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Stop me!

腹の虫には勝てなかった…

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台所からは、灰咲さんと朱里さんの仲良さそうな会話が聞こえてくる。
何だかとっても面白くないんですけど!

朱里さんが俺のことを邪魔ものだと思っているのは確かな事だし、灰咲さんだって俺より朱里さんの相手をする方が好きみたいなのに、何でこんなことまでして俺を引き止めるんだ?

……嫌がらせ?
なわけないか。灰咲さんの優しさは、分かってるし。

にしたって、なにコレ!
ホント、わけわかんない!

お味噌汁のいい匂いがし始めて、フライパンで卵を焼く音が聞こえて来た。油で焼く時の、独特の良い音が俺の耳に否応なく飛び込んでくる。

「…………」
何だか、俺も腹が減って来たぞ……。


「さ、出来た。食べようか」

灰咲さんのそんな声が聞こえてきて、食卓に、ご飯に味噌汁卵焼きが並んだ。
温かな湯気といい匂いが食欲をそそる。

……って、俺の食欲をそそってどうするんだよ!

2人は、いただきますを合図にご飯を食べ始めた。

「飯作るのは久しぶりだったが、まずまずだな」
「久しぶりって、……その子、いつからここに居るの?」
「うん? そーだなあ、まだ半年にはならないよな。四カ月は過ぎたか?」
「……四カ月。そんなに居るの?」

……なんだ?

朱里さんは眉を顰めて灰咲さんを見て、それからそのままの表情で俺に視線を移した。
そして険しい顔で俯いて、何かをボソッと呟いた。

グルグルグルグル―……。

とうとう俺のお腹から情けない声が飛び出した。
余りにも大きな音だったので、灰咲さんや朱里さんにも聞こえてしまい、2人にまじまじと見られてしまった。

人の悪い灰咲さんはニヤリと笑って、これ見よがしに卵焼きを箸で大きく割いて、口の中にパクリと頬張った。

……コノヤロウ。

もぐもぐもぐ。グルグルグル。
もぐもぐもぐ。グルグルグル。
もぐもぐもぐ。グルグルグル。

「……い、いー加減にしろよ、このヤロー! これ見よがしに目の前で食べやがって!」
「考えは変わったか?」

そう言いながら、灰咲さんはすました顔でティッシュで口を拭っている。
朱里さんが、えっ?という表情で灰咲さんを見ている。

「誰が!!」
ギュルギュルギュルギュル―。

自棄になって大声で返事をしたと同時に、俺の腹がさっきよりも大きな悲鳴を上げた。

「~~~~~」

ううううう。
もう限界だ!

「わかった! そんなに言うならここに居てやるよ!!」

意地なんて張っていられない。真っ赤になって返事をすると、灰咲さんは笑って席を立ちこちらに近寄って来た。
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