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第五章

現状報告

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久し振りだけど、なるべく手際良く支度を進める。

煮立ったので落としぶたをして、と……。

「ただいまー、建輔さん?」

玄関を開ける音と同時に、どかどかと一弥が台所に向かって来た。

「お疲れ、お帰りなさい」
「あっ、もう作り始めてたんだ。ごめん、食材あまり無かっただろう?」

一弥は、たくさんの食材が入った買い物袋を持っていた。気が利かないのは俺だ。

「すまなかったな、疲れているのに」
「ええっ、ちっとも! こっちこそ、ご飯作ってくれてありがたかったよ?」

そう言って、一弥は俺にぎゅっと抱きついてからテキパキと冷蔵庫に食材を片付けた。

「何作ってるの?」
「かなり手を抜いた肉じゃがだ。大丈夫だから、のんびりしてていいぞ」
「そ? じゃあ、お言葉に甘えて」

そう言った一弥はリビングには行かず、手近な椅子を引っ張って来て俺の傍で腰かけた。

「そう言えば竹本だけどさ、やっぱりカルキらとつながっていた」
「え? 確認出来たのか?」

「うん。一番下っ端の奴だったけど間違いない。獅子で見かけたことがある奴と会って話していた。あの店の店長と同席でね」

「そうか……」

谷塚から聞いていてある程度覚悟はしていたけれど、それが確実となった事が分かるとかなり複雑だった。

「大丈夫だよ建輔さん」
「え?」
「俺は尾行はプロだ。しかもしっかり変装しているから、変なことになったりしないよ」
「一弥……」

ピピピピピピピピ

話を続けようと思ったのだけど、キッチンタイマーの音に遮られた。

「そろそろ出来そうだね。俺も手伝うから、食べながら話そうか」
「そうだな、じゃあ頼む」

最後の味付けとかを一弥に任せて、俺はご飯を装ったりテーブルの上を片づけた。


「石川さんだけどさ、俺、しばらく彼女のこと極秘で護衛しようかと思う」
「護衛? 何かあったのか?」
「んー、ヤバくなりそうな雰囲気がさ。今石川さんに、竹本の連絡を無視するように言ってるだろう?」
「ああ」
「それでさ、今日竹本があいつらに叱咤されてた」
「もっと追い込めってか?」

「うん。斡旋料が目的なのか何が目的なのか分からないけど、……組織が風俗関係に、力を入れているのかもしれない」

一弥のその一言に、俺は依頼の深刻さを改めて思い知らされた。

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