が恋しいぞ?」
「何言ってんだよ! そんな昔のこと……っ!!」
「下らんたわごとは結構だ。さっさと帰らないと殴り殺すぞ」
低くどすの利いた恐ろしい声。
余りの怖い声に一瞬縮み上がった後、振り返って灰咲さんを見ると、さっきと同じような冷えた恐ろしいオーラを発していた。怖いほどの真顔でバットを握る灰咲さんに戦慄が走る。
「望月さん、俺のことは心配しないで! 俺、ここで本当にちゃんと生活できてるし、大丈夫だから!」
大丈夫だとは思うし単なる脅しだとは思うけど、灰咲さんのあまりの恐ろしいオーラに心配になる。俺は灰咲さんが暴走しないようにと、灰咲さんの袖をギュッと握った。
「わかったよ。今日のところは帰るさ。またな、尚哉」
「二度と来るな!」
灰咲さんの罵声に小さく笑った望月さんは、片手を上げて門を開けて外へと出て行った。そしてそのまま、その姿は段々と小さくなった。
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