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第五章
情報の収集
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鶴田さんは谷塚から俺の家を知らされていたようで、ナビはいらないと断った。
……あいつ、守秘義務という言葉はどこにやった。まあ、いいけど。
鶴田さんは道に迷うことなく俺のアパートにたどり着き、現在リビングで向かい合っている。
「ええっと、お茶でいいかな?」
「私が淹れますよ。急須とかがどこにあるかだけ教えてもらえますか?」
そう言って鶴田さんがテキパキと動き始めたので、遠慮するのは止めにして、急須や茶碗を出して後はお願いする事にした。
「ところで瀬川さん」
「はい」
俺に呼ばれて彼女は、ビクッとした感じで返事を返した。
どうしてもまだ緊張した様子が拭えていない。どうしたら俺のことを信用してもらえるだろう……。
「……あっ、そうだ。これ」
俺が変な商売をしている輩じゃないという事は、以前一弥が作ってくれたホームページを見せた方が早いと思った。言葉で説明するよりも、てっとり早い。
ホームページを開いて見せると、瀬川さんは興味深そうに覗き込んだ。
「何でも屋……でもこれには、トラブルを解消みたいな事は載っていませんね。……あ、最後に書かれているその他相談事がそうですか?」
「ああ。前は一人でこの仕事をしていたから、ほぼハウスクリーニングや引っ越し作業、小さな修理みたいな事ばかりやっていたんだ。今は従業員が一人増えたから、少し仕事の幅を広げたんだよ」
「優秀な従業員だと社長からは聞いています。どうぞ」
「ありがとう、瀬川さんも遠慮しないで。喉乾いているでしょう?」
「ありがとうございます、いただきます」
ホッと一息、俺が淹れるよりもはるかに美味いお茶を飲んでリラックスした頃に、瀬川さんに話しを聞くことにした。
「……で、単刀直入に聞くけど、竹本に近づいてどうする気だったの?」
まわりくどく聞くよりもその方がいいかと思って直球をぶつけてみた。それに瀬川さんは一瞬唇を噛んだ後、思い切ったように前を向いた。
「陽菜が……私の友人が、あいつに騙されて借金漬けにされて……あげくの果てに自殺しちゃったんです」
鶴田さんから先に情報をもらっていたので大仰に驚くことはせずに済んだが、それでも彼女の痛々しさが伝わって来てなんと返事をしてあげればいいのか答えに詰まった。
だけどだからと言って、無謀な彼女の行動を認めてやるわけにはいかない。
「そう……か。辛かったな……。それで復讐したいと思ったのか?」
「そうですよ! 悪いですか? あんな奴、少しくらいはいやな目に合わせないと!」
瀬川さんの表情は怒りにまみれていた。絶対に許せないという気持からか、目の前の俺を睨む。
「だけどそれであなたが酷い目に遭う事になっては、お友達も浮かばれません」
「綺麗ごとなんて言わないでよ! あなたに何がわかるって言うの! 私の気持ちなんて……っ」
言葉を詰まらせた瀬川さんは、とうとう嗚咽を洩らし始めた。しゃくりあげ、涙を手の甲で拭っている。
「あなたにどんな事情があってご自分で手を下したいと思っているのか分かりませんけど、それでも俺達はあなたを危険な目にあわせたくないんです」
「…………」
「だけどあいつをこのまま放置しておくわけにはいかない。だから協力して欲しい。あいつを警察に捕まえてもらうためにも」
俺が瀬川さんの目を見てはっきりそう告げると、彼女はハッとしたように俺を見た。
……あいつ、守秘義務という言葉はどこにやった。まあ、いいけど。
鶴田さんは道に迷うことなく俺のアパートにたどり着き、現在リビングで向かい合っている。
「ええっと、お茶でいいかな?」
「私が淹れますよ。急須とかがどこにあるかだけ教えてもらえますか?」
そう言って鶴田さんがテキパキと動き始めたので、遠慮するのは止めにして、急須や茶碗を出して後はお願いする事にした。
「ところで瀬川さん」
「はい」
俺に呼ばれて彼女は、ビクッとした感じで返事を返した。
どうしてもまだ緊張した様子が拭えていない。どうしたら俺のことを信用してもらえるだろう……。
「……あっ、そうだ。これ」
俺が変な商売をしている輩じゃないという事は、以前一弥が作ってくれたホームページを見せた方が早いと思った。言葉で説明するよりも、てっとり早い。
ホームページを開いて見せると、瀬川さんは興味深そうに覗き込んだ。
「何でも屋……でもこれには、トラブルを解消みたいな事は載っていませんね。……あ、最後に書かれているその他相談事がそうですか?」
「ああ。前は一人でこの仕事をしていたから、ほぼハウスクリーニングや引っ越し作業、小さな修理みたいな事ばかりやっていたんだ。今は従業員が一人増えたから、少し仕事の幅を広げたんだよ」
「優秀な従業員だと社長からは聞いています。どうぞ」
「ありがとう、瀬川さんも遠慮しないで。喉乾いているでしょう?」
「ありがとうございます、いただきます」
ホッと一息、俺が淹れるよりもはるかに美味いお茶を飲んでリラックスした頃に、瀬川さんに話しを聞くことにした。
「……で、単刀直入に聞くけど、竹本に近づいてどうする気だったの?」
まわりくどく聞くよりもその方がいいかと思って直球をぶつけてみた。それに瀬川さんは一瞬唇を噛んだ後、思い切ったように前を向いた。
「陽菜が……私の友人が、あいつに騙されて借金漬けにされて……あげくの果てに自殺しちゃったんです」
鶴田さんから先に情報をもらっていたので大仰に驚くことはせずに済んだが、それでも彼女の痛々しさが伝わって来てなんと返事をしてあげればいいのか答えに詰まった。
だけどだからと言って、無謀な彼女の行動を認めてやるわけにはいかない。
「そう……か。辛かったな……。それで復讐したいと思ったのか?」
「そうですよ! 悪いですか? あんな奴、少しくらいはいやな目に合わせないと!」
瀬川さんの表情は怒りにまみれていた。絶対に許せないという気持からか、目の前の俺を睨む。
「だけどそれであなたが酷い目に遭う事になっては、お友達も浮かばれません」
「綺麗ごとなんて言わないでよ! あなたに何がわかるって言うの! 私の気持ちなんて……っ」
言葉を詰まらせた瀬川さんは、とうとう嗚咽を洩らし始めた。しゃくりあげ、涙を手の甲で拭っている。
「あなたにどんな事情があってご自分で手を下したいと思っているのか分かりませんけど、それでも俺達はあなたを危険な目にあわせたくないんです」
「…………」
「だけどあいつをこのまま放置しておくわけにはいかない。だから協力して欲しい。あいつを警察に捕まえてもらうためにも」
俺が瀬川さんの目を見てはっきりそう告げると、彼女はハッとしたように俺を見た。
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