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第五章

竹本の隣を歩く女性

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谷塚に場所を告げると別の連絡先を教えられた。やって来た社員に直に連絡をとるためだ。

俺はそのまま気付かれないように、彼らの後を追った。

相手の女性は明らかに竹本に気があるようで、時々盗み見るように彼を見上げ嬉しそうな顔をする。

どこに行くんだろう? まだ明るい時間だ。こんな時間からあの店に連れて行くとは考えにくいし……。
この先は……、ショッピングモールか?

どういうことだろう。こんな健全そうな場所にまで、あんな奴らが進出して来てるんだろうか?

とりあえず俺は行く先が決まったようなので、さっき教えてもらった連絡先にメッセージを送っておいた。

彼らは行く先々の店を冷やかしながら、どんどん先を歩いて行く。なんとなく竹本は、どの店に行くか事前に考えているような感じがした。
その予感通り、竹本の歩く速度が落ちて来て、可愛らしい感じの店で歩みを止めた。

ん? アクセサリーショップか。えーっと、ツインクル……?って読むのかな?
まあいいや、電話してみるか。

彼らから見えない位置に移動して、電話を掛けた。すると1コールもしないうちに女性が電話に出た。

「もう着いてます。どこに行けばいいですか?」
「二階奥のツインクルとか言うアクセサリーショップだ」
「了解しました。すぐ行きます」

テキパキとした返答に少し安堵して、俺はショップを窺った。傍から見た彼らは、初々しいカップルで幸せそうに見える。本当に許せない男だ。

「川口さんですよね。お待たせしました」
「いや、こちらこそ済まない」

声を掛けられ振り返ると、気の強そうな美人が立っていた。壊し屋というくらいだから、やっぱり綺麗な人が適役なんだろうか。

俺がそのショップに入ろうと歩き始めると咄嗟に彼女が止めた。

「待って下さい。あの彼女、見覚えがあります」
「え?」
「ちょっと待って下さいよ。確か……」

彼女は顎に手をやり眉間に皺を寄せてしばらく考え込んでいた。そしてハッと顔を上げる。

「自殺した子の親友です」
「え……。じゃあ彼女の目的は――」
「復讐か、真相を調べようとしているのか……そんなところでしょう」
「深入りさせたら危ないんじゃないのか?」
「そうですね、なんとかしましょう。ここで待っていて下さい」
「あ、ああ」

戸惑う俺を置いて、彼女は店の中に入って行った。

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